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ここでは「対象」という言葉について解説いたします。
「対象」は同音異義語が多い言葉です。特に「対称」「対照」などとよく間違われます。最近は文書をスマホやPCで作成する人が増え、「対象」が正しいのに「対称」や「対照」と誤変換してしまうことも少なくありません。
誤変換が「大正」や「大笑」であれば間違いにすぐ気がつきますが、「対称」や「対照」では気がつかないことも。
そこでここでは「対象」だけでなく「対称」や「対照」にも焦点を当てて、それぞれの意味と用法の違いなどを多角的に解説してゆきます。どうぞ最後までお読みください。
対象の読み方・意味・使い方
「対象」は「たいしょう」と読みます。
意味は「何かを働きかける目的や目標となるもの」「意識や行動、感覚などの作用が向かう目標となるもの」をあらわします。
「対象」「対称」「対照」の違い
「対象」「対称」「対照」はいずれも読みは「たいしょう」です。熟語に「対」がつくのも同じですが、意味や用法にはそれぞれ大きな違いがあります。
「対称」の意味と使い方
「対称」は、「2つの図形やものが互いに向き合いながらつりあいを保っていること」「点や線、面などをはさんで、互いに向き合って相対または均衡する関係にあること」を意味する言葉です。
基本的に「点対称」や「線対称」のように図形の特徴をあらわす言葉です。
「点対称」は1つの点を中心の軸として180度回転させたとき、元の形にぴったりと重なる図形のことをいいます。このとき回転の中心軸となる点を「対称の中心」といいます。
「線対称」は紙に描いた図形の中心に線を引き、それを折り目として上下か左右を折って重ねたときに、両側がきれいに重なる図形をいいます。また、そのような図形や建築物などの物体を「上下対称」「左右対称」などといいます。
図形が立体物の場合は、「線対称」と同じ意味で「面対称」という言葉を使います。「面対称」はひとつの平面をはさんで上下か左右が等分になる物体の形をいいます。
わかりやすくいえば、中心となる平面を鏡と仮定して、物体が鏡に映った状態をイメージすると、実像と鏡像の関係が「面対称」になります。平面図形の場合は、「線対称」と「面対称」は同じ意味になります。
そのほか、言語学や文法では「君」や「あなた」など二人称のことを「対称」ともいいます。
「対照」の意味と使い方
「対照」は、2つのものを照らし合わせて外見や性質を比較することをあらわします。また「対照的」というと、ことなる2つのものを照らし合わせることで、その性質や形状などの違いが際立つことを意味します。
また、外見や性質が全く違うものを並べて比較すると、その差が際立ってわかりやすいことを、「好対照」「対照的」などといいます。
ビジネスシーンで「対照」という言葉を使う文書に「貸借対照表」があります。
「貸借対照表」は会社の資産と負債を貸方と借方に分けて比較分析することで財政状態を示す決算書のひとつです。
このように「対照」の用途は幅広く、目に見える形や性質だけでなく、数字やデータを比較分析する場合にも用いられます。
対象のビジネス上での使い方
前述のように「対象」の意味は「何かを働きかける目的や目標の対象となるもの」です。ビジネス上では、おもに「ターゲット」の意味で用いられます。
たとえば、企業が新たな事業計画を策定したり、既存の事業を見直したりする場合、まず最初に市場のニーズを分析して、事業のターゲットとなる消費者層をしぼり込む必要があります。
ビジネスの基本は、消費者が求める商品やサービスを金銭と引き換えに提供することです。どこでどのような消費者が何を求めているかを把握できなければ、利益をあげることはできません。
そこで求められるのが徹底した消費者リサーチとマーケティングです。たとえばコスパを重視した商品なら、ターゲットは手ごろな値段で高品質の商品を手に入れたいと考える若い世代が中心になります。
このように商品やサービスの価値を市場で認知させるためにターゲットになる消費者、あるいは見込み客のことを「対象顧客」といいます。
また企業や大学の研究室が「研究対象」といえば、一般的に実験研究の目的を意味します。
一方、医学の研究において「研究対象者」といえば、治験データの収集対象となる「患者」を意味します。
ビジネス上での「対象」は、事業の目的や目標の意味をあらわすことが多く、市場調査やアンケートなどでも「調査対象」「対象年齢」という形でよく用いられています。
対象の類義語と例文
対象と似たような意味を持つ類義語としては、「ターゲット」「目標」「目的」「標的」「目当て」などがあります。
また哲学用語では「主体の行為や認識の対象となるもの」を意味する「客体」も類義語になります。
「目標」の例文
「標的」の例文
対象の対義語と例文
対象の対義語となる言葉は「対象外」しかありません。強いてあげると「主体」「圏外」「埒外」などの言葉があります。
「主体」は「物事を構成する中心的なもの」という意味の言葉ですが、それ以外に「意志や自覚を持って行動したり他に作用を及ぼしたりするもの」という意味があります。つまり「『対象』に何かを働きかける側のもの」という意味での対義語となります。
「圏外」は「対象となる範囲の外側」。「埒外」は「枠の外側」を意味します。両語とも「対象」の対義語というよりも「対象外」の類義語となります。
「圏外」の例文
対象の英語表現
対象の意味を英語で表現する場合は、「object」「subject」「target」などの言葉が使われます。
「object」は「物体」「対象」「目的語」などを意味する言葉です。
「target」は「標的」「目標」「対象」などを意味する言葉です。
「subject」は「主題」「問題」「科目」「主語」などを意味する言葉ですが、「be subject to」の形で、「対象となる」という意味にもなります。
「be subject to」の例文
彼女はこのカードの割引の対象となります。
まとめ
「対象」は「何かを働きかける目的や目標となるもの」「意識や行動、感覚などの作用が向かう目標となるもの」をあらわす言葉です。
「対象」とまちがいやすい言葉に「対称」と「対照」があります。
「対称」は「2つの図形やものが互いに向き合いながらつりあいを保っていること」「点や線、面などをはさんで、互いに向き合って相対または均衡する関係にあること」を意味する言葉です。
「対照」は、2つのものを照らし合わせて外見や性質を比較することを意味します。
「対象」の意味を英語で表現するときは、「object」「subject」「target」などの言葉が使われます。