水を差す|意味や使い方、水を差す人の心理などを解説

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この記事では「水を差す」という慣用句について解説いたします。「水を差す」の本来の意味は「料理に水を加えて味を薄くすること」。現在では「物事のじゃまをすること」という比喩的な意味で用いられます。

そこで、ここでは「水を差す」の意味や使い方、類義語や英語表現などをくわしく解説するとともに、水を差す人の心理についても合わせて解説いたします。どうぞ最後までお読みください。

「水を差す」の意味と使い方

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「水を差す」の意味は大きく分けて2つあります。

1つめは、汁物などの料理に水を加えて味を薄くすること。

これは文字どおり「水を差す」という意味で、おもに料理用語として用います。この場合の「差す」は「少量の液体を注入する」という意味をあらわしますが、動植物に水を与える場合には「水をやる」と表現するのが一般的です。

次に「水を差す」の2つめの意味は、仕事や恋愛などが順調に進展しているにもかかわらず、よけいな邪魔をして事態を悪化させること。現代の日常生活において「水を差す」というと、この意味をあらわすのが一般的です。

「水を差す」の語源

「水を差す」は故事成語ではないので語源となる原典や言い伝えなどはありません。定説としては、前述の「水を加えて料理の味を薄くすること」という意味から、「よけいな邪魔をする」という意味が派生した、とされています。

この場合、料理に「水を差す」のは味を調整するためではなく、味の良い料理にあえて水を加えることで台無しにしてしまう行為を意味する言葉です。

そこから「水を差す」は「うまく行っているのに邪魔をして物事を台無しにすること」を意味するようになったと考えられます。

「水を差す」と「横槍を入れる」の違い

「水を差す」と同じような意味をあらわす言葉に「横槍を入れる」という慣用句があります。

「横槍を入れる」の語源は、戦場で敵と味方が戦っているときに槍を構えた別の一隊が横から攻めてくること。 転じて「第三者が横から口を出して物事の進行を妨げること」を「横槍を入れる」というようになりました。

「水を差す」と「横槍を入れる」の意味はほぼ同じです。違いをあげるなら「水を差す」には「うまく行っているのに邪魔をする」というニュアンスがあるのに対し「横槍を入れる」は「状況にかかわらず妨害する」という意味になります。

また妨害する目的や方法も「水を差す」より「横槍を入れる」ほうが敵対的で、意図的に妨害するというニュアンスが強い表現です。逆に「水を差す」は「悪気はなくても邪魔になる行為」も含まれます。

「水を差す」のビジネス上での使い方

リフレクション
「水を差す」という表現をビジネス上で用いる場合は「水を差す」のが自分なのか、それとも自分以外なのかによって使い方が変わってきます。

まず自分が「水を差す」ことをあらわす場合は、自分の行為が相手の言動を妨げてしまうことをあらかじめ断る目的で用いるのが一般的です。

たとえば商談の席で顧客と上司が無駄話に夢中でなかなか本題に進めない場合、仕事に話を向けるために「水を差すようで恐縮ですが、そろそろ本題に入らせていただいてよろしいでしょうか」と断りを入れる際などに用いられます。

一方、「水を差す」のが自分以外の第三者の場合は、「計画や交渉などが順調に進んでいたのに第三者に邪魔された」という不満や憤懣を含んだ気持ちを表明するために使うのが一般的といえるでしょう。

水を差す人の心理

検討
仕事とプライベートを問わず、他人の言動に水を差す人は決して少なくありません。その場合、人はどのような動機や心理から水を差すようなことをするのでしょうか。ここでは水を差す人の心理を3タイプに分けて解説します。 

自分の存在をアピールしたい

人に注目されるように自分の存在をアピールしたい。そういう気持ちは誰にでもあります。でも自分の存在をアピールしたいばかりに、頼まれもしないのにしゃしゃり出て余計なことをすると、かえって逆効果になってしまいます。

このタイプの人は自分に自信を抱いていて「自分は頼りにならない人間だ」という事実を理解できません。自信はあるのに誰からも頼られないためよけいなことをしがちになり、その結果ますます避けられる、という悪循環に陥るタイプです。

鈍感で無神経

水を差したがる人に多いタイプの2番目は、無神経で鈍感な人。いわゆる「空気を読めない」タイプです。他人のことを考えずに自分勝手な言動を押し通したり、チームで決めたことを独断で勝手に変更したりする人に多く見られるタイプです。

嫉妬深い

順調に進んでいるプロジェクトによけいな口出しをしたり、恋仲の男女に余計なことを耳打ちして仲たがいさせるような人は嫉妬深さに動機があると考えられます。

自分のチームより他のチームの仕事のほうが順調だったり、仲が良い夫婦や恋人たちが幸せそうにしているのが気に入らず、意味もなく妨害したがる人がこのタイプです。

「水を差す」の類義語と例文

「水を差す」と同じ意味の類義語としては、前述した「横槍を入れる」をはじめ、「過干渉」「邪魔立てをする」「茶々を入れる」「冷や水を浴びせる」などの慣用句をあげることができます。

「過干渉」は文字通り干渉しすぎること。たとえば子育てについて肉親やママ友があれこれ口出しすることを表現する際などによく使われます。

「邪魔立てをする」は、わざと邪魔をすること。「水を差す」は無意識に他人の邪魔や妨害をしてしまう場合も含まれますが、「邪魔立て」は故意に邪魔をすることをあらわします。

「茶々を入れる」は他人が真剣に取り組んでいるところに横から口をはさんで冷やかしたり邪魔をしたりすること。悪意に満ちた妨害ではなく、度を超した悪ふざけというニュアンスがあります。

「冷や水を浴びせる」は「他の人の意気込みをくじくような言動をすること」「せっかくの良い雰囲気を台無しにすること」などをあらわす言葉です。「冷水を浴びせる」ともいいますが、「年寄りの冷や水」との混同で「冷や水を浴びせる」が一般化しています。

「冷や水を浴びせる」の例文

2020年の東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルスの感染の影響により延期されたことは、経済効果と観光振興を期待していた日本の人々に冷や水を浴びせた。

「水を差す」の英語表現

スキーマ
「水を差す」を英語で表現する場合は、「throw cold water on~」「throw a wet blanket on~」「throw a wrench in the works」などのフレーズを用いるのが一般的です。

「throw cold water on~」を日本語に直訳すると「冷や水を浴びせる」という意味になります。意味も「水を差す」「冷や水を浴びせる」と同じです。

一方「throw a wet blanket on~」の「wet blanket」は濡れた毛布のこと。油などが燃え上がったときに濡れた毛布で覆って消すことから、その場の雰囲気に水を差す人を「wet blanket」にたとえるようになりました。

「throw a wrench in the works」は工作機械の可動部にレンチ(工具)を突っ込むと機械が止まってしまうことから、物事の進行を妨げる行為を比喩的に表現するフレーズになります。

まとめ

  • 「水を差す」は「水を加えて料理の味を薄くすること」と「うまく行っているのに邪魔をして物事を台無しにすること」を意味する言葉です。
  • 人が「水を差す」動機には「自分の存在をアピールするため」「単に鈍感で無神経だから」「嫉妬深さ」などがあります。
  • 「水を差す」の類義語には「横槍を入れる」をはじめ、「過干渉」「邪魔立てをする」「茶々を入れる」「冷や水を浴びせる」などがあります。
  • 「水を差す」の英語表現には「throw cold water on~」「throw a wet blanket on~」「throw a wrench in the works」があります。