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住職という言葉はよく聞きますが、「お坊さんと住職は違うの?」「住職になるにはどうしたらいいの?」など、改めて考えてみると知らないことが多い人も少なくないでしょう。
この記事では、住職とはなにか、住職になるにはどうしたらよいのか、どんな人が住職に向いているのかなどを解説していきます。
住職とは
お寺で働く人は、「お坊さん」「僧侶」「住職」などいろいろな呼び名で呼ばれます。「お坊さんは全員住職なんじゃないの?」「お坊さんの正式名称が住職では?」と思っている人も多いでしょう。しかし、実は「お坊さん=住職」ではありません。
お坊さんは「僧侶(そうりょ)」を親しみを込めていう呼び名で、僧侶とは出家して仏門に入った人のことです。
では「住職」はというと、住職はお寺の最高責任者で、お寺に住み込んで寺の維持管理や運営を行う人のことです。一般の会社に例えると、住職は社長の役割になります。
最高責任者ですから、ひとつのお寺に住職は一人です。住職も僧侶の一人ではありますが、僧侶がみな住職ということではないのです。
間違いやすいのは、住職と神主です。お寺も神社もお参りに行く場所ということから、混同してしまう人も多く、どちらにも住職がいると思ってしまいがちです。
しかし、住職がいるのはお寺で、神主や神職といわれるのは神社につとめる人です。お寺の住職にあたる最高責任者の役割のことは、神社では「宮司(ぐうじ)」がと呼びます。
住職の仕事内容
住職の仕事は、お寺で行うこと全てということになります。
代表的な仕事は、通夜や葬儀、法事などでの読経です。お寺や檀家のお宅、葬祭場に出向き、お経を唱え説教を行います。お盆やお彼岸の時期は法要が多い繁忙期で、数件をまわる日もあるような忙しさになります。
仏の教えを伝えていくことも住職の仕事のひとつでしょう。法要の席での説教以外にも、各地で法話や講演会を行っている住職もいます。少数ではありますが、テレビなどのメディアに出たり書籍を出版するなど、広く活躍している住職もいます。
他には施設の管理や事務作業があります。多くのお寺は墓地を持っていますので、お墓の維持管理が必要です。それに伴う事務作業も発生します。
近年ではお寺の活動も幅広くなってきていて、カフェを併設するお寺も見かけるようになりました。気軽に座禅や写経に親しめる体験会や、断食修行の体験、ちょっと変わったところでは婚活イベントなどもお寺で行われています。
このような、今までお寺に親しみがなかった人にもお寺のことを知ってもらえるような、広報の役割といえるさまざまな行事の企画や運営の仕事もあります。
お寺の規模にもよりますが、管理や運営の仕事は住職かひとりでこなすのではなく、僧侶たちが分担して行います。事務作業などは専門のスタッフを雇うこともあります。
お寺の僧侶たちの育成も住職の大切な役割のひとつです。一般企業でいうところの部下育成というところでしょうか。
もちろん住職も僧侶ですから、日々の修行を欠かすことはできません。さまざまな業務を行いながら、日々、自身の修行にもいそしんでいます。
住職になるには
まずは「僧侶」になる必要がある
住職はお寺の代表者の僧侶ですから、住職になるには、まず僧侶にならなければなりません。僧侶としてお寺で修業を積みながら、住職への道を目指していくことになります。
僧侶になるには、特別な国家資格が必要なわけではありませんが、「得度(とくど)」という出家の儀式を受けなければなりません。
得度は剃髪(ていはつ・髪を剃ること)を行い家族と縁を切って修行の世界に入るという決意の儀式ですが、現在は実際に肉親と縁を切るということではなく、俗世界と離れるという決意表明と考えればよいでしょう。宗派によっては剃髪を行わないこともあります。
僧侶として修行を積んだあとに住職を目指す
得度を受けた後はお寺で修業を積みながら住職を目指すことになりますが、住職はほとんどが世襲制をとっています。従ってお寺の子孫ではない人が住職になるのはなかなかの狭き門なのが現状です。
とはいえ、世襲制を廃しているお寺や、後を継ぐ子孫がいないお寺もあります。そのような場合は、本山から推薦された僧侶が住職につくのが一般的です。将来住職を目指すのであれば、本山で修業を積んで推薦を受ける僧侶にならなければなりません。
このように、お寺の子孫ではない人が住職になるのは簡単ではありませんが、全く可能性があないことはありません。しっかりと修業を積んで立派な僧侶になることが第一歩でしょう。
