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退職や転職の際、「退職金っていくらもらえるの?」と疑問に思ったことはないでしょうか。気になる人もいると思いますが、全員が退職金をもらえるわけではありません。実際にどのような退職金の制度があるのかを解説いたします。
この記事では退職金について以下のような点を解説いたします。
・公務員と民間の退職金の違い
・変わりゆく退職金制度
退職金の相場、平均(勤続年数別)
労働に関しては労働基準法という法律がありますが、退職金に関しては企業や団体によって異なります。特に守らなければならない法律はありません。多くの企業では勤続年数によって退職金が決まります。
若年層(勤続年数が10年)
高専・短大卒(30歳):自己都合95.9万円 会社都合127.4万円
高校卒(28歳):自己都合91.2万円 会社都合12.2万円
※出典元
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)
勤続年数が10年ほどでも退職金は少し出ます。会社都合の退職では自己都合の退職より退職金が高くなります。とはいえ、会社都合で予期せぬ時に退職してしまったら、嫌でも再就職活動をしなければならなくなってしまいます。
ミドル層(勤続年数が25年)
高専・短大卒(45歳):自己都合468.1万円 会社都合540.7万円
高校卒(43歳):自己都合444.7万円 会社都合523.5万円
※出典元
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)
平成25年のデータにはなりますが(これ以降、調査結果が公表されていないため)、厚生労働省では別の結果が出ています。
大学卒:1,083万円
高専・短大卒:692万円
高校卒:603万円
上記の結果を見ると、東京都産業労働局の金額より多いのが全国平均として出ています。これは東京都産業労働局の調査が中小企業、東京都に限定されている点、厚生労働省の調査は大企業も含め全国の企業を対象としており、平成25年のものである点が金額の違いに表れたと考えられます。
また、厚生労働省の調査によると、勤続年数が25年を超えたあたりから大学卒の退職金が増えていることがわかります。
定年退職
高専・短大卒:1030.5万円
高校卒:1082.9万円
※出典元
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)
定年退職の場合、学歴問わず1,000万円は超えて支給されるようです。高専・短大卒よりも高校卒の方が金額が高くなります。これは18歳から働き始め、定年までの勤続年数が長いためだと考えられます。大学卒は幹部になることも多いため、勤務年数だけでは測ることができず、退職金も高めに設定されています。
勤続3年以下では退職金もらえない?
勤続年数が3年以下で退職した場合、退職金がもらえない会社もかなり多いようです。
採用するのにも費用がかかり、採用後、研修や勉強の場を与えて育成して、やっと一人前として仕事を任せられるのが3年目くらいです。企業としては育成に費用をかけて、これから会社へ恩返しをしてもらうおうというときに辞められては困ります。ですから、最低3年以上勤続していないと退職金を出さない、という企業も多いのでしょう。
公務員の退職金と民間での違い
公務員の退職金についての調査は人事院で行われています。人事院の調査方法が他のところとは異なるため、一概に結果を比べるのは難しいのですが、定年退職するまでの勤続年数で比較すると以下のようになります。
・勤続年数25〜29年 公務員 1383.8万円 民間 1,083万円
・勤続年数40年以上(定年退職) 公務員 2193.2万円 民間 1138.9万円
※出典元:
内閣人事局 退職手当の支給状況(平成27年度退職者)
上記の金額だけみると、公務員の方が民間企業よりももらえる金額が大きいことがわかります。しかし、民間は大手企業から中小企業までの平均で、公務員も仕事や役職に関わらず、全体の平均であるため、必ずしも上記の金額があてはまるとは限りません。
退職金制度の変化
退職金は元々、仕事を辞めた後の生活費(主に老後)の保障、企業に貢献したお礼金の意味として支払われるようになりました。しかし、最近ではその事情も変わってきました。
退職金制度自体がない会社も増えてきている、というのが現状です。
終身雇用制や年功序列制など昔の日系企業では当たり前だった制度も変わりつつありませす。勤続年数が少なくても転職する人が増え、ヘットハンティングも昔に比べて多くなりました。そのため、今までの制度をそのまま適用するのが難しくなったのです。
退職金がないかわりに退職年金制度というものが重視されるようになりました。
退職金は企業の負担が大きいことや企業が倒産した場合に支払えなくなることなどのデメリットを考慮して、最近増えてきているのが退職年金制度です。
退職年金とは、外部機関に積み立てるタイプの退職金で、従業員への支払いは分割して定期的に行われます。
企業にとって、まとまった金額の支出が少ないことがメリットです。確定拠出年金では自分で運用方針を決められる一方、運用成果によって受け取れる金額が大幅に違ってくることがあるので、上手に使う必要があります。
退職金のまとめ
・勤続年数が3年以下だと退職金をもらえないケースが多い
・公務員の方が全体として、民間より退職金が多い(ただし、職種や役職による)
・退職金から退職年金制度へ移行する企業が増えた