ここでは、「斜に構える」のビジネスシーンにおける正しい表現方法、「斜に構える」を使用するときの注意点、実際にビジネスシーンで使う上での例文について解説しています。

またこの記事を通して、「斜に構える」と同様の意味を持った言葉として使われがちな「ナルシスト」「偏屈」という2つの言葉の違いについても学ぶことができます。

斜に構えるの読み方・意味・使い方

「斜に構える」は、「しゃにかまえる」と読む慣用句です。辞書によっては「はすにかまえる」と解釈することもあります。「斜」という漢字は「ななめ」とも読みますが、今回の場合「ななめにかまえる」とは読みません。一般的には「しゃにかまえる」が多く使われます。

「斜に構える」は、

  • 剣道で刀を斜めに構える
  • 身構える、改まった態度をする
  • 物事に反対しないで、皮肉やからかいなどの態度で臨む

という3種類の意味を持ちます。

もともとは「身構える、改まった態度をする」を意味する言葉として使用され、「社長から大切な話があると言われ、斜に構えて待っていた」などと使い、身構える・きちんとした態度をするという意味を表します。

しかし、「物事を斜めに見る」という言葉の表現から、誤用とされていた③の意味が定着し、現在では多く使われるようになりました。
「斜に構えた物の言い方をするな。」
などと使い、ひねくれた態度・皮肉な態度をとるという意味をあらわします。

斜に構えるの語源

「斜に構える」という言葉は、前述の通り「剣道の構え」を語源としています。

剣道には上段・中断・下段の3種類の構えがありますが、最も隙がなく、剣道の基本姿勢とされているのが「中断の構え」と言われています。

「中断の構え」は、相手に対して竹刀を「斜め」に突き出すように伸ばします。この「斜め」の構えが「斜に構える」の語源とされ、後に「身構える」「改まった態度をとる」という意味に繋がりました。

またこのことから、「斜に構える」の本来の意味は「相手に対し真剣に向き合い、隙のない態度をとること」だと分かります。

斜に構えるとナルシストの違い

斜に構えた態度をとる人を「ナルシスト」と呼ぶ人がいます。
しかし「ナルシスト」とは、自己愛が強い人を表す言葉であるため、斜に構える=ナルシストではありません。

「斜に構える」が「物事を正面から見ずに皮肉な態度をとる」のであるのに対し、「ナルシスト」は「うぬぼれが強く、自己愛に陶酔した態度をとる」ことを意味します。

「ナルシスト」の語源は、ギリシア神話の登場人物である「ナルキッソス」です。
ナルシズムの研究に貢献した心理学者フロイトが、水たまりに映った自分の姿に恋をした「ナルキッソス」の物語を受け、自己愛の強い人をナルシシストと呼ぶようになりました。

また「ナルシスト」は、日本において気楽に使われる言葉ですが、心理学の中では“精神障害・疾患”にもつながることから、注意が必要です。

斜に構えると偏屈の違い

「斜に構える」に似た言葉として「偏屈」があります。
「偏屈」の「偏」は、かたよるという意味があり、また「屈」にはかがむ・おれまがる・くじけるなどの意味です。

そのため「偏屈」とは、物事をネガティブに受け取り、ひねくれた態度で見て、素直でないことをあらわす言葉として使われています。

「斜に構える」が態度をあらわす言葉であるのに対し、「偏屈」はその人自身の“性格”を表すことが多く、「頑固」「意固地」「意地っ張り」「強情」などが類義語となります。

「偏屈」な人には、心が狭い、人を信用しない、素直さがないなどの特徴があるとされ、あまり良い言葉としては使われないため、注意が必要です。

斜に構えるの例文

「社長面談だからと言ってそんなに斜に構える必要はないよ。正面からのぞめば良い。」
「彼女の斜に構えた態度はどうにかならないものか。腹が立って仕方がない。」
「彼は斜に構えることを格好良いと勘違いしているようだ。」
「人の意見に耳を貸さず斜に構えてみているばかりでは、君は成長することはできない。」

斜に構えるの類語

「斜に構えるの」の類語には、「天邪鬼」「世を拗ねる」「シニカル」などがあげられます。

「天邪鬼」は「あまのじゃく」と読み、わざと人に逆らう言動をする人をしめします。
「天邪鬼」の起源は、日本神話に登場する「天探女(あめのさぐめ)」という女神だと言われていますが、「天探女」は別名「天の邪魔をする鬼」と呼ばれており、これが短くなり「天邪鬼」といわれるようになりました。
「天邪鬼」と同等の意味を持つ言葉としては、「つむじ曲がり」「ひねくれ者」があげられます。

「世を拗ねる」は、世の中が自分の思い通りにならないことに不満を抱き、反社会的な態度を取り、無関心を装う人をあらわす言葉です。

「物事を正面から見ずひねくれた態度をとる」点では「斜に構える」と同じですが、「斜に構える」よりさらに反抗的な態度を示す言葉となります。

「シニカル(cynical)」は、人や態度がひねくれていることをあらわす英語で、冷笑や嘲笑、他人を馬鹿にする態度を表す形容詞となります。

日本でも一般的に使われる単語となっており、ブラックジョークを売りとするお笑い芸人の紹介で「シニカルな笑いが人気」などと使われることがあります。

斜に構えるの対義語

「斜に構える」の対義語は、「素直」「率直」があげられます。
「素直」とは、ありのままで飾り気がなく、性質・態度が穏やかでひねくれていないさまをあらわす言葉です。

ビジネスシーンにおいて「素直」でいるということは、上司の言うことを逆らわずに受け入れる、一生懸命である、間違いやミスをきちんと認めることがです。

「斜に構える」態度がマイナスな印象にであるのに対し、「素直」な態度は好印象を持たれていることを意味します。
また「率直」も同じく、ありのままで隠すところがないことをあらわす言葉です。

類義語と対義語の例文

天邪鬼の例文
「彼の天邪鬼はいまにはじまったことではない。」

 

世を拗ねるの例文
「彼の世を拗ねたような態度は、見ていて不愉快だ。」

 

シニカルの例文
「世の中に対するシニカルな態度は、劣等感の証だ。」
素直の例文
「彼女の素直な態度はとても好感が持てる。」
「素直に謝られると反対にこっちがない気分になる。」

 

率直の例文
「次回の懇親会では、若手社員の率直な意見を聞きたい。」

まとめ この記事のおさらい

  • 「斜に構える」は、物事を正面から見ようとせず、ひねくれた態度・皮肉な態度をとることを意味する。
  • 「斜に構える」は、剣道の「中断の構え」が「斜に構える」と言われていたことが語源である。
  • 「斜に構える」は、もともと身構える・きちんとした態度を意味していたが、誤用であった「ひねくれた態度」という意味が一般的になった。
  • 「斜に構える」の類語は、「天邪鬼」「世を拗ねる」「シニカル」であり、いずれも物事をひねくれた態度で見て、素直でない様子を表す言葉として使われている。
  • 「斜に構える」の対義語は「素直」で、ありのままで飾り気がなく、性質・態度が穏やかでひねくれていないさまを表している。