蠱惑的|意味・類義語・対義語・英語表現と例文を解説

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この記事では、「蠱惑的」の意味や具体的な使い方、類義語「魅力的」との違いなどをご紹介します。

特に類義語については、一見すると同じような場面に使えそうに感じます。しかし、言葉の持つ意味が微妙に異なるため、混合して使うと人前で冷や汗をかくことにもなりかねません。

この記事を読んで言葉の意味を理解すれば、ニュアンスや使うべきシーンが分かり、間違えることなく使えるようになるでしょう。

蠱惑的の読み方・意味・使い方

蠱惑的は「こわくてき」と読みます。「妖しい魅力で人の心を惑わすこと・たぶらかすこと」という意味です。

人の心を惑わすほどの容姿や仕草は美しさを連想させますが、「たぶらかす」という意味が含まれるとなると、単なる美しさだけではなくなります。

「たぶらかす」とは人をだまして惑わすことを指すので、「蠱惑的」は容姿や仕草で、人の心を騙し惑わすという意味なのです。

それは語源からもうかがい知ることができるでしょう。

蠱惑的の語源

「蠱」という字は改めてみると、皿の上に虫が3匹乗っているような形です。そもそもの由来は、この「蠱」を使った「蠱毒」という字に関係します。

蠱毒とは、古代中国で実際に使われた呪術のことです。蠱毒は、ひとつの容器に何百という虫を入れて飼育し、共食いさせて作ります。生き残った虫には霊力が宿るとされ、その虫から採取した毒が蠱毒です。

蠱毒は強い毒を秘めており、実際蠱毒を飲食物などに混ぜて飲ませると、そのほとんどが死に至ったと記載する文献が残っています。

また、「蠱」はまじないとも読み、「蠱」を使った言葉には、「まじもの(蠱物)」「まじこる(蠱る)」などがあります。「蠱物」は人を惑わす魔性のもの(こと)、「蠱る」はまじないをして相手を呪うという意味です。

つまり、「蠱惑」の「蠱」という文字は、人に害を与える毒のことで、「蠱惑」とは毒によって人を惑わす・陥れるといった呪術に由来する言葉から来ているのです。

ただし、現在では「毒になるほどの美しさ」という意味になるといえるでしょう。

蠱惑的と魅力的の違い

「蠱惑的」と「魅力的」の違いは、たぶらかすかどうかの違いです。「たぶらかす」とは、「だましまどわす・欺く」という意味です。

  • 蠱惑的・・・妖しく美しい容姿や仕草で人の心を惑わす・たぶらかすこと
  • 魅力的・・・人の心を惹きつける力のこと

「蠱惑的」は、美しさによって相手をだまし欺く邪心を持つという意味合いがあります。

一方「魅力的」は、ただただ人を惹きつけるという意味の「魅」の「力」を有することを表します。「魅力的」という言葉には、相手をどうにかしようという邪心の意味は含まれず、また美しさに限定したことでもありません。

蠱惑的の例文

「蠱惑的」は具体的にどう使うのかを、例文を使って説明します。

  • ベリーダンスは情熱的かつ蠱惑的なダンスだ
  • あの女性は蠱惑的な雰囲気を持っている
  • 蠱惑的な眼差しに、心が射抜かれた
  • なんともいえない蠱惑的な魅力がある
  • 蠱惑的で妖しい喋り方

上記の例文を見ての通り、「蠱惑的」は色気や色香を連想させる言葉として使われます。ビジネスシーンで女性を褒めるつもりで「あなたは蠱惑的だね」と言った場合、褒めるどころかセクハラ問題に発展しかねません。

しかし、同じ女性に向けるものでも、化粧品などのCMコピーで「ハッとするほど蠱惑的な唇に」などとする場合、小悪魔的な魅力が演出できるという、うたい文句として成立します。

魅力的の例文

次は、蠱惑的と混同されやすい「魅力的」を使った例文です。

  • 我社にとって魅力的なプランだ
  • いつも微笑みを絶やさない魅力的な人
  • あの人は、尊敬できる魅力的なリーダーだ
  • 魅力的なバスツアー
  • 誰もが熱中する魅力的なスポーツ

