初任給の平均についての解説 地方との格差や学歴による違い

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学校を卒業して就職した年にもらうお給料、初任給。採用時に初任給が明確になっているところもあれば、大まかな金額だけが分かるところもあります。期待していた初任給も手取りとなると思ったより少ないとがっかりするかもしれません。

今回の記事では、学歴や地域によって初任給には差があるのかという点について解説いたします。

初任給の平均額を解説

厚生労働省の『平成28年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況』を見ると、学歴別、男女別に初任給の調査結果が出ています。

大学院卒の初任給平均額

大学院修士課程修了の場合、231,400円で前年と比べると1.3%増加しています。男性だけで見ると、231,700円で前年より1.4%、女性は229,700円で前年より0.5%増加しています。

平成28年は男女ともに増加していたため、男女平均も大学院修士課程修了の初任給は増加していました。

大卒の初任給平均額

大卒の初任給は、203,400円で前年と比べると0.7%増加しています。男性だけで見ると、205,900円で前年より0.7%、女性は200,000円で前年より0.6%増加しています。

大学院卒に比べると初任給は3万円前後少ないことが分かります。男女別に見ると約6,000円男性の方が多くもらっているという結果が出ています。

短大、専門卒の初任給平均額

短大や専門学校が最終学歴の人の初任給は、176,900円です。前年と比べると0.7%増加しています。男性だけで見ると、179,700円で前年より1.4%、女性は175,200円で前年より0.3%増加しています。

大学卒に比べると初任給は2〜3万円くらい少ないことが分かります。また男性の初任給は前年よりも1.4%増加と大幅に上がっています。

高卒の初任給平均額

高卒の初任給は、161,300円です。前年と比べると0.2%増加しています。男性だけで見ると、163,500円で前年より0.1%、女性は157,200円で前年より0.6%増加しています。

大学卒に比べると初任給は4万円くらい少なくなっています。こちらも前年と比較すると少し増えていることが分かります。

新卒者(大学卒)との差を解説

最終学歴によって、初任給が異なることを述べましたが、新卒者とそれぞれの学歴を比べると以下のようになります。

新卒(大学卒)と大学院卒

新卒(大卒)    203,400円  男性 205,900円 女性 200,000円
大学院修士過程修了 231,400円  男性 231,700円 女性 229,700円

大学院卒と新卒者を比べると28,000円の差があります。男女別に見ると、男性、女性ともに約3万円の差があります。やはり大学よりさらに専門的な勉強をしてきた大学院修士課程修了の方が初任給は高いですね。また、大学院を卒業した人の多くは自分の勉強してきた専門分野に関連した職種で働くため、会社側としても高度な知識を持った大学院卒の人には大卒よりも手厚い待遇を与えているのかもしれません。

新卒(大学卒)と短大・専門学校卒

新卒(大卒)   203,400円  男性 205,900円 女性 200,000円
短大・専門学校卒 176,900円  男性 179,700円 女性 175,200円

短大や専門学校卒業の人は新卒者に比べると全体では26,500円低くなっています。男女別に見た場合も大体25,000円前後新卒者の方が初任給が高く設定されています。これは、大学で一般教養を身につけたり、専門的なことを勉強しているため、社会人として一定の水準を満たしているという判断の証なのかもしれません。

しかし、専門学校を卒業しなければ習得できない技術もあることから、芸術系や美容系などへの進路を希望する学生は専門学校へいく場合が多いと言えるでしょう。

新卒(大学卒)と高卒

新卒(大卒)   203,400円  男性 205,900円 女性 200,000円
高卒       161,300円  男性 163,500円 女性 157,200円

新卒と高卒を比べると、42,100円の差があります。男女別に見ても40,000円以上の差がついています。新卒の場合、高卒に比べて4年間多く勉強し、一般教養や専門知識を習得しているためです。新卒でないと総合職には就きにくいと言われるのもそのためです。接客業や一般事務など高卒でも問題なく就ける仕事はたくさんあります。

しかし、大学進学率が高い昨今、大学を卒業している方が仕事の幅が広がり、そのことが初任給や給与にも影響していると言えるでしょう。

地方と東京 初任給の違い

厚生労働省は都道府県別にも初任給の違いを発表しています。東京の初任給の平均は大卒で211,300円です。これを元に、他の地域ではどのくらい差があるのか見ていきます。(以下のデータは平成28年時点)

