自衛官の給料ってどんな仕組み?|特有の手当てや初任給、階級別の給料を紹介

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戦闘地や被災地などで活躍する自衛官の姿は、とても頼もしく感じます。責任のあるハードな仕事ですが、給料はどのようになっているのでしょうか。

この記事では、なかなか知る機会のない自衛官の給料の仕組みについて解説します。また、初任給はいくらなの?民間と比べてどうなの?といった気になる情報も紹介していきます。

自衛官の給料の基本情報

失業手当 計算
自衛官は「特別職国家公務員」という公務員です。
職務や階級が特別なこともあり、自衛官特有の給与体系があります。

金額は「階級」と「号俸」によって決まる

自衛官の給料は「俸給」と呼ばれ、「階級」と「号俸」によって決まります。

「階級」は自衛官の位のことです。一般企業でいうところの課長、部長のような役職をイメージすればよいでしょう。

自衛官の階級は下から「士」「曹」「尉」「佐官」「将官」となっています。
それぞれはさらに何段階かに分かれていて、「士」であれば「2等」「1等」「士長」、「曹」であれば「3等」「2等」「1等」「曹長」の階級があります。

「号俸」は各階級の中での等級をあらわすもので、1等、2等の士であれば1~17まで、曹長であれば1~141までの号俸があります。

ボーナスは年2回

自衛官にも「期末・勤勉手当」と呼ばれるボーナスがあります。
年に2回、6月と12月に支給されるもので、1回の支給額はおおよそ月給の2ヶ月分程度です。

自衛官特有の手当てがある

自衛官には扶養手当、通勤手当など民間にもある手当のほか、自衛官特有の手当てがあります。

航海手当・乗組手当
条件を満たす艦船乗組員に支給されます。
特殊勤務手当
災害派遣・爆発物処理などに携わった場合にはそれぞれに応じた手当てが支給されます。

このほか、自衛官候補生として入隊した人には、2士任命時と任期満了時に特別な手当てが支給されます。

自衛官任用一時金
自衛官候補生として採用されると、3ヶ月間の基礎訓練を経て2等陸・海・空士に任官します。
その際に任用一時金が支給されます。支給額は221,000円です。
特例退職手当
自衛官候補生から2士に任官後に、任期を満了した際に支給される手当です。

陸上自衛官:1任期目(2年)満了時に約58万円、2任期目(2年)満了時に約145万円
海上・航空自衛官:1任期目(3年)満了時に約95万円、2任期目(2年)満了時に約150万円

※各手当の額は 令和3年度自衛官候補生採用要項を参考

自衛官の給料は民間企業と比べて高い?安い?

ここまで自衛官の給料の概要を説明してきましたが、自衛官の給料は民間企業と比べた場合どうなのでしょうか。
初任給と年齢ごとの平均年収から見てみましょう。

民間企業の初任給(※1)
高卒:167,400円
大卒:210,200円
自衛官の初任給(※2)
自衛官候補生:142,100円
一般曹候補生:179,200円(高卒)/198,100円(大卒)

※1 令和元年度賃金構造基本統計調査結果を参考
※2 令和3年度自衛官候補生採用要項を参考

年代別平均年収(※3)
20代前半[民:267万円/自310万円]
20代後半[民:370万円/自469万円]
30代前半[民:410万円/自516万円]
30代後半[民:448万円/自534万円]
40代前半[民:476万円/自598万円]
40代後半[民:502万円/自677万円]

※3 平均年収style参考/自衛隊帯広地方協力本部ホームページ参考

初任給で見ると、民間企業が自衛官候補生と一般曹候補生を上回ります。
しかし、年収ベースではどの年代を比較しても自衛官の年収が民間を上回っています。

自衛官の初任給

退職 挨拶
自衛官になるにはいくつかのルートがあります。
「自衛官候補生」「一般曹候補生」「幹部候補生」について、それぞれの初任給を見てみましょう。

自衛官候補生
自衛官候補生として基礎的教育訓練を3ヶ月間受けた後に、2等陸・海・空士(任期制自衛官)に任官する制度です。
自衛官候補生の間の給料は142,000円、2士に任官後の初任給は、高卒が179,200円、大卒が198,000円です。

自衛官候補生から2士に任命された際には221,000円の任用一時金が支給されます。
任官後は2年を1任期として勤務しますが、1任期目満了時に約58万円、2任期目満了時に約145万円の特例退職手当が支給されます。

