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この記事では断腸の思いについて、言葉の意味と使い方、英語での表記について解説いたします。
「断腸の思い」という言葉についてテレビや新聞等で見聞きするのは、悲しい事件や悲痛なニュースが多いかと思います。その言葉の意味や語源を知ると、どれだけ深い気持ちが込められているかがよく分かります。
一方で意味をよく理解せずに使用すると、誤解を招いてしまう危険性があります。他の言葉以上に、意味の理解や使い方への配慮が必要になってきます。
この記事を通して言葉の意味を理解し、どのような感情が含まれているかが知ることができるでしょう。
断腸の思いの読み方と意味
「断腸の思い」は「だんちょうのおもい」と読みます。「はらわたがちぎれるほどに辛く、苦しい思いをする」という意味です。
「腸」(はらわた)を「断つ」(ちぎれる)という字の通り、程度が甚だしく辛い、苦しいという気持ちが伝わってくる言葉です。
先述した悲しい事件や悲痛なニュースでよく使われるのは、それだけ悲しみが大きいことを表現する為といえるでしょう。そういった意味では、あまり見聞きしたくない言葉でもあります。
断腸の思いの語源、由来は中国故事の猿
「断腸の思い」の語源は中国の「世説新語」(せせつしんご)の「黜免」(ちゅつめん)」という故事(昔から伝わっている話)です。また由来になった登場人物は、主人公の「母猿」です。
その昔中国の晋に「垣温」(かんおん)という武将がいました。垣温一行が蜀に向かう為、船で川を渡っていました。船が三峡(長江の上流の渓谷)までやってきたところで、同船していた垣温の従者が小猿を捕らえてきました。母猿は悲鳴を上げて泣きながらも、子猿を取り戻そうと岸伝いに垣温の船を追いかけます。
百里(約393キロメートル)あまり行ったところで船が岸に近づくと、母猿はとうとう船に飛び乗ることに成功するも、間もなく力尽きて死んでしまいます。
その後小猿を捕らえた従者が母猿の腹を割いてみたところ、見るも無惨に腸が断ち切られていたそうです。
この故事と母猿が語源であり由来です。
こうして語源を知ると、子を思う親の気持ちがどれだけ深く強いかがよく分かる言葉です。
なお、垣温は母猿の最後を知るとひどく立腹し、子猿を捕らえた従者を罷免してしまったそうです。
断腸の思いのビジネス上での使い方
断腸の思いはビジネス上でも使われることがある言葉です。ビジネス上でも、尋常ではなく深い苦痛や悲しみを表現したい時に使います。
「今回御社のご期待にお応えすることができず、断腸の思いです。」
本心に反して断らざるを得ず辛い気持ちを伝える際に使います。
「断腸の思いで今回の商品価格改訂に至りました。」
今回の決定は苦肉の策であることを伝える時にも使います。
一方で使い方を誤ると相手を不愉快にさせてしまいかねません。もしビジネスで使う場合、以下の2点に留意する必要があります。
- 辛く苦しいという気持ちが極めて強いこと
- 使用頻度が少ないこと
例えば
「今朝熱を測ったら微熱だったのですが、断腸の思いで出社しました。」
上記のように上司に報告しようものなら、「何ておおげさな人なんだ」と思われるでしょう。
また何度も繰り返していると「お前の腸はいくつあるんだ」というように受け取られてしまう可能性があり、だんだんと言葉の重みがなくなってしまいます。
ビジネス上で使う場合は、以上の2点に十分留意しましょう。
断腸の思いの類義語
断腸の思いの類義語は、同じように深い辛さや苦しみを意味しています。
- 後ろ髪を引かれる思い
- 胸が張り裂けそうな思い
- 身を切られる思い
「後ろ髪を引かれる思い」は「未練があり、また心残りでその場から離れられない」という意味があります。お客様先から辞去する際等に使われます。
「胸が張り裂けそうな思い」は「悲しみや苦しみ等で心がいっぱいになる」ことです。失恋や離別等、愛する人と離れてしまう時の気持ちを伝える時によく見聞きする言葉です。
「身の切られる思い」は「辛さや寒さが厳しく、ひどくこたえる」ことを意味しています。心理的だけでなく、身体的にも辛いことを表現したい時はこの言葉を使います。
類義語の例文
(取引先のお客様への訪問から辞去する際に)「後ろ髪を引かれる思いですが、本日はこれにて失礼いたします。」
本当はまだ居残っていたいが、やむを得ずに辞去しているということを伝えようとしています。先方としても配慮が十分に感じられ、スマートな大人のやり取りだと感じさせる使い方です。
「恋人と別れた直後のことを思い返すと、今でも胸が張り裂けそうな思いだ。」
付き合っていた当時の恋人への愛情がそれだけ深かったことが分かる表現です。
「北国で一冬越した時は、気の切られる思いをしたものだ。」
身体的に寒さがこたえる際に使います。今回の使い方では、北国での冬の寒さを強調する効果があります。
断腸の思いの対義語
断腸の思いの対義語は、慣用句としては存在しません。あえて対義語をいうのであれば、以下があげられます。
- 幸福
- 快楽
- 至福
- 満足
断腸の思いが深い辛さや苦しみを表現する言葉ですから、対義語として使う場合には「この上なく」、「非常に」、「とても」、「十分に」等とセットにするとよいでしょう。
例えば次のように使います。
「今回の試験に合格でき、この上なく幸福な気持ちでいっぱいです。」
「私は先日の展覧会の内容に対して、非常に満足しています。」
満ち足りた、幸せな気持ちが強いことを表現するようにすると、相手にもより伝わりやすくなります。
断腸の思いの英語表現
断腸の思いは、英語では以下のように表現します。
(断腸の思い)
(断腸の思いで決断する)
(断腸の思いである)
英文としては、以下のように使います。
(彼は断腸の思いを感じていると思う)
(彼女は断腸の思いで決断をした。なぜなら、それは彼女の人生に関わるからだ)
(もし彼が断腸の思いでいるなら、私が彼を支える)
英語でも日本語同様、辛さや苦しみが深いことを伝えたい時に使う表現です。
まとめ この記事のおさらい
- 断腸の思いは「はらわたがちぎれるほど辛く苦しい思いをする」という意味がある
- 中国の故事が語源、その登場人物の母猿が由来である
- 強い感情表現をする際に使う言葉の為、オーバーな表現だと思われないように使い方に注意する
- ビジネス上ではより一層使い方に注意する必要がある。使い方を誤ると、大げさな印象を与える等相手の気分を害してしまう恐れがある
今後テレビのワイドショーやニュース等でこの言葉に触れた際に、その辛さや苦しみの深さに思いを馳せるとより感情移入できるかもしれません。
また良くも悪くもオーバーな表現だと受け取られかねない場合があるので、使い方には十分気をつけましょう。