「お断りします」という言葉、「断る」に「お」が付き、「します」と続けているので本来なら丁寧に伝えているはずなのですが、受け手の印象としては「きっぱり断られた」感じがして、そんなに気持ちのいい言葉ではありません。本当に敬語として正しいのでしょうか、実際のビジネスシーンで会話やメールでそのまま使っていいのものかどうかを解説します。

「お断りします」は敬語として正しいか

「お断りします」は、敬語としてまったく問題のない表現です。「断る」に、丁寧語の「お」を付け、「断る」を「断ります」と丁寧な表現にしています。何かの依頼に対して、「お断りします」という返事は、明快な答え方です。

ただ、この表現が問題になるのは敬語上の問題ではなく、使うTPO上の問題です。「頭を下げて頼んだのに、すげなく断られた。」という悪印象を持たれかねないのが「お断りします」です。

 「お断りします」の言い換え方

そこで「お断りします」に代わり、相手にさほど悪い印象を与えず、人間関係に多少配慮した言い方を紹介します。

「ご要望には添いかねます。」

「お断りさせていただきます。」

「結構でございます。」

いずれも、「断っている」ことには間違いがないのですが、柔らかく表現しています。さらに、相手の心情を察しながらも断らざるを得ないという、もう一段階配慮したい場合は「クッション言葉」を前に置きます。

「申し訳ありませんが…」

「心苦しいのですが…」

「誠に残念ではございますが…」

文字通り、前に「クッション」を付けて「断る」というメッセージを和らげているのです。

「お断りします」に代わる類語を使った例文

 「申し訳ありませんが、今回のお申し出はお断りさせていただきます。」

交渉事などで、先方が提案してきた「申し出」はいろいろ検討してもらったかもしれないが、こちらとしては不満足であることを伝えています。

「慎重に検討いたしましたが、残念ながらご要望に沿いかねる結果となりました。」

申し出に対して、こちらもいろいろ検討をしたが先方の思いを満たすことは無理であり、要望には応えられない判断をしたということになります。

「せっかくのご厚意ですが結構でございます。」

先方から当方に対し、良かれと思って申し出されたことを「厚意」として一定の配慮をしたうえで、丁重に辞退の意を表します。

 「お断りします」を使った例文

<会話編>
「あなたのせっかくの頼みだけど、こちらにも事情がありお断りします。

「申し出の内容は、こちらがお願いした内容と大きく変わっているのでお断りします。

無理な要望なのでこの際はっきり言いますが、お断りします。

会話だと相手が目の前にいて、断りづらい状況があるかもわかりませんが、理由を明確にして断る時は断ります。中途半端に「要望に沿いかねます」「お断りさせていだだけますでしょうか。」といった余韻を残すと、余計な期待感を持たれる時があります。

<メール編>
「依頼のメール文を熟読しましたが、こちらの趣旨とは違うのでお断りします。

メールでは詳細が不明なので、一旦お断りします。お電話をお待ちしています。」

「申請書を拝見しましたが、こちらの条件が満たされていないのでお断りします。

メールは会話と違い文章が残るので、あやふやな場合ははっきりと断るというメッセージを出します。また、メール文はニュアンスが伝わりにくいことがあるので、メールでは一旦断り、電話あるいは直接の会話で解決するという方法を取ったほうがいいでしょう。

「お断りします」の英文表現

 No、thank you.

で十分です。

英語特有のストレートな表現です。申し訳なさを出すなら、

「Unfortunately, ~.」「 I’m sorry.」

を使う方法もあります。

ビジネスシーンにおいて「断り」のメールの書き方

ビジネスシーンでのメールは、文字として残る以上はっきりとした意志を示しておくことが重要です。たとえば顧客からの無謀な要求やクレームには、理由を述べた上で「お断りします」しかありません。

しかし一方で、大事な取引先や顧客からの要望はもちろん、社員間でも人間関係を大事にしなければならない時に、先方の申し入れに対して「お断りします。」というメールは間違いなく角が立ちます。

したがって、よく使うのが前段述べたクッション言葉です。これを「断る」という結論の前に必ず前置きして文章にすると、気持ちは申し訳なく思っているが、意志はハッキリしているという2つの目的を伝えることができます。

お断りしますのまとめ

・「お断りします」は敬語的にはまったく問題はありません。

・問題があるのは、それを使う時の状況で、使い方を間違うと印象を悪くします。

人間関係に配慮し、受け止め方を柔らかくするためにはいくつかの「代替表現」があります。

また、「クッション言葉」を前置きすると印象は変わります。

・日常会話で気を付けたいのはもちろんですが、メールは文字として残るので注意が必要です。

・特にビジネスメールは目的をしっかりして使い分けをします。