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合弁という単語を聞いて、思い浮かぶ表現は「合弁会社」という人が多いでしょう。実は、合弁会社は、日本の会社法にはない会社形態です。
この記事では、「合弁会社」とは何か、合弁会社の特徴、最近設立された有名企業の合弁会社の例を解説します。
海外進出を考える際には、しっかり把握しておきたい合弁会社について理解できます。
合弁会社とは
「合弁会社」とは、共同で事業をするための資本提携や共同出資の会社のことをさします。
これは、日本の会社法にはない形態の会社です。
英語では、Joint Venture Company(ジョイントベンチャー)といわれます。
この言葉「合弁会社」が一般的になったのは、日本企業の中国進出がさかんになってからです。
中国で、国内資本の会社と海外資本の会社が共同出資で会社を立てる時に、合弁会社といいます。
他の国との合弁会社も設立されていましたが、中国進出の件数が多いことから、一気に認知度が高くなった言葉といえます。
そのため、海外資本との提携や共同出資のみに合弁会社というイメージが強くなっています。
しかし、実際には、日本国内で日本資本同士の提携・共同出資の場合でも、合弁会社と名前を付けることはできるのです。
ジョイントベンチャーとは
合弁会社の2つのスタイル
合弁会社にするには、以下の2つの方法があります。
・既存企業の株式をどちらかが一部買収し、共同経営する方法
どちらのスタイルでも、単独出資よりも投資額を抑えることができます。
合弁会社の特徴
合弁会社の特徴は、単独出資で会社設立をして海外進出する場合と比べたメリットといえます。
新しい会社を設立するにしても、既存企業の株式一部買収にしても、合併吸収を伴わないのが合弁会社です。
合弁会社の設立は、M&Aと提携(アライアンス)の中間くらいの位置づけになります。
吸収合併よりも、資本同士の話し合いが必要で、摩擦や困難・問題など会社設立前に予想外のことが起こることがありますが、合弁会社が設立されればメリットは大きくなります。
提携よりは強制力があるので、ある程度の効果が望めます。また、買収よりは先々の運営が楽になる傾向があります。
合弁会社設立はリスクを軽減できる
合弁会社は出資し合うので、吸収合併ほどの強いつながりではありません。
しかし、提携よりは解消されにくいメリットがあります。
もちろん、吸収合併や単独出資よりも出資額が抑えられる特徴があり、リスクを軽減できます。
海外での展開は、現地の法律だけでなく、商習慣なども知る必要があり、非常に大変です。特に中小企業は、情報を得にくいこともあります。
合弁会社設立は運営のリスク回避のひとつとも考えられるでしょう。
合弁会社はお互いの利点・得意分野を活かせる
現地企業との合弁は、現地の他の企業からの反発が抑えられる傾向があります。
単独出資で新たな会社を設立するよりも、現地での協力企業も探しやすい環境になるでしょう。
また、技術的にお互いの得意分野をシェアできるだけでなく、現地でのブランド力やノウハウで現地に対応した経営方法なども知ることができます。
ただし、ある程度の技術の流出には覚悟は必要かもしれません。
最近の合弁会社の例
有名企業による合弁会社の例をご紹介します。
富士通とレノボグループリミテッド
富士通とレノボグループリミテッド、日本政策投資銀行(DBJ)のPCおよび関連製品の開発、販売などを行なう会社です。合弁会社を設立することを発表したのは、2017年11月初めのことです。
富士通のPC子会社である富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の株式の51%をレノボに、5%をDBJに譲渡して、富士通が44%の株式を持つことで、FCCLがレノボと富士通、DBJの合弁会社として機能し合併吸収を伴いません。
FCCLは今まで通り、富士通ブランドのPCを販売することになっています。
合弁会社では、お互いの企業のブランド力と販売網をシェアするイメージになるでしょう。
ソフトバンクと米Findability Sciences
2017年10月に発表されたのは、ソフトバンクとアメリカのFindability Sciences Inc.(ファインダビリティ・サイエンシス・インク)の会社の設立です。
Findability Sciencesは、ビッグデータ、コグニティブ・コンピューティング、AIによる予測分析サービスを提供する会社で、AI分野の日本市場における戦略強化のための合弁です。
7月にソフトバンクがFindability Sciencesの第三者割当増資でUSドル約740万を出資し、東京で合弁会社Findability Sciences株式会社の設立に至りました。
日本が一歩遅れをとっているAI分野で、さきがけとしてソフトバンクが活躍していくための布石になる可能性があるでしょう。
ヤンマーとコニカミノルタ
2017年9月に発表されたのが、ヤンマー株式会社とコニカミノルタ株式会社の新たな合弁会社、ファームアイ株式会社の設立です。
この会社は、農業リモートセンシングのサービス事業会社として、ドローンを利用した作業効率化、省力化を目指しています。
本金2.5億円の出資比率は、ヤンマーが51%、コニカミノルタが49%とです。
お互いの得意分野をフルに活用する合弁会社のいい例でしょう。
合弁会社についてまとめ
- 「合弁会社」とは英語で“Joint Venture Company(ジョイントベンチャー)”といい、共同で事業をするための資本提携や共同出資の会社のことをさしています。
- 日本国内で日本資本同士の提携・共同出資の場合でも、合弁会社と名前を付けることはできますが、日本企業の中国進出が多くなって認知度が広がった言葉です。
- 海外資本と日本資本の提携や共同出資の会社を指すイメージが強くなっています。
- 合弁会社の特徴は、M&Aと提携の中間的な位置づけで吸収合併を伴わないこと、出資額を抑えるなどのリスク軽減できること、お互いの利点、得意分野を活かせることなどがあります。
- 最近の合弁会社は、富士通とレノボグループリミテッドの合弁会社“富士通クライアントコンピューティング”、ソフトバンクと米Findability Sciencesの“Findability Sciences株式会社”、ヤンマーとコニカミノルタの“ファームアイ株式会社”などがいい例です。