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この記事では「蟷螂」の読み方や意味について解説いたします。
漢字を見ただけでは何を指しているのか全く想像がつかないという人も多いかもしれません。
そこで今回は「蟷螂」の使い方や語源、関連表現や英語表現も合わせてピックアップしました。
この記事の中で一つでも参考になるような情報があれば幸いです。
蟷螂の読み方・意味・使い方
「蟷螂」は「かまきり」や「とうろう」と読み、「かまきり科の昆虫」という意味です。
「とうろう」は「かまきり」の漢名(中国での名称。特に動植物に使うことが多い)で、日常的にはあまり使いません。
また使い方としては、次のようなものが挙げられます。
学校から家へ帰る途中で、「蟷螂」を見かけた場面です。
自然が多い環境では、よく見かける光景かもしれません。
色々な昆虫を見られる昆虫博物館では、昆虫の標本が展示されていることがあります。
常設されているものはいつでも見られますが、期間限定であればその期間中でしか見ることができません。
この例では、この夏に限った展示の「蟷螂」の標本に人気が集まっているということです。
蟷螂の語源
「蟷螂」の語源は、漢名の漢字に日本語の読みを当てたものだとされています。
現在では「とうろう」ではなく「かまきり」という読み方が主流なのはその為かもしれません。
また日本語では「鎌切」という漢字を当てて「かまきり」と読むことがあります。
これは「大きな鎌で切る」姿に由来するものと思うかもしれませんが、「鎌を持ったキリギリス」を略したものという説もあるのです。
なお動物や昆虫は漢名に由来するものが多く、例えば「飛蝗」(バッタ)や「天牛」(カミキリムシ)などが挙げられます。
この他にも多くの例が見られるので、他の例を調べてみても面白いかもしれません。
蟷螂を使った関連用語
この項目では、「蟷螂」を使った関連用語を取り上げました。
実は「蟷螂」はことわざや武術など、幅広い場面で使われることがあるのです。
それではどのような関連用語があるのか、一つずつ確認していきましょう。
ことわざ「蟷螂の斧」
国語の教科書でも取り上げられるなど、「蟷螂の斧」ということわざは非常に有名です。
「蟷螂の斧」は「とうろうのおの」と読み、「無駄ではかない抵抗」という意味があります。
このことわざでいう「「蟷螂の斧」とは「カマキリの前脚」のことで、カマキリが自分よりはるかに大きな相手に対して向こう見ずに攻撃するさまを表しているのです。
つまり「蟷螂の斧」は「明らかに弱い者が強い者に対し、自分の力量をふりかえらず挑むこと」を指し、勝ち目のない挑戦でも決して下がることなく向かっていくことを意味しています。
日本ではカマキリの前脚を鎌だとしていますが、中国では斧として捉えていました。
その為日本語では「蟷螂の鎌」と表現することもありますが、由来である中国の言い回しに合わせて「蟷螂の斧」をそのまま使っていることが多いです。
また「蟷螂の斧」の由来は、故事や逸話を「詩経」に関連づけてまとめたとされる「韓詩外伝」(かんしがいでん)」だとされています。
以下はこの書物の中に書かれている、斉の荘公(そうこう)が狩りに出かけた時の話です。
一匹のカマキリがが大きく頑丈な馬車の車輪を一生懸命つついていました。
その無謀なカマキリの行動に従者は「カマキリは下がることを知らず、前に進むことしか知りません」と荘公に説明し、「カマキリは自分の力を顧みず、敵に襲い掛かるのです」と書かれています。
荘公は「カマキリが人間であれば、天下を取るのであろう」と答え、小さなカマキリをふみつけることなく通り過ぎたという記述があり、この部分が「蟷螂の斧」の由来です。
「蟷螂の斧」はビジネスシーンや日常会話でも使われることが度々あり、中国由来のことわざの中でも有名な部類だといえます。
なお「蟷螂の斧」の英語表現としては、「無謀」を意味する「reckless」を使うのが最も分かりやすいかもしれません。
中国武術の「蟷螂拳」
「蟷螂拳」は中国武術の門派の一つで、中国語圏では表記のほとんどは「螳螂拳」です。
日本では上記のどちらの表記も正しいとされており、英語では「Mantis Boxing」と呼ばれることがあります。
「蟷螂拳」は中国の山東省に起源のある北派少林拳系(道教系)の「北派蟷螂拳」と、広東省や福建省など中国南方地域を中心に伝承されている南派少林拳系の周家蟷螂拳や朱家蟷螂拳といった「南派蟷螂拳」の2つが主流です。
世界全域に広く普及しているのは「北派蟷螂拳」で、日本人にもよく知られています。
この「北派蟷螂拳」は中国北派武術の総合拳ともいえる、最も代表的な中国拳法の一つです。
日本では映画や漫画などで使われることもあります。
京都の祇園祭における「蟷螂山」
「蟷螂山」(とうろうやま)とは、京都市内で行われる祇園祭において毎年7月17日の前祭で巡行する山鉾のことです。
南北朝時代に町内に館を構えていた四条隆資が足利義詮に立ち向かった逸話があります。
その逸話によると、町内に住む薬商の陳外郎大年宗奇が「蟷螂の斧」の故事にたとえて、1376年に四条家の御所車にカマキリの作り物を乗せて巡行に出したのがはじまりです。
1864年の元治の大火で罹災してしまい、明治頃からは巡行から外れて町内展示を行っていました。
その後1981年に再興され巡行に復帰したという経緯があります。
御所車の屋根に乗せられた大蟷螂は鎌を振り上げて動き、御所車も回るようになっているからくりです。
これは七代目玉屋庄兵衛による製作で、その四方の懸布は羽田登喜男による友禅が飾られています。
蟷螂の英語表現
「蟷螂」の英語表現としては、「mantis」が最も適当でしょう。
「mantis」を使った例文としては、以下のようなものが考えられます。
自然が溢れる場所では、野生の「蟷螂」に遭遇することがあります。
正面から手を伸ばすと鎌に切られてしまう恐れがありますが、後ろからそっと近づくと捕まえるのは容易です。
この例では、昨日山で野生の「蟷螂」を捕まえたということでしょう。
子供の頃から都心部に住んでいる人にとっては、昆虫をじっくり観察したり触れ合ったりする機会があまりないかもしれません。
この例だと、そういった背景もあり「蟷螂」を見たことがないという可能性があります。
まとめ この記事のおさらい
・「蟷螂」は「かまきり」や「とうろう」と読み、「かまきり科の昆虫」という意味がある
・「蟷螂」の語源は、漢名の漢字に日本語の読みを当てたものだとされている
・「蟷螂の斧」は「とうろうのおの」と読み、「無駄ではかない抵抗」という意味がある
・「蟷螂拳」は中国武術の門派の一つで、世界全域に広く普及しているのは「北派蟷螂拳」が日本人にもよく知られている
・「蟷螂山」は京都市内で行われる祇園祭において毎年7月17日の前祭で巡行する山鉾のこと
・「蟷螂」の英語表現としては、「mantis」が最も適当