この記事では、「事案」の、類語・対義語、表現について解説します。

「事案」という言葉は、知っていても具体的にどのような場合に使ったら良いのか迷いますね。

謝った使い方をしないように、この記事を通して「事案」の正しい意味と使い方を理解してください。

「事案」とは|読み方と意味

「事案」とは、「当面の問題となっている事柄」「問題にすべき事柄」の意味で、「じあん」と読みます。

実際に起きた事件や事故ではないものの、将来的に事件や事故になりそうな事柄のことです。特に法律的な事柄や政治的な事柄について使われていましたが、現在では一般的な問題にも使われています。

・事案の使い方
法律用語では、「これから処理すべき問題」として「事案」を使うことが多いようです。
また、政治などでは「議員の立場を利用して不正に利益を得ている事案」など、政治家の不祥事によく使われます。
また、ビジネスでは「問題にすべき事柄」の意味で使われることが多いようです。

警察では、事件にはなっていないが不審な出来事のことを「事案」と呼んでいます。不審者がこどもに声をかけることを「声かけ事案」と言い、地域住民の注意を喚起しています。

・事案のネットスラング
インターネットでは、「事案」という言葉がネットスラング化しています。そのきっかけが、警視庁が配信した以下のような「声かけ事案」でした。

3月11日(水)、午後3時50分ころ、北区神谷2丁目の公園内で、児童が遊んでいたところ、男に声をかけられました。
声かけ等の内容
・さようなら
不審者の特徴については、40歳代、160センチ位、やせ型…(略)

この配信を見たネットユーザーたちの間では「何が問題なの?」「あいさつしちゃダメなの」との投稿が殺到し、炎上騒ぎになったのです。
実際、不審者は意味不明な言葉を言いながらこどもに近づき「おはよう」と言ったらしいのですが、警察が配信したメールには書かれていなかったのが騒ぎを生んだ要因でした。

以来、ネットでは「こんなことでも通報されるんだ」と誤解されそうな行動に対して、自虐的に「事案」という言葉が使われるようになりました。
不審者情報をパロディ化して、「事案が発生」の言葉が文章の中にしばしば用いられ、「#事案」のハッシュタグも出現しています。

また、単純な事件や事故に対して「事案」を用いる場合もあります。

「事案」の例文

では、事案の例文を「法律・政治」「警察」「ネットスラング」「その他」の4つに分けて紹介します。

 

法律・政治での例文
・今回の事案は、世界的にも稀な企業買収です。
・政治資金に関しての不正事案が発覚しました。
・検察庁が立件した事案でも、無罪になる事件は存在します。

 

警察での例文
・昨日、帰宅中の児童が不審者に声をかけられる「声かけ事案」が発生しました。
・最近「不審者事案」が多発しています。今後、不審者情報にはくれぐれも注意してください。
・今回の事案では多数の負傷者がでています。

 

ネットスラングの例文
・拡散されている事案は、ホントに信用できるのかな。
・あいさつしただけで事案になるなんて、絶対におかしい。
・隠していた高級ワインを兄貴に飲まれる事案が発生。

 

その他の例文
政治や法律とは直接的に関係ないビジネスの現場でも「事案」は使われています。

・従業員のリストラは既に決まっていた事案でした。
・製品の一元管理は、企業の収益率をアップさせるためにも望ましい事案です。
・このような重大事案は、取締役全員の一致が必要です。
・免振商品のデータ偽装事案は、我々不動産業界にとってまさに寝耳に水の出来事でした。

 

「事案」の類語後と例文

「事案」の類語で真っ先にあげられるのが「案件」です。「事案」と混合されやすい言葉ですが、使い方には大きな違いがあります。

・「事案」と「案件」の違い
「案件(あんけん)」とは、「問題となっている事柄」「審議しなければならない事柄」の意味で、法律用語では「訴訟になっている箇条」のことを言います。
「事案」は、主に政治や法律に関する事柄で使われますが、「案件」はビジネスシーンでもよく使われます。

例文

・今後は設計からできる案件を増やしていきます。
・先日の案件はどうなったでしょうか?

また、「案件」も「事案」と同じくネットスラング化しています。特に大げさに伝えたい場合の表現として使われるようです。

例文

・お笑い芸人の炎上案件
・〇〇の身バレ案件が面白い

また、「事案」の類語では、「案件」以外に、「事柄」「問題」「課題」「事例」「ケース」などがあります。

事柄(ことがら)
物事の内容や様子。人の容姿や品格などの意味もあります。
例文
・金銭上の事柄については、今回は不問にします。
・解決すべき重要な事柄が山積しています。
問題(もんだい)
回答を求める問い。討論や研究などの対象となる事柄。厄介な事件。話題。
例文
・このような問題は至急解決すべきです。
・問題を先送りにする体質が大きな問題です。
課題(かだい)
仕事や勉強の問題や題目。解決しなければならない問題
例文
・中高年層へのアピールが今後の課題です。
・ひとつひとつの課題をクリアしなければ、会社の発展はありません。
事例(じれい)
あることに関する実際に起こった個々の出来事。前例となる事実。
例文
・これまでの成功事例を集めて、検討することが急務です。
・時間外労働の事例はかなり多く、労働環境の改善が求められます。
ケース
容器や入れ物。個々の事例。
例文
・今回のケースは極めて稀ですが、今後の改善点として考慮すべき事例です。
・さまざまなケースを想定して、万全な安全管理体制を築き上げます。

「事案」の英語表現

「事案」の英語表現としては、類語でも紹介した「case(ケース)」があります。「case」には特定の事例だけでなく「事案」のように警察が介入するような事件の意味があります。

・The facts in the case are undisputed.
(この事案の事実関係には議論の余地がありません)

また、「case」の他に「concern」という単語も使われます。「concern」には「関係する、心配する、興味がある」などの意味の動詞がありますが、名詞で「心配、関心ごと」「懸案事項」の意味があります。

・That is a pressing concern.
(それは、緊急度の高い事案です。)

「事案」の類語である「案件」では「matter」「item」が使われます。

・Did you settle the deferred item?
(保留していた案件は解決しましたか?)・I will explain the matter fully.
(その案件について詳しく説明します。)

まとめ この記事のおさらい

  • 「事案(じあん)」とは、「当面の問題となっている事柄」「問題にすべき事柄」の意味です。
  • 法律用語では、「これから処理すべき問題」、警察では事件にはなっていないが不審な出来事のことを「事案」と呼びます。
  • 警察の「声かけ事案」から、ネットスラングで不審者扱いされることを自虐的に「事案」という言葉を使っています。
  • 「事案」は法律や政治などに使われる言葉ですが、類語の「案件」は、ビジネスでもよく使われています。
  • その他、類語として「事柄」「問題」「課題」「事例」「ケース」などがあります。
  • 「事案」の英語表現では、「case」「concern」があります。「案件」の英語表現の「matter」「item」なども「事案」に近い意味で使われます。