屹立の意味・読み方・使い方|類語・対義語、英語表現を例文付きで解説

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この記事では「屹立」の読み方や意味、屹立をつかった言葉やその類義語、英語表現について詳しく解説します。

屹立ということば自体は知っていても、読み方や詳しい意味については知らないという人も多いのではないでしょうか。
屹立とは山や市街の風景を表すときによく使われることばですが、具体的にどのような場面で使用されるのか。

「屹立」ということばについて、例文も併せて紹介していますので、参考にしてください。

屹立の読み方と意味

屹立は「きつりつ」と読みます。
意味は以下の2つがあります。

  • 山や建物などが高くそびえ立つこと
  • 人が動かずに立っていること

「屹」はその単語だけでも、山が高くそびえ立つ様子やそばだつ(他の物に比べてひときわ険しく高くそびえ立つ)ことを意味しています。
「屹然(きつぜん)」だと山が高くそびえ立つさまや孤高を保ち周囲に屈しないさまという意味になり、「屹度(きっと)」だと話しての決意や強い要望、表情や態度などが厳しいさまという意味になります。

屹立の使い方

サ行変格活用の動詞として「する」を付けて「屹立する」と動詞でも表現できます。
「屹立した」「屹立している」などと使用することもあります。

また、動詞にするときに読み方が変わることもあり、屹立ったで「きったった」「そばだった」「つったった」のように読む場合もあります。

どのような状況下で使用するのかと言うと、「屹立」は高くそびえ立つという意味があるので、山の壮大な風景や大きなビルが立ち並ぶ都市の風景を表すことばとして使われます。
また「屹立している人」のように人が動かずにじっと立っている様子を表します。

屹立を使った言葉

屹立を使った言葉として、四字熟語である「巍然屹立」があります。
巍然屹立は「ぎぜんきつりつ」と読みます。

「山などが高くそびえ立つ様子」「人や事物などがひときわ抜きん出て優れている様子」などいう意味がありますが、高くそびえ立つ様子という意味は屹立と同じです。
訓読すると「巍然として屹立す」となります。

「巍然」は山などが高くそびえ立っている様子を表すことば。
巍然の山が堂々とそびえ立つという意味は屹立と同じであり、同じような意味の単語をふたつ並べることで、山などが高くそびえ立っていることという意味をさらに強く強調しているのです。

【例文】

巍然屹立たる先人の業績に圧倒されるばかりであった

この文章での巍然屹立は「人や事物などがひときわ抜きん出て優れている様子」という意味。
先人の業績がひときわ優れているので圧倒されるということになります。

巍然屹立、富士山はどの山よりも高くて昔はどこからでも見ることができました

この例文の巍然屹立は「山が高くそびえ立っている」様子を表しています。
富士山は高くそびえたっていて、昔はどこからでも見ることができたという意味になります。

また、屹立を使った四字熟語にはもうひとつ「傲然屹立」という言葉もあります。
読み方は「ごうぜんきつりつ」。

意味は「誇らし気にそびえ立つさま」「堅固で揺るがないさま」「堂々としていて山が険しくそびえ立つさま」となっています。
傲然だけでは「おごり高ぶって尊大に振る舞うさま」という意味です。
屹立と合わさることで良い意味にります。

【例文】

この森の樹木は傲然屹立している

森の樹木が堂々と誇らし気にそびえ立っている様子を表しています。

屹立の例文

屹立の例文をいくつか紹介します。

【例文1】

市街には高層ビルが屹立している

ビルが高くそびえ立っていることを表しています。
都市で高層ビルが並び立っている様子が想像できます。

【例文2】

白髪の老人が屹立しているのであった

森鴎外の鎚一下という小説に描かれている表現です。
人が動かずに立っている姿を表しています。
白髪の老人が身じろぎすることなくじっと立っている姿を想像することができます。

【例文3】

動かない海と、屹立した雲の景色は十四歳の私の目に壁のように照り輝いて写った

こちらは林芙美子の風琴と魚の町に描かれている表現です。
雲のことを高くそびえたっているとするのはとても詩的な表現ですね。

【例文4】

門の前の空地の向うには、大きなS製薬会社のコンクリート壁が屹立っていて、ルンペンが三人ほどよりかかっていた

夢野久作の老巡査に描かれている表現です。
この文章では読み方は「きつりつ」ではなく「きったって」になります。
屹立ということばは山や高層ビルなどだけでなく壁などにも使われることがあることが分かりますね。

屹立の類義語

屹立には同じような意味の類義語がいくつかあります。

「そびえ立つ」「峭立(しょうりつ)」「聳立(しょうりつ)」が類義語にあたります。
それぞれの意味については下記のとおりです。

そびえ立つ:高さのある山や建築物がひときわ高く立っているさま
峭立:切り立つようにそびえること
聳立:まわりの物よりもひときわ高くそびえ立つこと

類義語の例文

それぞれの類義語について例文を紹介します。

そびえ立つの例文

  • 登山家は目の前にそびえ立つ山の迫力のも動じずに一歩一歩登り始めた
  • そびえ立つような黒ずくめの男と少年は出会った
  • そびえ立つツインタワービルの間を通り抜けて行く
  • ボルタリングとはそびえ立つ壁を登って行く競技だ

峭立の例文

  • 岩石峭立せる峻険の谷地
  • 孤高峭立した人目をおどろかすような岩の尖りはほとんど見られない
  • 見上げれば高さ幾丈の絶壁が峭立って(きったって)いる

聳立の例文

  • 大きな建物ばかりが四方に聳立している
  • 聳立った(そびえたった)洋館がある
  • 目の前には聳立する雄峰がある

屹立の英語表現

屹立の英語表現としては「tower」「soar」などがあります。

「tower」は直訳するとタワーや塔、塔状の建造物という意味になります。
「tower」の現在分詞である「towering」だと高くそびえる、大きな、高遠な、激しいという意味になるのでこちらの方が屹立に近いかもしれませんね。

【例文】

a towering mountain
(屹立する山)
The island towers above the Pacific.
(島は太平洋に屹立する。)

「soar」は高く上がる、舞い上がるという意味もありますが、屹立と同様の(塔・山などが)そびえる という意味もあります。

【例文】

The mountain soars high above all its rivals.
その山は群峰の上に屹立している。
The mountain soars above the clouds.
山は雲上に屹立する。

まとめ この記事のおさらい

  • 屹立は「きつりつ」と読みます。
  • 屹立には「山や建物などが高くそびえ立つこと」と「人が動かずに立っていること」のふたつの意味があります。
  • 屹立は、動詞として屹立ったと書くことで「きったった」「そばだった」「つったった」と読むこともあります。
  • 屹立を使った言葉として「巍然屹立」「傲然屹立」という四字熟語があります。
  • 巍然屹立の「巍然」「屹立」ともに高くそびえ立つという意味があり、同じような意味の熟語を重ねることで、そびえ立っている様がより強調したことばになります。
  • 屹立の同義語には「そびえ立つ」「峭立(しょうりつ)」「聳立(しょうりつ)」などがあります。
  • 屹立の英語表現には「tower」「towering」「soar」などがあります。