年金は払いたくないでは済まされない 払えない時の対処法

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どうせ受給できないだろうから、年金は支払いたくないと思う人もいるかも知れません。しかし、年金の支払いは国民の義務です。意外と手厚く、リスク回避の保険のような役割もある年金です。

支払わないとどうなるのか、万が一支払えない時にはどうするかなどを解説していきます。

年金とはそもそもなにか

一般的に、会社員が加入しているのは厚生年金、自営業者など厚生年金に加入していない人が加入するのが「国民年金」です。

国民年金は公的な年金制度で、1986年から20歳から加入が義務付けられています。本来、加入は国民としての義務で、「払わない」という選択はできないのです。

年金を払わないとどうなるの?

年金の支払いを滞ると老後に返金をもらえなくなるのは、一般的に知られている話でしょう。

国民年金は意外と手厚く、リスク回避の保険のような働きもあるのです。ただし、平成24年に成立した年金機能強化法をもとに、国民年金制度が昨今頻繁に変更されています。その都度、確認することをおすすめします。

老後にお金がもらえなくなる

老後にもらえる年金は、正確には「老齢年金」といわれています。今は、国民年金に加入し、最低25年間保険料を支払わないと老齢年金を受給できない、需給は65歳から、受給額は支払総額に連動することとされています。

しかし、平成29年4月から、その支払い期間が10年に短縮されます。
それだけ長生きしても年金を受給し続けられるのは、大きなメリットのひとつです。

障害者年金について

事故や事件などで病気やけがをしてしまい、一定の障害を持ってしまった場合には、障碍者年金が支給されます。
重度のうつ病などの心の病気にも適用されることがあります。

遺族年金について

被保険者だけでなく老齢年金受給者がなくなった場合には、配偶者、または原則18歳までの家族が遺族として受給できるお金があります。

年金を払い続けないとどうなるのか

支払いが滞った時は、以下のような流れが一般的です。

還付奨励

未納期間が数か月の場合には、はがきなどで納付案内がきます。

さらに長期になると、戸別訪問や電話などで催促されます。年金を運営する日本年金機構から委託された民間業者が担当している業務です。

最終催告状

それでも支払わない場合には、「国民年金の勧奨通知書(最終催告状)」が送られてきます。

これは未納者全員ではなく、300万円以上の収入があり、年金支払いの能力があるにもかかわらず、13か月以上滞納している人が対象になります。
自主的に期日までの納付がない場合、延滞金の発生、財産差し押さえや配偶者や世帯主の財産も滞納処分の対象との通知が併記されているはずです。

催促状

次に送られてくる「督促状(強制徴収の開始通知)」は、銀行口座や自動車などの財産調査をして、差し押さえる旨の通告です。法律上、連帯納付義務がある帯主や配偶者にも通告されます。

差押予告

支払いがない場合、催促状にある財産の差押手続きに入る通告です。延滞した国民年金を強制的に徴収するとの意味になります。

財産差押

年金悪質滞納者には、財産差押が年に5,000~10,000件ほど実際に行われています。

年金が払えない場合の対処の仕方

予想外の出費や収入の減額で、払いたくても国民年金を払えない場合もあります。そんな時には、どのような対処ができるのでしょうか。

学生納付特例制度を利用

申請すれば、学生は在学中の保険料の納付が猶予されるます。それが「学生納付特例制度」です。

■対象者

・ここでいう「学生」は、20歳以上で、“大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で 夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象”となります。
・学生である申請者本人の本年度の所得が、一定基準以下であることが前提です。基準の計算式は、「118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」となります。

■申請方法
住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金窓口や近くの年金事務所での窓口申請のほか、郵送でも申請できます。

■添付書類
基本的には、国民年金手帳と学生等であることまたは学生等であったことを証明する書類があればできます。

この制度では、10年以内であれば追納(後払い)が可能です。将来の老齢年金受給額を減らさないため、支払期間10年を確保するために、追納するのもひとつの方法です。

役所でとめてもらう

国民年金第1号の被保険者の場合、未納のままにしないで「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きをしましょう。
保険料免除や納付猶予になった期間は、10年の支払い期間に加算されます。

■保険料納付猶予制度
20歳以上50歳未満で、本人と配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、国民年金保険料の納付が猶予される制度です。世帯主の所得額は関係ないので、独身や実家住まいの人でも利用しやすい制度です。
基準計算式は、「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円」

■保険料免除制度
所得が少なく、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合、本人から申請書を提出、承認されれば納付が免除になります。世帯主の所得も考慮されるところが、前出の猶予制度との大きな違いです。

免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1と4段階があります。
全額免除の基準は、「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円」
4分の3免除は、「78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」
半額免除は、「118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」
4分の1免除「158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」となります。

■失業中の免除も
失業した場合には、失業者向けの全額免除の特例があります。年金事務所ではなく、市町村の年金窓口で申請します。

失業した場合の免除審査は、配偶者の所得のみで審査されますが、様々なケースが考えられるので、国民年金機構のホームページで確認するか窓口で確かめてみましょう。

国民年金についてのおさらい

・国民年金は、1986年から20歳になった国民が、支払う義務のある制度で、保険のような役割もあります。

・支払わないと年金の受給ができなくなるだけでなく、障害者年金、遺族年金も受給できなくなってしまいます。年金の支払いが滞ると、還付奨励→最終催告状→催促状→差押予告→財産差押の手段が取られます。

・どうしても支払えない場合には、未納のままにせず、学生納付特例制度や保険料納付猶予制度、保険料免除制度、失業中の免除などを利用しましょう。