性格が良く、頼まれたらNOとは言えないような人のことを「お人好し」と評価することがあります。基本的には良い意味で使われることが多いですが、普通に「人格者」と表現するのとは違い、少し軽く見ているゆなニュアンスが含まれるのも確かです。

では、具体的には「お人好しな人」というのはどんな性質を持っているのでしょうか。

ここでは、お人好しの意味や語源、お人好しな人の特徴などを紹介いたします。

お人好しの意味

「お人好し」とは、性格が良く大人しく、友好的である反面、人を信じきってしまったり、騙されやすかったりする人のことを指します。

「人格者」や「器量が大きい」といった言葉と近い面もありますが、「お人好し」の場合は、ややデメリット、すなわち人に出し抜かれたり騙されたりしてしまう面が強調されることとなります

しかし、お人好しと評価をされる人の多くは、もし嫌な目に遭ったからと言って警戒心を強くして、ガードを固めたりはしません。

だからこそ、「人」、つまり、私たち人間の根幹をなす「心」の部分が「よい」と見なされるのです。単に客観的な評価としての良悪ではなく「好む」という文字が当てられているのもポイントです。

特に意識をせずとも人を受け入れ、辛い目に遭ったとしても笑って許せるような器量の持ち主だからこそ、周りにいる人々も、危なっかしいし損だと思いつつも、そんな人のことを好まずにはいられなかった、という昔からの人間関係が見えてくるようでもあります。

そのため、お人好しの人の周りには、シビアな仕事などの現場であっても、親しい仲間や頼りになる取引先がごく自然についていることが少なくありません。単なる「世間知らず」とは違う、一本筋が通ったものがあるだけに、周囲からも信頼されるのです。

お人好しの英語表現

お人好しを英語で表現する場合、しばしば「sucker」という言葉が使われます。これは、「馬鹿者」「(騙す相手から見た)カモ」といった意味がある単語で、かなりシビアな表現とも言えます。どうしても英語圏のような広い社会では、シビアにとらえられてしまっていたのかも知れません。

いくつかの単語を連ねてお人好しと示す場合は、「a good-natured person」と表記されることもあります。こちらも「騙されやすい人」という意味になりますが、「善良で無垢」という言い方になっていることから、印象としては大分柔らかくなっていますね。

お人好しの類語・似た性格

お人好しの「性格が良く騙されやすい人」という意味からの類語となると、「うかつ者」「愚か者」「格好のマト」といったものがあります。ほとんどは良い意味で使われることなく、人をなじったり、悪い意味で使われたりすることになる言い方ですね。

動物のように形容するケースもありますがその場合も「カモ」や「アホウドリ」のように、もっぱら人間に捕らえられてきた、しかも比較的簡単に仕留められていた鳥たちが使われることが多いようですね。

完全に類語とは言えない「お人好し」に近い性格を示す言葉には「好々爺」や「鷹揚」といったものがあります。しかしながらそうした言葉には、「お人好し」のようなマイナスイメージはありません。端的に言ってそれは、「能力」的な部分が影響している部分が多くあります。

可愛らしい孫と接するように無邪気で朗らかな「好々爺」な人でも、その年齢になるまでには様々な苦労があり、嫌な経験もしてきたはずです。だからこそ、決して表には出さないものの警戒心はあり、人を見る目も確かだったりします。

「鷹揚」という言葉に関しても似たようなところがあり、「鷹揚な態度」、「鷹揚な物腰」と評価をされるのは、現在社会で言うなら社長などの社会的地位にある人にほぼ限られています。だからこそ、厳しい競争社会で生き抜いただけの能力や警戒心が備わっていると、周りは判断するのです。

現在、お人好しが原因で嫌な目に遭っている人も、その「人の良さ」を最後まで貫くことで、誰もが一目を置くような、本物の能力を得られるようになるかも知れません。

お人好しの特徴1:教えたがり

人は十人十色、性格も実に様々で、いわゆる良い人柄とされる人に関してもその点は同様ですが、周囲からお人好しだと思われる人には共通項があります。

それは「教えたがり」だということです。たとえ少々気に入らない相手でも、意地悪とするといったこととは無縁で、また、部下の成長のためだからと非情に徹したりもできないタイプですので、乞われれば大抵のことは教えてくれます。そのため、お人好しな先輩がいると仕事に入るのには随分楽になり、周囲の負担も軽減されることになります。