北海道、東北地方の平均初任給

東京   初任給 211,300円 格差 100.0
北海道  初任給 194,100円 格差 91.9
宮城   初任給 199,300円 格差 94.3

北海道、東北地方の中で一番初任給が良いのは宮城です。政令指定都市の仙台があり、人口も多く、仕事もたくさんあるためと考えられます。東京を100とすると宮城は94.3の格差があります。

また、青森や岩手、山形は過疎化が進んでいることもあり、初任給は180,000円台に留まっています。東京との格差指数は90に到達しておらず、格差が見られます。

関東地方の平均初任給

東京   初任給 211,300円 格差 100.0
神奈川  初任給 207,300円 格差 98.1

関東地方では東京と格差があまり多く見られず、格差指数が90を切っている県はありません。神奈川は東京にも近く、横浜という都市があるため、初任給の格差はほとんどみられません。敢えていうなら、茨城と群馬は初任給が190,000円台です。

中部地方の平均初任給

東京   初任給 211,300円 格差 100.0
愛知   初任給 205,000円 格差 97.0
新潟   初任給 187,800円 格差 88.9

名古屋という都市がある愛知県が中部地方の中で一番初任給が高く、205,000円です。一番格差が見られたのは新潟で、初任給は180,000円台に留まっています。

関西地方の平均初任給

東京   初任給 211,300円 格差 100.0
大阪   初任給 204,300円 格差 96.7

東京の次に大きな都市、大阪では初任給が204,300円です。格差も96.7と少し差が見られます。しかし、関東(中部まで)と関西では物価が異なります。土地、家、日用品、食べ物など生活に関するあらゆるものの値段が東京より安いことを考えると、初任給の金額だけでは測れないこともあるかもしれません。

関西圏だけで見ると比較的格差が少なく、大阪、京都、滋賀は200,000円台、その他の県でも190,000円台です。

中国・四国地方の平均初任給

東京   初任給 211,300円 格差 100.0
広島   初任給 198,200円 格差 93.8

政令指定都市のある広島は中国・四国地方で一番人口も多く、仕事もたくさんあります。しかし、関西圏以西は物価が安いこともあり、初任給は198,000円と200,000円を下回っています。賃貸マンションを借りるのも2〜3万円安いので、そのことを考えると妥当な数字かもしれません。

島根、鳥取、高知は180,000円台で東京と比べると格差が生じています。これらの地域も過疎化が進んでおり、学生が地元に帰らず、進学した大学がある地域で就職するケースが増えています。

九州地方・沖縄の平均初任給

東京   初任給 211,300円 格差 100.0
福岡   初任給 194,800円 格差 92.2
沖縄   初任給 165,900円 格差 78.5

九州は関西よりもさらに物価が安く、生活費が安く済むと言われている地域です。それもあって、初任給も東京に比べるとかなり低いようです。福岡では、初任給が190,000円台でも生活する上では困らない金額のように思われます。むしろ一人暮らしの場合、家賃や物価を考えると、東京の211,300円の方が厳しい生活になるかもしれません。

また、沖縄は離島であることから、他の地域に比べて仕事も少なく、初任給も安くなっています。東京との格差も一番大きいといえます。

中小企業と大手での違い

企業規模別の初任給は以下の通りです。(大学卒)

大企業 203,400円
中企業 206,900円
小企業 199,100円

大企業とは常用労働者が1,000人以上、中企業は100〜999人、小企業は10〜99人の会社を指します。小企業よりも中企業、中企業よりも大企業の方が初任給が高いです。イメージ通りの結果ですが、これには理由があります。

大企業は資本をたくさん持っています。多くの優秀な人材を雇うことができるため、利益をさらに上げやすい仕組みになっています。利益が上がれば社員の給与に還元することもできますよね。このようなサイクルがあるため、大企業の方が初任給も高いのです。

しかし、新卒者全員が大企業に就職したいわけではありません。大企業の方が初任給や給料が良いとはいえ、問題点もあります。一人一人の仕事の幅がきっちりと決められている、規則が多く自由な発想で仕事ができなない、年功序列のような古いしきたりがしっかりと残っている、といった点が好ましくない場合、大企業ではなく、中小企業を敢えて選ぶという学生もいます。

まとめ

・初任給を学歴別に比較すると、大学院卒は231,400円、大卒は203,400円、専門学校や短大卒は176,900円、高卒は161,300円
・初任給を地方別に比較すると、東京が一番高く、都市がある地域は比較的高いことが分かる。しかし、関西以西は物価が安いため、初任給も全体的に低い。一番低いのは沖縄。
・大企業の方が中小企業に比べて初任給が高い

※この記事は厚生労働省の『平成28年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況』を参考に作成しております。