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この記事では「ポリコレ」について解説いたします。「ポリコレ」とは人種や宗教、性別などに対する偏見や差別のない中立的な表現を言いますが、欧米では過剰な平等主義に対する皮肉や批判を込めて用いるケースも少なくありません。
そこでこの記事では「ポリコレ」の意味や語源をはじめ、ポリコレに起因する炎上事件など社会問題化している現状も含めて解説していきます。
「ポリコレ」の意味とは
「ポリコレ」とは、英語の「ポリティカル・コレクトネス(political correctness)」を省略した言葉で、直訳すると「政治的妥当性」「政治的な正当性」という意味になります。
「ポリコレ」は現代社会において差別されがちなマイノリティグループの人々に不利益や不快感を与えないための対策をあらわす言葉です。現在ではおもに刊行物や公的文書などから差別的な言葉や文章を廃止して中立的な表現に置き換えることを指します。
そのため「ポリコレ」=「言葉狩り」という批判的なニュアンスで用いられることも多く、今もその方法や趣旨をめぐってさまざまな論議がなされています。
「ポリコレ」の語源
「ポリコレ」は英語の「political correctness」をカタカナにした「ポリティカル・コネクトネス」を短縮した略語です。語源は英語ですが「ポリコレ」は日本語独自の略称ですので、英語としては通用しません。
「political correctness」の発祥は戦前のアメリカに遡ります。言葉として人口に膾炙するようになったのは1970年代ごろから。当時「新左翼」と呼ばれた左派系思想の人々が過剰な平等主義に対する自己批判的な意味でこの言葉を使うようになりました。
日本では1990年代ごろから欧米の人権主義の影響を受けて徐々に使われるようになりました。現代ではインターネットやSNSの普及によって少数派意見の発信や拡散が容易になったことから急速な広がりをみせています。
「ポリコレ」の使い方・例文
「ポリコレ」は公文書やマスコミなどの文章や会話から差別や偏見を含む言葉や表現を排除して偏見・差別を含まない公正で中立的な文言に置き換えることを意味します。
元の意味では差別や偏見を防ぐ政策や対策も含まれますが、現代では不適切な言語表現の撤廃や置換をあらわすのが一般的です。
「ポリコレ」の例文
「ポリコレ」の具体例
「ポリコレ」の普及によって、かつてはあたりまえのように使用されていた言葉や名称が不適切とみなされて他の言葉に変更された事例が数多くあります。
たとえば「看護婦」や「スチュワーデス」「ウエイトレス」などの職業名は女性を連想させるため、現在では「看護師」「キャビンアテンダント」「サーバー(server)」に改正されました。
同様に男性を連想させる「ビジネスマン」や「カメラマン」といった名称も「ビジネスパーソン」「フォトグラファー」などの呼称に改められています。
欧米でも警察官の呼称が「policeman」から「police officer」に改正されるなど数多くの名称が変更されたほか、日本ではあまり意識されない人種表現も「白黒黄」という色分けから「Caucasian」「African」「Asian」と地域名で表記するのが基本です。
また英語では男性の敬称は未婚既婚を問わず「Mr.」となりますが、女性は未婚か既婚かによって「Miss.」と「Mrs.」を使い分けられていました。「ポリコレ」ではこれも性差別にあたる表現とみなして撤廃。現在では女性の敬称を「Ms.」で統一しています。
ポリコレ問題で炎上した事例
インターネットが普及した現代では、SNSやブログなどに批判的な投稿が殺到する「炎上」を引き起こすことがあります。ポリコレも対処を誤ると「炎上」の火種になりかねないデリケートな問題です。そこでこの記事ではポリコレ問題で炎上した事例を紹介します。
ファミリーマートのお惣菜ブランド『お母さん食堂』
大手コンビニチェーンのファミリーマートは「お母さん食堂」というプライベートブランドを展開していましたが、この名称は「食事は女の役割」という「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を助長するとして女子高生を中心に批判の声があがりました。
その後ファミリーマートはブランド名を「ファミマル」に刷新。公式発表では「ポリコレ騒動とは無関係」と表明されましたが、行き過ぎたポリコレに批判的な人々から「『言葉狩り』に屈したのでは?」という憶測も流れるなど、大きな議論を巻き起こしました。
アパレルブランドGapの子ども服の広告
米国のアパレルブランドGapが子供服の広告として人種の異なる子供たちをモデルとした集合写真を採用したところ、背の高い白人の子供と小柄な黒人の子供のポーズと位置関係が悪く、まるで白人が黒人を押さえつけているように見えるとSNSで指摘されました。
Gapはただちに広告を撤廃。謝罪表明を行いましたが、このケースでもポリコレに批判的な人々から「Gapに差別的な意図があったとはとても考えられない」という援護の意見が寄せられるなど、ネットを中心に国際的な論戦となりました。
「ポリコレ」の類義語と例文
「ポリコレ」と同じ意味の類義語はほとんどありません。過剰な「ポリコレ」を批判する意味では「言葉狩り」があげられますが、「ポリコレ」本来の意味は「平等な言葉に変更すること」ですから、単純に「言葉狩り」と見なすことはできません。
そこで「ポリコレ」の目的が偏見と差別の撤廃にあると考えるなら、「マルチカルチャリズム(multiculturalism)」も類義語といえます。「マルチカルチャリズム」は異なる民族や文化を尊重すべきだとする概念で、「文化多元主義」「多文化主義」などと訳されます。
マルチカルチャリズムの例文
「ポリコレ」の英語表現
「ポリコレ」は英語では「political correctness」。略語では「P.C.」またはピリオドを省略した「PC」と表記するのが一般的です。ただし「PC」は「パソコン(personal computer)」の略語でもあるため、使用する際は混同を避ける注意が必要です。
英文で「political correctness」を「PC」と略す際は最初に「political correctness (PC)」と書くか、「political correctness (hereafter abbreviated to PC)」 と注を加えるのが良いでしょう。
まとめ
- 「ポリコレ」は「ポリティカル・コレクトネス」の略語です。
- 「ポリコレ」とは「政治的妥当性」「政治的な正当性」の意味ですが、現代では差別的な言葉を廃することを意味します。
- 行き過ぎた「ポリコレ」は「言葉狩り」に等しいという批判も多く、論議や炎上騒ぎが頻発しています。
- 「ポリコレ」は英語では「political correctness」。略語は「P.C.」または「PC」です。