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「揶揄」という熟語をご存じでしょうか。
漢字検定の読み問題ではレベル1級に入る難読語ですが、政治がらみのニュース記事で比較的よく使われる言葉でもあります。
そこで今回は「揶揄」についてくわしく解説してゆきます。
「揶揄」の読み方や意味に自信がない方はぜひお読みください。
揶揄の読み方・正しい意味・使い方
揶揄の読み方
「揶揄」は音読みでは「やゆ」と読みます。
訓読みでは、末尾に送り仮名の「う」をつけて「揶揄う(からかう)」と読みます。
揶揄の正しい意味
「揶揄」の意味は、訓読みの「揶揄う」と同じく「からかう」です。
ただし厳密に言えば、単に「からかう」だけでなく、「皮肉やいやみを含んだ言動で相手をあざけり、からかう」という侮蔑的なニュアンスが含まれることに注意しなければなりません。
特に新聞やネットのニュース記事では、社会的地位の高い人たちを皮肉ったり、おちょくったりするという風刺的な意味で用いられるのが一般的で、それ以外ではほとんど使われない言葉になりつつあります。
揶揄の使い方
「揶揄」は名詞ですが、基本的には、助動詞の「する」をつけて「揶揄する」「揶揄される」の形で使われます。
新聞やネットのニュース記事では、「大臣を揶揄」などと体言止めにすることもありますが、これは見出しのアイキャッチの効果を高めることと、字数削減を目的とした用法です。ふつうの文章で揶揄を体言止めにすることはまずありません。
揶揄の語源
「揶揄」の「揶」には「からかう」「あざける」という意味があります。
同じく「揄」にも「からかう」「なぶる」という意味がありますが、もともと「揄」は「引き出す」「ほめる」を意味する字で、「しきりにほめておだてる」という意味の「揄揚(ゆよう)」という言葉もあります。
そして、その「おだてる」という意味がやがて「いい気にさせる」「からかう」という意味に変化して「揶揄」という言葉になった、とも言われています。
現代の日本語では「揶」も「揄」も単独で使われることはありません。
熟語にしても、「揶」が使われるのは「揶揄」だけですし、「揄」も「揄揚」と「揶揄」以外に使用例がなく、ほぼ「揶揄」だけに使われるという、とてもめずらしい漢字です。
揶揄と比喩は全く別の意味
「揶揄」は「比喩」と字面や発音が似ているせいか混同されることもありますが、実際には「揶揄」と「比喩」とでは全く意味がちがいます。
まず「揶揄」は前述のように「からかう」「おちょくる」「あざける」などを意味する言葉です。
一方、「比喩」のほうは、事物をわかりやすく説明するために他の物事にたとえて表現することを意味します。
比喩表現は説明の難しい事物をわかりやすく伝えるだけでなく、物事を多角的に表現することで相手の想像力を刺激してイメージを豊かにする効果があります。そのため文学では、比喩表現の善し悪しが作品を評価する重要なポイントのひとつになっています。
揶揄のビジネス上での使い方
ビジネスシーンで「揶揄」という言葉を用いるときには、注意すべきポイントがあります。
それは「揶揄」意味が「からかう」「もてあそぶ」だけでなく、社会的地位の高い人たちを皮肉ったり、おちょくったりするという、風刺的なニュアンスがあることです。
また、会話では「やゆ」という音が聞き取りにくく、漢字で書くと読めない人がいるという実用的な問題もあるため、ビジネスシーンではあまり使わない言葉になっています。
ではなぜニュース記事の見出しでは比較的よく用いられるのでしょうか。
それは「野党議員、大臣をおちょくる」と書くよりも、「大臣を揶揄」と書く方が報道記事らしく感じられるのと、文字数を削減できるからです。
もしも報道機関が「大臣をおちょくる」とでも報道したら、おちょくった側の議員がひどく底意地の悪い人に思われてしまい、記事を発表した報道機関が謝罪と訂正を求められる可能性もあります。
その点、「大臣を揶揄」という表現にすれば、底意地の悪いニュアンスが希薄になり、文字数も減るというダブルのメリットがあります。
「揶揄」がとりわけ政治関連のニュースの見出しによく使われるのは、そのような事情によるものと考えられます。
揶揄は国会の中だけで起こる問題ではなく、今や誰もが使っているSNS上でも問題となっています。
ネット上では匿名で発言ができるため、普段は言わないであろう揶揄や悪口を言う人が増えてしまいます。
さらにその悪口に「いいね」などの反応があると、揶揄や悪口が加速して、対象となる人物を追い込んでしまうのです。
SNS上の悪口や、グループから退会させるなどの仲間外れ、揶揄の書き込みなどは発展すると誰かを自殺へと追い込んでしまう可能性があり、とても危険です。
参照:https://www.asahi.com/articles/ASM624W3CM62UTIL00H.html
実際に、TwitterやFacebookなどのSNS上で個人を誹謗中傷する内容の書き込みをするのは犯罪行為です。
以前は、匿名での書き込みのため個人が特定されることはないと考えられていました。
しかし実際にはSNS上での誹謗中傷による損害賠償が認められる判例があり、ネットでの誹謗中傷や揶揄も許されるものではないことが証明されています。
犯罪行為とみなされるのは、
・具体的な事実を挙げた書き込み
・公然の場で行われた誹謗中傷
の場合です。
例えそれが事実であったとしても、取り締まりの対象になります。
SNS上であったとしても、他人を不快にさせる発言は絶対に避けましょう。
SNS上で揶揄された場合、どうすれば良いの?
