SCMとは|意味・システム導入のメリット・デメリット等を解説

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ここではSCMについて解説いたします。

SCMは一般の方にはほとんどなじみがないかもしれませんが、現代のようにインターネットをどう生かすかが企業の命運を左右する時代にあって、企業が取り組むべき喫緊の課題といわれる経営手法のひとつです。

企業の経営で物流の効率化や情報システムとの連携に頭を悩ませている方は、ぜひこの記事をお読みになり、SCMの基本から理解を深めてください。

SCMとは

SCM(エスシーエム)は「Supply Chain Management(サプライチェーン・マネジメント)」の略語で、1982年にアメリカの経営コンサルティング会社「Booz Allen Hamilton Inc.(ブーズ・アレン・ハミルトン・インク)によって提唱された、経営管理方法のひとつです。

SCMは日本語で「供給連鎖管理」と訳されています。「供給連鎖(サプライチェーン)」は、原材料や部品の調達から、完成品が最終消費者に届けられるまでのさまざまな流通過程をいいます。SCMは流通過程の全データを一元的に管理することを意味する言葉です。

ほぼ40年前に提唱されたSCMの概念が、なぜ今になって世界的な脚光を浴びているのでしょうか。

1990年代以降、世界経済はグローバル化が進展し、投資や貿易などの経済活動も飛躍的に拡大しました。それにともなって、製造業や農業のサプライチェーンも辺境の集落から大国の首都にいたるまで地球全体を包みこむように発達しています。

このような地球規模の貿易ネットワークが発達するのは、各国や地域ごとに安価な労働力があり、輸送費を補ってあまりある社会経済的なメリットがあるからです。

一方で、生産ネットワークの肥大化と複雑化に管理と運用が追いつかないという危機的な状況も発生しています。

そこでSCMを導入することで、生産や物流に関わる情報の管理を一本化して、商品の製造や流通環境に最適な物流プロセスを策定したり、経営視点で輸送管理を効率化したりできる管理システムの構築が求められるようになりました。

「うちは中小企業だからグローバルなサプライチェーンは関係ない」という方もいらっしゃるかもしれません。

でもSCMの対象になるのはグローバルなサプライチェーンに限りません。たとえばSCMを導入して社内の原材料調達から販売までの流通過程を合理化省力化すれば無駄なコストを抑えられるといった効果も期待できます。

SCMとERPの違い

ビジネスの場でSCMと混同されやすいのが「ERP(Enterprise Resource Planning)」です。日本語では「統合基幹業務システム」「企業資源計画」などと呼ばれています。

ERPは企業の活動を支える人や商品、資産や資金を「資源」と考え、それらの情報を一元的に管理するマネジメント手法をいいます。

ERPとSCMとの違いは、SCMの対象が資材調達から商品の流通販売までのサプライチェーンに限定されるのに対し、ERPはSCMを含む全ての業務データを管理することで企業活動全体の改善を可能にする、というちがいがあります。

ERPは管理システムとしての規模が大きく、これまでは大企業を中心に導入されていましたが、近年ではIoTやAIの技術革新によって初期費用や運用維持費が下がり、経営体力の乏しい中小企業にも導入の動きが広がっています。

SCMが注目されている理由

近年、国内外の多くの企業でSCMの導入が進んでいます。なぜ今になって、SCMが注目されているのでしょうか。それには以下の3つの理由をあげることができます。

企業のグローバル化が加速

前述したように経済活動のグローバル化によって、多くの企業が世界規模の物流ネットワークに組み込まれるようになりました。その状況下でサプライチェーンの情報を一元的に管理できない会社には、競争力の向上や経営の効率化は不可能です。

国内外に広がるサプライチェーンの情報をいち早く正確に把握することの重要性が認識されるようになったことが、SCMが注目される一番の理由といえるでしょう。

少子高齢化による人手不足

日本では景気回復と少子高齢化の影響で、中小企業を中心に「人手不足倒産」が急増しています。

そこで人員配置を最適化して効率的に運営できるSCMの重要性が広く認識されるようになりました。

AI・ビッグデータのビジネスへの活用

ICT(Information and Communication Technology「情報通信技術」)とAI(人工知能)技術の急激な発展と普及によって、ビッグデータが急増しています。

ども、そのデータは量が多いうえに時間軸も形式もバラバラで、精度や信頼性も一律ではありません。それをどのように管理運用していくかが企業経営の重要な課題になっています。

そこでSCMを導入してビッグデータをビジネスに活用すれば、経営体制から顧客管理まで幅広く最適化することが可能になります。

SCM導入のメリット

企業にとってSCMには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではおもなポイントを3つにしぼって解説します。

業務プロセス全体を最適化できる

SCMによってサプライチェーンの情報を一元的に管理して、物流業務のプロセス全体を可視化できれば、原材料の調達個数や、取引先への配送業務などを最適化して無駄なコストを削減できます。

さらに注文や流通の情報を製造部門や営業部門と共有して納期を最適化することで顧客の信頼を高め、取引を円滑に進められる効果もあります。

適材適所の人員配置が行える

SCMの導入により、サプライチェーン全体の情報を集中的に管理できれば、各現場の余剰人員を割り出して、適材適所の人員配置が行えるようになります。

市場分析により、需要変動にも対応可能

SCMの情報にもとづく市場分析により仕入れや在庫を常に最適化できれば、需要の変動に対しても素早く的確に対応することが可能になります。

SCM導入のデメリット

SCMは多くの企業にメリットを与えるメソッドですが、デメリットもないわけではありません。端的に言って、それはコストと人手の問題です。

導入にかかるコストが大きい

SCMは決して安価なシステムではありません。導入には、ある程度の人手とコストが必要になり、導入後は維持管理費が発生します。SCMのメリットを認めながらも資金や人員を充当するめどが立たず、導入できない企業も少なくありません。

SCMの導入によって、全体的には人員とコストの削減が期待できますが、それがどの程度になるかは、会社の事業規模や業種、業態、経営状態によりけりです。

ある程度予算に余裕があれば、時流の変化や取引先との連携なども総合的に考慮して導入を検討すべきかもしれません。

まとめ

  • SCMは1982年にアメリカで提唱された経営管理方法で、日本語では「供給連鎖管理」と訳されています。
  • SCMは世界経済のグローバル化とともに肥大化を続けるサプライチェーンの情報管理手法として再認識されるようになりました。
  • SCMとよく似た手法にERPがあります。
  • ERPはSCMを含む全ての業務データを管理して企業活動全体の改善を可能にする管理システムになります。
  • SCMの導入にはコストや人員を削減できるなど多くのメリットがありますが、導入や運用にコストと人手を要するデメリットもあります。