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この記事では、「自己暗示」の意味や、効果、やり方、注意点について解説します。
大勢の人の前で発言する時は、緊張してなかなか思うように喋れませんね。
このような時に役立つのが「自己暗示」ですが、実際に自分に自己暗示をかけようとしても、どうやって良いのか迷いますね。
自己暗示は、ビジネスや人生の成功を導くのにも有効な方法です。この記事を通して、「自己暗示」の意味や正しいやり方を理解し、ご自分の人生にお役立てください。
自己暗示の意味
「自己暗示」とは、「自分でそう思い込むことによって、あたかもそれが既成事実のような心の状態をつくりだすこと」で、「じこあんじ」と読みます。
自己暗示はさまざまなシーンで使われますが、見かけるのがスポーツの世界です。高校野球などで、バッターボックスに立ち、「自分は打てる」と自分を奮い立たせている姿はよく目にしますね。
また、プロ野球やラグビーの選手が必ずおこなっているルーティンも、ある種の自己暗示と言えるでしょう。
では、この「自己暗示」とはいつごろから使われるようになったのでしょうか?
自己暗示の始まり
「自己暗示」の始まりは、フランス人の薬剤師であったエミール・クーエ(1857~1926)と言われています。
ある日、彼の薬局にひとりの男がある薬を求めてきました。しかし、薬局にあった薬は期限切れで薬効が期待できるものではなかったので、クーエは断ったのですが、男は強く要望したのです。男の熱意に負けてクエは、その薬を男に手渡しました。
数日後、クーエのもとに男が訪ねて来て、「病気が治った」と感謝したのです。
このことから、「治るという思いにこそ効果がある」と確信し、自己暗示を使った療法を施すようになったのです。
エミール・クーエは、ポジティブシンキングの元祖とも呼ばれ、数多くの知識人に影響を与えています。
自己暗示の効果
エミール・クーエが体験した、薬効が期待できない薬を飲んで効果がでる現象は、現代では、「プラシーボ効果」として知られています。
薬効のないでんぷんなどを薬として与えると、何割かの人に効果が見られることが報告されているのです。
自己暗示の効果は、薬だけではありません。
さまざまな分野で、自分の能力を最大限に発揮できる方法として取り入れられています。
では、具体的に自己暗示の効果とはどうようなものがあるのでしょうか?
ポジティブ思考に切り替えられる
心配性の人は、なにかをやると「失敗するかもしれない」と考えて、失敗すると「やっぱり」と納得してしまいます。しかし、これは「失敗するかもしれない」と思った時点で、失敗を呼び込んでいるのです。
逆に、「自分ならできる」と思い込むことで、全ては前向きになり、成功に向かって歩いていけます。
自己暗示をかければ、「できない」を「できる」にシフトすることが可能です。常にポジティブ思考で、前向きに生きていけるのです。
自信がつくことで本来の実力を発揮できる
自分に自信が持てないと、いざという時に「できなかったらどうしよう」と不安が先行して、本来の力を発揮できなくなります。
どんな状況でも、「自分なら大丈夫」と自己暗示をかければ、自信が湧き、本来の実力を発揮できるでしょう。
さらに、潜在意識にも働きかけ、実力以上のものが出ることもあります。
緊張する場面でも気持ちを落ち着かせられる
プレゼンテーションや会議など、多くの人の前で話すのは非常に緊張するものです。頭が真っ白になって、しどろもどろになってしまう人もいるでしょう。
こんな時に役立つのが自己暗示です。
「自分はできる」と思い込むことで、気持ちが落ち着き、緊張せずに話すことができるのです。
モチベーションが上がる
苦手なことや難しいことに取り組むのは、気が重くモチベーションも下がり気味になります。嫌々仕事をしていては、あまり良い結果は期待できませんね。
自己暗示は、モチベーションを上げるのにも効果があります。
「自分なら大丈夫」「必ずできる」と思い込むことで、自分に自信が持て、エネルギーも湧いてきます。
理想の自分に近づける
イタリアを代表する往年の大女優であるソフィア・ローレンは、元々はあまり美人ではなく、毎日鏡に向かって「私は美しい」と話しかけていたら、美人になったと言われています。
鏡に語るだけで美人になれば魔法ですが、自分に語ることで行動が変化し、自分を磨くようになったことが原因です。これは、「自己成就予言」とも呼ばれ、学術的にも効果が実証されています。
このように、自分に言い聞かせることで、行動などが変わり、理想の自分に近づけるようになるのです。
自己暗示のやり方
自己暗示のやり方は、さまざまですが、ここでは簡単な3つの方法を紹介します。
暗示効果のあるヒーリング音楽などを聴く
自己暗示をかける際には、環境も重要です。騒がしい中では落ち着いて集中できません。
まずは、リラックスできる状態をつくりましょう。
そして、ヒーリング音楽を流します。ヒーリング音楽は、心身ともにリラックスさせ、自己暗示の効果がアップします。