仏教系の大学を卒業する人が多い
僧侶を目指す人は、仏教系の大学で学ぶ人がほとんどです。仏教系の大学では、宗派の教えや仏教の歴史など、僧侶に必要な知識を学ぶことができます。
仏教系の学校は多く存在し、それぞれ特色があります。長期休暇を利用して修行を積んで大学の在籍中に僧侶の籍を取得することができたり、仏教に関わりの深いインドやカンボジアなどでの海外研修を行う大学もあります。
自分の信仰する宗派が学べるところはどこか、大学でどんなことを学びたいのか、卒業後はどんな道を進みたいのかなどを鑑みて、大学を決めるとよいでしょう。
住職に向いている人
住職は仏教の教えを世に広める役割とともに、お寺の僧侶たちをまとめる責任者の役割です。住職に向いているのはどんな人でしょうか。
相手の悩みに寄り添える人
住職は人の死に向き合い、遺族と深い関りを持つ仕事です。人の悩みを聞き、助言を求められることも多い立場です。人の話を親身になって聞ける人、気持ちを理解して寄り添える心を持った人でなければ務まりません。
辛いときに聞いた住職の話が心に深く染み入ったと経験がある人も多いことと思います。相手の心に響く話は相手の悩みに寄り添ってこそできるものです。住職には聞き上手と話し上手の両方が求められるでしょう。
仏教文化に興味のある人
仏教文化の興味、関心は、僧侶として必ず持ち合わせていなければならないことです。興味があることは最低条件として、実際に書籍を読むなどして理解と親交を深める必要があります。
僧侶の修行は大変に厳しいもので、また修業は一生涯続きます。仏教を深く学び、修行の意味が分からなければ到底続けられるものではないでしょう。また、住職は弟子の僧侶たちに教えを説く立場でもあります。住職になったからといって勉強をやめることなく、日々学び続ける姿勢も持ち合わせていることが大事です。
忍耐力がある人
僧侶は毎日が修行の繰り返しです。修行僧の朝は早く、早朝4:00くらいから一日が始まります。基本的な一日は、読経、座禅、作務(掃除やお寺の整備)などを行います。宗派によっては滝行、お遍路などの修行も行われます。
これが出来たら終わりというゴールのあるものではなく、日々永続的に精進を重ねなくてはならず精神的にも楽ではありません。
仏教への深い信仰と忍耐力を持ち合わせていなければ、厳しい修行を繰り返し住職にまでなることは難しいでしょう。
住職の給料・年収
住職や僧侶は一般募集がほとんどないので、給料についても情報があまりありません。僧侶の初任給は20万円程度といわれていますが、住職になるころには相当の経験を積んでいますから年収は高くなります。
一般の会社と同様に、お寺の規模も住職1名のところから多くの僧侶が在籍する大規模な寺院までさまざまです。大きな寺院の住職は、月収100万円近くの給料になることもあるようです。
住職の勤務体系と休日
お寺には基本的にお休みの日はありません。訃報の連絡などがいつあるかわからないので、誰かがお寺にいるようにしていなくてはなりませんし、日曜日や大型連休の最中にも通夜や葬儀に出向かなくてはならないこともあります。
とはいえ、住職も一年中休みなく働くというわけにはいきませんから、交代で休みを取ることになります。しかし、長期の旅行などにはなかなか行くことができないのが現実のようです。
住職の将来性
住職の給料はお寺の収入に関わってきます。住職の給料を上げるには、お寺の収入を上げることを考えなくてはなりません。
お寺の主な収入源は、葬儀や法事のお布施、墓地の管理料などです。檀家の数によってこれらの収入は決まってきますが、今後は、人口減が進んでいることや、葬儀や法事に対する世の中の考え方が変わってきていることもお寺の収入に影響してくることが考えられます。
オンラインでの読経やネットで注文すればお坊さんが来てくれるお坊さん便など、宗教界にも新しいサービスが登場しています。カフェを併設するお寺も多くなりました。
新しい手法を取り入れることだけがお寺を繁栄させる手段ではありませんが、将来に向けた手法を考えていくのもお寺の代表である住職の仕事でしょう。
住職がおもに勤める場所
住職が働くのは全国のお寺です。お寺といってもさまざまな宗派がありますから、別のお寺に自由に転職ができるわけではありません。
特に住職はお寺に一人で、世襲もしくは本山からの推薦が主ですから、代々受け継がれてきたお寺で住職を務めるのが一般的です。
まとめ この記事のおさらい
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