「お目にかかる」の使い方とその他の「会う」敬語表現

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直接会って話す時は特に相手に失礼のない言葉選びをしたいものです。その人に会えたことを嬉しく思う気持ちを伝えるには、何と言えば良いのでしょうか。人に会った時の表現や、その他間違えやすい敬語表現をまとめてみました。

お目にかかるの意味と正しい使い方

「お目にかかる」は「会う」という意味で、自分が誰かに会った時に使う言葉です。とりわけ目上の立場に当たる人に会う時に使います。会えた相手に対して敬意を表した表現方法です。
直接面と向かって会った時だけでなく、誰かの姿をこちらが一方的に見かけた場合にも使えます。
類義語にお目見えする・お目もじする・お目通りするなどがありますが、どれも「お目にかかる」よりも堅い印象を受けるので、会話で使用するよりも、きちんとしたビジネスレター向きだと言えるでしょう。

お目にかかるは「会う」の謙譲語

「担当者にはお目にかかりましたか?」
言ってしまいそうなフレーズですが、これは完全に敬語の使い方を間違えています。「お目にかかる」は「会う」の尊敬語ではなく、自分が相手にへりくだる時に使う謙譲語なので、相手が誰かに会った時に使うものではありません。
相手が誰かに会った時は尊敬語である「お会いになる」「会われる」が正しい表現です。

「会う」→自分が誰かに会った時(謙譲語):お目にかかる・お会いする
→相手が誰かに会った時(尊敬語):お会いになる・会われる

お目にかかるを使った例文

「お目にかかる」を実際の場面を想定して例文をチェックしてみましょう。

【挨拶の時などで使用する場合】

中村様にお目にかかることができて光栄です。
お初にお目にかかります、小林〇子と申します。
初めてお目にかかります、小林〇子と申します。
一度お目にかかりたいと思っていました。
またお目にかかれる日を楽しみにしています。

【会社の受付などで面会をお願いする場合】

中村様にお目にかかりたいのですが

【ビジネスメールでの言葉として使う場合】

中村様にお目にかかれる日を楽しみにしています。
近いうちにお目にかかりたいと思うのですが、いつ頃ご都合がよろしいでしょうか。
来週お目にかかれた際に詳しくお伝えできればと存じます。

間違えやすい「お会いする」と「お会いになる」

間違えやすいのが「お会いする」と「お会いになる」の使い分けです。

「お会いする」は自分が誰かに会った場合かつ、相手の立場を立てた表現です。「お会いになる」は相手が誰かに会った場合かつ、相手の立場を立てた表現です。

(×)先日、弊社の小林にお目にかかったのですね
(○)先日、弊社の小林にお会いになられたのですね
(×)先日、弊社の小林にお会いしたのですね
(○)先日、弊社の小林にお会いになったのですね

その他の間違いやすい敬語集

日本語には「会う」以外にも謙譲語と尊敬語を間違えやすい表現が沢山ありますが、特にビジネスシーンで間違えやすいものをピックアップしてみました。自分が使っている敬語が正しい表現かどうかチェックしてみましょう。

「ご一緒します」

同行する時に使う「ご一緒」という表現ですが、「ご一緒します」は丁寧語と普通語が混在しており、バランスの悪い言い方です。「ご一緒」と言うからには相手を立て、自分がへりくだった表現を使う方が気持ちをきちんと伝えられるでしょう。

【自分が相手と同行する時】
「ご一緒させてください」「ご一緒させていただきます」「ご一緒してもよろしいですか?」

「させていただいております」

相手のために自分が何かしますという時に使う「させていただく」は使い方が少し難しい単語なので注意しましょう。
「させていただいております」は「する」「いただく」にもう一度「します」を付けた、大変くどい言い回しです。自分が何かをする時は、基本的に「させていただきます」だけで十分です。敬語を話さなければならないと過剰に考えてしまうと、このように何度も敬語が重なるような間違った使い方をしてしまいがちなので注意しましょう。

(×)拝見させていただきます → (○)拝見します

「させていただく」という表現が少し難しいのは、相手が「頼んでもいないのに」と感じるかどうかという点があります。
例えば、何か不明な点があった際に、相手から説明を依頼されたのであれば「ご説明させていただきます」と言っても、相手に不快な気持ちは与えないでしょう。ですが、相手から依頼されていない場合に「ご説明させていただきます」を使うと、相手は「頼んでもいないのに」と感じることがあります。先に相手から依頼されていない場合は、「ご説明いたします」を使う方がスマートでしょう。

(×)発売させていただきました → (○)発売いたしました

「~とんでもございません」

よく耳にしそうなフレーズですが「とんでもございません」も実は敬語としては間違った表現です。
「とんでもない」はそれだけでひとつの単語なので、「とんでも」と「ない」に分けて丁寧に言い替える必要はありません。「とんでもない」と言いたい時は「とんでもないことでございます」が正しい敬語だと言えるでしょう。
ですが、実際は「とんでもありません」や「とんでもございません」を使用している場合が多々あります。表現に迷った場合は、「とんでもない」を「恐れ入ります」と言い替えると良いでしょう。

「資料をご持参ください」

何か物を携帯していく時に使う「持参」という言葉ですが、これは自分が使用するものを持って行く場合に使う単語です。「参」は「参る」という意味を持っています。「持って参ります」=「持参する」なので、相手に「ご持参」と「ください」を混ぜて使うことはしません。
相手に何か持ってきてもらうお願いをする際には、「お持ちください」を使うようにしましょう。
また、自分が相手に何かを持っていく際には、「お持ちします」を使います。

(×)スリッパをご持参ください → (○)スリッパをお持ちください

まとめ

日本語の美しさは、言葉に話し手の様々な感情を乗せられる点でもあり、それが反対に難しい点でもあります。尊敬語と謙譲語をきちんと使いこなせてこそ、一流のビジネスマンだと言えるでしょう。表現に迷った時は他の言い回しを使ったり、元になる単語からその尊敬語や謙譲語を調べてチェックしておきましょう。