さらに、アロマなどを焚くのも効果的です。
前向きな言葉を復唱し続ける
心と体がリラックスしたら、自己暗示をかけてみましょう。
まずは、前向きな言葉を復唱しますが、長い文章や難しい言葉はさけてください。
具体的な内容や難しい言葉は、潜在意識には届きづらくなるので、「私はできる」「私は成功する」「合格できる」などシンプルなものがベストです。
シンプルな言葉で復唱し続けることが大切ですね。
前向きな言葉を、常に見えるところに貼っておく
自己暗示には、視覚を利用するのも効果的です。前向きな言葉を部屋やトイレの壁など日常目にするところに貼っておきます。
また、手帳に書いたりやスマホの待ち受け画面に表示するのも良いでしょう。
いつも見る場所や道具に前向きな言葉があることで、常に前向きな気持ちを維持できます。
自己暗示をするときの「言葉」に関する注意点
自己暗示をかけるときには、前向きな言葉が大切ですが、言葉の選択によってはマイナスの効果になることがあるので注意が必要です。
ここでは、自己暗示につかう「言葉」に関する注意点をいくつか紹介します。
実際にそうではないことは唱えない
貧乏なのに「お金を持っている」や太っているのに「私は痩せている」というように、実際にそうではない言葉を使うのはよくありません。
「お金を持っている」という言葉の中には、「お金がない」というマイナスな気持ちがあり、潜在意識に反映してしまいます。
「お金持ちになる」「私は痩せる」などの前向きな言葉を選ぶようにしましょう。
マイナスの意味が入る言葉は使わない
自分に自信のない人が選びがちなのが、「失敗しない」や「間違えない」という表現です。
前向きな言葉のように思われますが、「失敗」や「間違え」はマイナスの意味がある言葉です。
「失敗しない」は、あくまでも「失敗」という言葉を否定したもので、潜在意識には「失敗」という言葉の方が強く残ってしまいます。
「失敗しない」ではなく「成功する」と、ストレートに言いましょう。
複雑な言葉でなく、自分が使いやすい言葉を選ぶ
自己暗示の目的は、潜在意識に働きかけて、プラスの行動や言動ができるようにすることです。
潜在意識は、自覚されていない意識であり、普通の思考とは異なります。そのため、「私は株で5億円儲けて、恵まれない子供たちを救いたい」などの長い言葉を唱えても、潜在意識には残りません。
また、名声や財産を得る意味の「名聞利益(みょうもんりやく)」と唱えても、ストレートには伝わりません。
常に自分の口から自然に漏れるような言葉なら効果はあるかもしれませんが、あまり使わないような言葉や長い文章は、自己暗示には不向きです。
自己暗示に使える言葉の例
では、自己暗示に適している言葉には、どうようなものがあるのでしょうか?
ここでは、自己暗示に使える言葉をいくつか紹介します。
自己暗示の言葉の定番ともいえる言葉です。
自分を奮い立たせ、心から信じることが大切。少しでも「できるかな」と思うと潜在意識が働かないので、注意しましょう。
成功者の多くが、この言葉で自己暗示をかけていたようです。成功した時の自分を鮮明にイメージしましょう。
ちなみに、尼僧で小説家の瀬戸内寂聴さんは、小説を書き始める時には、「必ず、これは成功する」と自己暗示をかけていたそうです。
自己暗示は、潜在意識を変え、時には運も変えます。「自分は運がいい」と何度も唱え、運のいい自分をイメージしてください。心がワクワクして、自信に満ちた行動がとれるようになるはずです。
出世した人の口グセにあげられるのが、「大丈夫」です。不安があっても「大丈夫」と自分に思い込ませことで、物事は良い方向に転がるもの。
「大丈夫」と何度も唱えれば、ベストな方策が浮かんでくることもあります。
この他にも、自己暗示の言葉はいろいろありますが、スポーツなどの勝負事で使われるのが、「今日は勝ったぞ」です。
格上の相手でも、「勝ったぞ」と断定することで、能力以上のものが発揮されることがあるようです。
このように、自己暗示は自分を成功に導く魔法の方法です。正しいやり方を覚えて、ぜひお役立てください。
まとめ この記事のおさらい
・「自己暗示(じこあんじ)」とは、「自分でそう思い込むことによって、あたかもそれが既成事実のような心の状態をつくりだすこと」。
・「自己暗示」の始まりは、フランス人の薬剤師であったエミール・クーエ。
・自己暗示の効果には、「ポジティブ思考に切り替えられる」「自信がつくことで本来の実力を発揮できる」「緊張する場面でも気持ちを落ち着かせられる」「モチベーションが上がる」「理想の自分に近づける」などがあります。
・自己暗示のやり方は、「暗示効果のあるヒーリング音楽などを聴く」「前向きな言葉を復唱し続ける」「目標を書き出し、常に見えるところに貼っておく」。
・自己暗示をする時は、「実際にそうではないことは唱えない」「マイナスの意味が入る言葉は使わない」「複雑な言葉でなく、自分が使いやすい言葉を選ぶ」などに注意しましょう。
・自己暗示に使われる言葉には、「自分ならできる」「私は成功する」「自分は運がいい」「大丈夫」などがあります。