では実際にSNS上で揶揄、誹謗中傷を受けた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
まず、SNS上にはインターネットを利用して人を攻撃し、欲求不満のはけ口としている人も存在することを覚えておきましょう。
日頃の生活に満足できない人ほど、匿名で現実と異なる世界を楽しむことができるインターネットの世界にはまってしまうという傾向があるようです。
「なぜこんなひどいことが言えるんだろう」
と思える書き込みがあった時には、そのような攻撃的な人もいると思い出していったん冷静になりましょう。
すぐに反応したり、自己防衛のために言い返したりしないことも大切です。
感情的に反応すると相手の承認欲求を満たしてしまうことになり、いっそう過激なやり取りになってしまうでしょう。
正義感ゆえについ言い返したくなるときには、一回スマホを置いたりパソコンの画面を閉じたりと、ネットの情報をシャットアウトしてみましょう。
気分を変えることで冷静になることができますし、時間を置くなら相手も激情する可能性が少ないでしょう。
時間を置いても揶揄や誹謗中傷が止まらない場合には、警察や弁護士、風評被害対策専門会社などに相談しましょう。
個人の場合は、ネットの誹謗中傷問題に詳しい弁護士さんに相談することをお勧めします。
弁護士さんに相談することで、SNSの書き込みの削除申請などを行なってもらうことができます。
SNS上に一度された書き込みは他の書き込みに使用されている可能性も高く、自分では削除しきれないため、弁護士さんの力を借りるのが得策と言えます。
揶揄や誹謗中傷に負けずにSNSを利用するために、正しい対策を講じましょう。
揶揄の類義語と例文
揶揄の類義語としては「からかう」、あざ笑う意味の「嘲笑」、相手をいじめておもしろがる意味の「なぶる」などがあります。
「からかう」の例文
「嘲笑」の例文
「なぶる」の例文
揶揄の対義語と例文
厳密な意味では揶揄に対義語はありません。
比較的意味が近い「あざ笑う」「なぶる」などの対義語としては、「ほめたたえる」「感嘆する」などをあげることができます。
「ほめたたえる」の例文
「感嘆する」の例文
揶揄の英語表現
揶揄の英語表現としては、「いじめる」「からかう」「しつこくねだる」などの意味があるtease、「あざ笑う」「あざける」「まねてばかにする」などを意味するmock、「冷やかす」「笑いものにする」を意味するridiculeなどがあります。
teaseの例文
(彼が散髪したときから、クラスメートが彼をからかうようになった。)
mockの例文
(新聞記者はインターネットをフェイクニュースと偽物を量産する手段でしかない、とあざけった。)
ridiculeの例文
(アメリカの大統領ドナルド・トランプは、政敵から「ロシアのプーチン大統領のような独裁者だ」と嘲笑されている。)
まとめ
- 「揶揄」は「からかう」「もてあそぶ」などを意味する熟語です。
- ニュースの記事では社会的地位の高い人たちを皮肉った内容の見出しによく「揶揄」という語が用いられます。
- 揶揄の「揶」と「揄」は単独で用いられることはまずありません。
- 揶揄の類語には「からかう」「なぶる」「嘲笑する」などがあります。
- 揶揄の意味に相当する英語はtease、mock、ridiculeなどがあります。