ご覧のように、「魅力的」は人だけでなく物や事柄などにも用られ、美しさ以外にも使います。興味や関心を惹きつける力があるといった意味です。

蠱惑的のその他の類語

蠱惑的の類義語としては、以下のような言葉があります。

・魅惑的
人の心をひきつけ、迷わせること
・誘惑的
心を惑わせ、悪い道へ誘い込むこと

(参考:三省堂 大辞林)

 

「魅惑的」は魅力で迷わせる・惑わす状態にするという意味です。

しかし、「誘惑的」は惑わすだけでなく、悪い道へ誘い込むという意味もあることから、惑わされた後に堕ちていくような意味合いをも含みます。

蠱惑的の対義語

「蠱惑的」の対義語はありませんが類義語の「誘惑的」「魅惑的」の対義語を解説します。

また、接尾語の「〜的」は「〜について表す」「そのような性質を持つ」という意味なので、「的」を外し「蠱惑」とすると、対義語は以下のようになります。

誘惑 ⇔ 善導(ぜんどう)・教化(きょうか)

善導は文字通り「良い方向に導く」で、「教化」は「教えて変化させる」です。しかし、これでは「蠱惑的」の対義語としてはあまりピンと来ません。

そこで、「蠱惑」と同様のニュアンスを持つ言葉「小悪魔」や「コケティッシュ」まで広げてみると、対義語は以下のようになります。

  • 清楚
  • 純真無垢
  • 天真爛漫

「清楚的」「純粋無垢的」とはいいませんが、「清楚な」「純真無垢な」と言い換えることができるでしょう。

類義語と対義語の例文

類義語を「誘惑的」「魅惑的」、対義語を「清楚な」「純真無垢な」とし、具体的な場面で使う際の例文をあげます。

類義語の例文

  • 休日の二度寝は実に誘惑的だ。
  • ダイエット中のスイーツは誘惑的だ。
  • 魅惑的なボディの新車。
  • ダイヤモンドの魅惑的な美しさ。

対義語の例文

  • 清楚な服装
  • 清楚で可憐な花
  • 純真無垢な子どもの目
  • 純真無垢な心

類義語の「誘惑的」は、分かってはいるけれど抗いがたく禁忌を侵してしまうような場合に、「魅惑的」はふと我を忘れて引き込まれるような場合に使います。

一方、対義語の「清楚な」は、清らかで飾り気がなくすっきりとした様子を、「純真無垢」はまっさらで嘘偽りがなく、邪心のかけらもない様子を表す様子を表現する場合に使います。

蠱惑的の英語表現

「蠱惑的」の英語表現は「attractive」です。

「coquettish」も間違いではありませんが、男たらしという意味があり、明らかな意思を含みます。

対して「attractive」は「魅力的」「魅惑的」という意味合いが強く、意思の有無にかかわらず、「魅力的な女性」という広い意味で使われます。

注意したいのは、日本語に訳す際「蠱惑」とするか「魅力・魅惑」とするかです。状況や文脈を考慮して判断しないとニュアンスが異なり、相手に不快感を与えてしまうからです。

まとめ この記事のおさらい

  • 「蠱惑的」は「妖しい魅力で人の心を惑わすこと・たぶらかすこと」という意味で語源は虫を使った呪術に由来する
  • 蠱惑的と魅力的の違いは、相手をたぶらかすか否か。「蠱惑的」は相手をだまし欺く意味を持つのに対し、「魅力的」は純粋に心が惹かれる力を有するという意味を持つ
  • 女性を褒める際、「蠱惑的」は相手に邪心があることを示唆するので使わないほうが良い。使うなら純粋に心惹かれる意味の「魅力的」を使う
  • 「蠱惑的」の英語表現は「attractive」。女性の美に対して魅力的・魅惑的という広い意味に使われるが、日本語訳にする際は状況や文脈を十分に考慮して使う注意が必要