リリックとは|意味・使われ方、ポエムとの違い・ライム・フロウについても解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

「リリック」という言葉は、普段から音楽に親しんでいる人は、アーティストのインタビューや記事の中で見聞きすることが多いワードでしょう。しかしこの記事で初めて知る人も多いのではないでしょうか。

この記事では、「リリック」について解説します。「リリック」のもともとの意味や一般的な使われ方、「リリック」に関連する音楽用語の「ライム」「フロウ」についても触れていきます。

リリックとは|意味と使われ方

まず初めに、リリックという言葉の意味や使われ方について説明します。

リリックのもともとの意味

「リリック」とは抒情詩(じょじょうし・叙情詩とも書く)のことで、叙事詩・劇詩とともに詩の三大部門のひとつです。

「抒情」という字はあまり見かけることがありませんが、「抒(じょ)」は「心の中にある思いを述べる」という意味があります。また、「情(じょう)」は「こころ、気持ち」を表わします。
それぞれの字が持っている意味からもわかるように、抒情詩は自分の中にある思い、感情を表わす詩です。近代詩のほとんどはこの抒情詩であるといえます。

詩の三大部門といわれる抒情詩以外の2つ、叙事詩と劇詩についても簡単に説明しておきます。

「叙事」とは、出来事・事実をありのままに述べることです。「叙事詩」というのは、主に古代に作られた、神話・伝説・英雄の功業などを物語る長大な韻文を表します。(韻文とは和歌、俳句などに代表される、文字の配列や音数に一定の規律のあるものを指します。)

「劇詩」は、古代ギリシャ悲劇やシェークスピアの戯曲など、戯曲の形で書かれている詩です。古来演劇は韻文劇であり、セリフは詩の形式をとっていました。

リリックの由来

「リリック」の由来は古代ギリシャにあるという説があります。古代ギリシャで竪琴のリラ(lyre)の旋律にのせて気持ちを表現していたことから、抒情詩が「リリック」といわれるようになったということです。

リリックとポエムの違い

詩を表すカタカナの言葉として「ポエム」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「リリック」については前章で説明しましたので、ポエムとは何を指すのかを説明していきます。

ポエムというと、絵本などに添えられているフワッとした印象の詩というイメージがありますが、実は「ポエム」は「詩」全体を指す言葉です。
ですので、抒情詩としてのリリックはポエムの中のひとつの種類ということになります。

しかし、日本では「ポエム」を詩全体としてというよりは狭義にさらえることが多く、昨今ではSNSなどに書かれる自己陶酔感の強い詩を「ポエム」と呼んだりします。

リリックの一般的な使われ方

「リリック」は前章で解説したように抒情詩のことですが、近年では「リリック」というと歌の歌詞を指すようになっています。特にラップやヒップホップでは、歌詞のことをリリックと表現することが多くなっています。

ラップやヒップホップの世界で歌詞を意味する言葉として使われだした「リリック」ですが、今ではジャンルに関係なく、歌詞のことをリリックと表現するケースも多くみられるようになりました。

例えば「新曲のリリックすごくいいよ!」と言えば「新曲の歌詞すごくいいよ!」ということです。

特に抒情的に歌詞を形容するのに「リリカル」という言葉を使うこともあります。「彼の作品はリリカルで心を打たれた」のような使い方です。

リリックの関連語「ライム」「フロウ」

「リリック」「ライム」「フロウ」はともにラップで多く使われます。

ラップとは

ラップとは音楽のジャンルのひとつで、ビートにのせてリズミカルに喋るように歌う独特の歌唱法が特徴です。歌詞の内容は社会に対する主張など自分の意見や考えを表すものが主流になっています。

ラップを歌う人は「ラッパー」「MC」と呼ばれます。「MC」は「master of ceremonies」の略で、そもそもは司会者を意味するものですが、ラップをする人を指す言葉として定着しています。また、ジャンルの関わらず、コンサートの歌の合間のトークも「MC」と呼ばれます。

ラップには決まったリリックを歌うのではなく、即興でラップするフリースタイルラップもあります。さらにラッパー同士が即興のラップで口喧嘩をするフリースタイルバトルもTV番組などで取り上げられブームになりました。

このラップで重要になるのが「ライム」と「フロウ」です。

ライムとは

ラップのリリックの大きな特徴として「韻を踏む」手法があり、これを「ライム」と呼びます。

韻を踏むとは簡単にいうと言葉の音を揃えることで、一番わかりやすいのは語尾を揃える手法でしょう。2つ以上の言葉の母音を合わせるのが基本で、「感情」「天井」「尊重」「満場」などをリリックに入れ込んでいく形です。

他にも文の先頭を揃えるものや文全体を揃える高度なテクニックもあり、ライムを決めることが楽曲の良し悪しに影響するといってよいくらいにラップでは重要視されています。

フロウとは

「フロウ」とは歌いまわしのことです。ラップはただ音に合わせて語るだけではなく、リズミカルに強弱をつけて表現するのが特徴です。強弱をつけたりスピードに変化をつけて表現することを「フロウ」と呼びます。

この「フロウ」も「ライム」と合わせてラップミュージックを候せてする大事な要素です。

リリックビデオとリリックスピーカー

リリックが付属する単語として、「リリックビデオ」、「リリックスピーカー」があります。
両者についても説明します。

リリックビデオとは

リリックビデオとはアーティストのプロモーションビデオなどで、曲の歌詞を映像とともに繰り出していく映像のことをいいます。
もともとミュージックビデオでは歌詞を表示していないものが主流でしたが、全編に渡り歌詞を表示させるものが増えてきています。

近年ではただ単に歌詞を表示するだけではなく、曲のイメージに合わせて文字がデフォルメされたものや、文字がメインといっていいくらい主張のあるフォントで表示させるアーティスティックなリリックビデオも見かけるようになりました。

サカナクションのアルクアラウンドのミュージックビデオは凝った作りのリリックビデオとして話題になりました。

リリックスピーカーとは

リリックスピーカーとは、COTODAMA社から発売されている楽曲に合わせて歌詞が浮かび上がる機能を持ったスピーカーです。スピーカーがキャンバスのような役割になり、スマホと接続して楽曲を再生すると、歌詞のモーショングラフィックが浮かび上がります。

スピーカーにリリックを表示するという新しい試みに加え、インテリア性の高いデザインが評判になっています。

リリックについてのまとめ

  • 「リリック」はもともとは抒情詩のことをいいます。
  • 近年では歌の歌詞を指して「リリック」といいます。
  • 「ポエム」は詩全体のことを指し、「リリック」は「ポエム」の中のひとつにあたります。
  • ラップ用語として「リリック」の他に「ライム」「フロウ」があります。
  • 「ライム」は韻を踏むこと、「フロウ」は歌いまわしのことです。
  • 「リリックスピーカー」とは楽曲に合わせてリリックが浮かび上がるスピーカーです。