一般曹候補生
陸上・海上・航空自衛隊の曹となる自衛官を養成する制度です。一般曹候補生は、入隊後2年9月以降選考により3曹へ昇任します。
初任給は、高卒が179,200円、大卒が198,100円です。
幹部候補生
自衛隊の幹部自衛官となる人を養成する制度です。幹部候補生には、一般・歯科・薬剤科のコースがあります。
初任給は次の通りです。
[一般]
大卒程度試験合格者
修士課程修了者等以外:226,500円
修士課程修了者等: 243,500円
院卒者試験合格者: 247,500円
[歯科・薬剤科]
大卒(歯科・薬剤科): 247,500円
大学院卒:247,500円
(採用時の給与は、採用予定者の職務・経験などにより異なります)

自衛隊の学校では学生でも給料が出る

自衛官になるには、幹部候補生として「防衛大学校」をはじめとした自衛隊の学校に入校するルートもあります。
防衛大学校の学生は特別職国家公務員の扱いなので、学生手当として毎月117,000円が支給されます。また、ボーナスに該当する期末手当も、年間約40万円が支給されます。
学費も無料です。

ただし、卒業後に任官しない場合や所定の勤務年数を満たさずに離職する場合は、学費にあたる経費を返還しなければなりません。

自衛官の階級別の給料

進捗
自衛官の給料は 「階級」と「号俸」によって決まり、「自衛官俸給表」に定められています。
各階級の給料は次の通りです。

2士:179,200円~198,100円
1士:186,700円~206,100円
士長:186,800円~245,900円
3曹:201,700円~312,000円
2曹:224,300円~381,200円
1曹:232,900円~410,700円
曹長:233,100円~425,500円
准尉:239,300円~437,000円
3尉:247,800円~439,500円
2尉:255,600円~441,200円
1尉:281,200円~446,000円
3佐:320,400円~469,100円
2佐:346,100円~488,800円
1佐(3):396,200円~496,500円
1佐(2):450,200円~517,000円
1佐(1):462,500円~545,100円
将補(2):513,400円~592,800円
将補(1):706,000円~895,000円
将:706,000円~1,175,000円

詳しい俸給表はこちら

基本的には階級が上がると給料が増えますが、各階級には号俸があるため、必ずしも上の階級の人のほうが給料が高いということにはなりません。

※防衛省の職員の給与等に関する法律「自衛官俸給表」 参考

自衛隊で働く事務官・技官などの給料

事務官や技官は防衛庁職員の扱いで、ほかの自衛官とは給料が違います。防衛省の事務系及び技術系職員の初任給は、大卒程度の総合職で約23万円です。
ほか、自衛官と同様に、年に2回ボーナスに相当する期末手当・勤勉手当が支給されます。

自衛官の給料に関する注意点

アントレプレナー
自衛官の給料について説明してきましたが、民間企業とは異なるところもありました。ほかにはどんなところに注意すればよいでしょうか。

宿舎費・食費はかからない

自衛隊に入隊後は宿舎での生活となりますが、居住費や食費はかかりません。また、制服・作業着・ワイシャツ・靴その他の被服類、寝具等も支給または貸与されます。

残業代は出ない

自衛官は、事務官、技官といった内勤系の職種以外、基本的に残業代は出ません。
基本給に一定の残業代が含まれている形なので、残業が全くなくても給料が減ることはありませんが、残業をしてもその分増えることもありません。

自衛隊の活動は時間が不規則で管理が難しいため、このような給与体系になっているのだと思われます。
残業代とは違いますが、災害派遣、爆発物処理などの特殊作業に就いた場合には手当が支給されます。

自衛官が給料を上げる方法


自衛官の給料は階級によって決まってきますので、給料を上げるには階級を上げていかなくてはなりません。

自衛官候補生、一般曹候補生として入隊した人は、2士から始まり、上の階層(士の次は曹)に進むためには選抜試験に合格する必要があります。
尉以上の幹部に昇格するためには、さらに経験を積んで選抜試験に合格しなければなりません。

自衛官には、幹部候補生学校で学び、幹部候補生として入隊する道もあります。早く幹部になるには、この幹部候補生として入隊するのが一番です。

まとめ この記事のおさらい

  • 自衛官は「特別職国家公務員」という公務員で、給料は「階級」と「号俸」によって決まります。
  • 自衛官の階級は下から「士」「曹」「尉」「佐官」「将官」で、「尉」以上が幹部です。
  • 自衛官には、航海手当・乗組手当、特殊勤務手当といった、民間企業にはない特殊な手当てがあります。
  • 自衛官候補生から2士に任命された際に221,000円の「任用一時金」が、任期満了の際には「特例退職手当」が支給されます。
  • 自衛官の初任給は民間企業と比較すると低いですが、年代ごとの平均年収では民間企業を上回っています。
  • 事務官、技官の給料は自衛官とは異なります。
  • 自衛官が給料を上げるためには幹部に昇進する必要があります。幹部を目指すなら幹部候補生として入隊する道があります。