足るを知るとは|意味・使い方と注意点・英語表現などを解説

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この記事では「足るを知る」の読み方や意味について解説いたします。

この言葉は様々な分野でよく使われていますが、その意味や使い方については難しくてよく分からないという人もいることでしょう。

そこで今回は「足るを知る」の由来やビジネス上での使い方、類義語や英語表現も含めて取り上げました。

それでは一つずつ確認していきましょう。

「足るを知る」の読み方・意味・使い方

「足るを知る」は「たるをしる」と読み、「身分相応に満足することを知る」という意味です。

その使い方としては、次のようなものが挙げられます。

・「足るを知る」という言葉通り、欲張らずに今の生活の中に満足を見出そうと思っている。

人の欲求には際限がなく、例えば100万円という大金をもらったとしても「もっと欲しい」という気持ちが芽生えてしまうものです。

そのように欲を出そうとすると、日々の生活に満足できないばかりか身を滅ぼしてしまうことになりかねません。

上記の例では、そのようなことがないように自分を戒めようとしていることが読み取れます。

・彼女の生活ぶりを見ていると、「足るを知る」を体現しているように感じられる。

身分相応に満足することを知っていると、心が常に落ち着いていて自然体でいられるものです。

そのような心持ちになることによって、それが生活に表れるということは多々あります。

この例文では、「足るを知る」の精神が生活ぶりからも見て取れるということでしょう。

なお「足るを知る」と同じ意味で「知足」(ちそく)という表現をすることもあります。

京都の龍安寺の茶室前にある手水鉢は「知足の蹲踞(つくばい)」と呼ばれ、「知足」は人間の欲を戒める言葉として禅宗のお寺などでよく引用される言葉としても有名です。

このつくばいには四方に文字が書かれており、中央の水穴を「口」の字として共用し「吾唯足知 (われ ただ 足るを 知る)」と読むことができます。

この意味は「金持ちでも満足できない人はできないし、貧乏でも感謝の心を持てば満足できる」です。

龍安寺のつくばいを見たいが為にわざわざ訪れる参拝客もいるほどで、もし京都を訪れる機会があれば足を運んでみても良いかもしれません。

老子の「足るを知る者は富む」が由来

「足るを知る」は老子の「「足るを知る者は富む」が由来だとされています。

以下はその由来とされている漢文です。

知人者智、自知者明。

勝人者有力、自勝者強。

知足者富、強行者有志。

不失其所者久。

死而不亡者壽。

また上記を書き下し文にしたものが以下です。

人を知る者は智、自ら知る者は明なり。

人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し。

足るを知る者は富み、強(つと)めて行なう者は志有り。

その所を失わざる者は久し。

死して而(しか)も亡びざる者は寿(いのちなが)し。

これを現代語訳すると、下記のようなものが考えられます。

他人を理解するのは普通の知恵のはたらきであるが、自分自身を理解する事はさらに優れた明らかな知恵のはたらきである。

他人に勝つには力が必要だが、自分自身に打ち勝つには本当の強さが必要だ。

満足する事を知っている人間が本当に豊かな人間で、努力を続ける人間はそれだけで既に目的を果たしている。

自分本来のあり方を忘れないのが長続きをする上で重要なことである。

死にとらわれず、「道」に沿ってありのままの自分を受け入れる事が本当の長生きである。

「足るを知る」のビジネス上での使い方

「足るを知る」はビジネス上でも使われることがある言葉です。

ビジネス上では、例えば下記のような使い方が考えられるでしょう。

・「足るを知る」という言葉があるように、今年の売上は当社の規模を考えると十分に満足のいくものだ。

会社の売上は、その会社の規模によってある程度の目安が決まっているものです。

例えばその年の売上が1000億円だったとしても、大企業と中小企業ではその意味が変わってきます。

もちろん売上だけが全てではありませんが、その会社の経営状況や市場価値を見る上での指標になることは間違いありません。

その為より多くの売上を目指す会社は非常に多いといえます。

ただしこの例では売上至上主義を良しとせず、自社の規模相応の売上があれば満足できるものだとしていることが読み取れるでしょう。

・「足るを知る」という言葉を知り、自分の収入に満足できないのは身分相応の満足を高く設定しすぎていたからだと気付いた。

身分相応の満足とは、その人の収入の多寡に少なからず影響されます。

例えば苦学生であれば、毎日栄養バランスが整った食事をするのが難しい時があるかもしれません。

その一方で、億万長者は高級食材をふんだんに使用した料理でないと食べる気が起こらないという場合もあり得ます。

この例文では、自分が身分相応以上の生活を望んでいた為に自分の収入に満足できなかったことに気付いたということです。

「足るを知る」の類義語と例文

「足るを知る」の類義語には、次のようなものが挙げられます。

・足るを知るは第一の富なり

・富は足るを知るにあり

また上記の類義語を使った例文としては、以下のようなものが考えられるでしょう。

・「足るを知るは第一の富なり」という言葉があるように、お金持ちが必ずしも幸せとは限らない。

「足るを知るは第一の富なり」は「たるをしるはだいいちのとみなり」と読み、「満足することを知ることは第一の豊かさである」という意味です。

「(お金の多い少ないではなく、)満足することを知ることが第一の豊かさだ」と解釈できるでしょう。

この例文では、お金持ちであっても現状に満足できなければ幸せとは限らないということです。

・どうすれば幸せになれるのかと聞かれたので、「富は足るを知るにあり」と答えた。

「富は足るを知るにあり」の読みは「とみはたるをしるにあり」で、意味は「本当の豊かさは、満足することを知ることにこそある」です。

この例文だと、質問をした人は常に満足ができないような気質の人だった為、上記のような回答をしたのかもしれません。

「足るを知る」の英語表現

「足るを知る」の英語表現は、以下の4つが分かりやすいでしょう。

・A contented mind is a perpetual feast.(満足は、永久のご馳走である。)

・He is rich that has few wants.(欲しがりすぎない人こそ豊かである。)

・Content is a kingdom.(満足は王国である。)

・Content is the philosopher’s stone, that turns all it touches into gold.(満足は触れるものすべてを金に変えてしまうような、賢者の石である。)

このように、英語でも「足るを知る」の概念やことわざが使われていることが分かります。

まとめ この記事のおさらい

・「足るを知る」は「たるをしる」と読み、「身分相応に満足することを知る」という意味がある

・「足るを知る」の由来は老子の「足るを知る者は富む」

・「足るを知る」の類義語としては、「足るを知るは第一の富なり」や「富は足るを知るにあり」といったものが挙げられる

・「足るを知る」の英語表現は、「A contented mind is a perpetual feast.」や「He is rich that has few wants.」等がある