「教える」という手間なリスクをその人が背負う形になるので、周りはかなり楽ができるわけですね。

もっとも、「教えたがり」な気質なプライベートにおいても変わりません。他の人が絡むことであればまだしも口も堅くなりますが、純粋に自分のことであれば、聞かれたらついつい話してしまうことにもなってしまいます。

他愛のないことであればそれでも良いのですが、ついうっかりで弱みを握られてしまいかねないのは難点と言えるでしょう。

お人好しの特徴2:他人に甘い

多くの人がシビアな対応をしてくるようなビジネスの場であっても、周りからお人好しと言われる人は、かなり優しく、場合によっては「甘い」と評されるような対応になることが少なくありません。

もちろん、仕事に対して軽い気持ちが働いているわけではないのですが、事を起こしてしまった人のことをおもんばかってしまい、どうしても決然とした対応には至れないのです。

だからこそ、そうした点を他の人からは咎められ、ストレスを貯め込むことも少なくないのが辛いところですが、その相手の弱みを握ったり、後に利用したりといった悪巧みのもとでの「甘さ」ではなく、まったく素直な心から出たものだけに、嫌味がなく、優しくされた方も素直にその善意を受け取ることができます。

だからこそ、寝首をかかれることもありますが、人からは軽んじられても嫌われず、会社内の地位とはあまり関係なく、いい人間関係を構築することができるのも、お人好しの特徴と言えます。

お人好しの特徴3:仕事に忙殺されやすい

人の心の弱さや優しさに共感できるお人好しの人は、もちろんプライベートな人間関係を大事します。

家族サービスはもちろん、友達との付き合いも欠かさず、できればずっと親しくとも考えるタイプですが、現実は理想とは裏腹に、まったくプライベートがなくなってしまうことも珍しくありません。

性格が良く素直に受け取ってしまうことから、同僚から「事情」をタテに仕事を頼まれると断れず、断れずに居残りで仕事をしていると、また他の人から頼まれ、といった具合で、どんどんこなす必要がある仕事の量が増えてしまい、結果として忙殺されることにもなってしまうのです。しかし、仕事の世界で相手を蹴落としてでも成り上がろうというタイプではありませんので、多過ぎる仕事に潰されてしまうことも少なくありません。やはり無理のし過ぎは禁物ということになりますね。

とは言え、頑張っている姿は誰かが見ているもので、ましてや人のために努力する姿は感動をもたらすものでもあるので、本人は意識せずとも絶大な評価につながることもあります。

お人好しの特徴4:友達として付き合うには最適

どうしても様々な局面で「甘さ」が出てしまうことから、仕事というシビアな場では評価されにくい面があるのがお人好しの人ですが、そうした場から離れ、友達付き合いをするなら、これほど多くの人にとって相性の合う性格も少ないのではないかと思います。

まず、あまり強いこだわりを見せずに周りとの仲を取り持とうとするので、色々な人が集まる場での潤滑油的な役割を実にうまくこなしてくれますし、仲間に対して邪念や悪意を持ったり、嫌な行動に出てくる心配もまずありません。さらには、何らかの原因で喧嘩になった時でもすぐに本心から謝ることができるので、不仲になることもなく、良い関係を保つこともできます。

また、人の悪意には鈍いところがありますが、善意には敏感なので、仲間内での誕生日祝いやイベントなど、様々な節目を祝うにも全力で取り組んでくれたりもするので、他の友達への好影響も大きいのが素晴らしいところですね。

お人好しの特徴5:いざという時の勝負に弱い

しかし、お人好しな人は、土壇場の局面で、力を発揮するのは極めて難しいという難点があります。

まず、相手の弱さが良く見えてしまうので、逆にそこを突くのを過度に恐れてしまい立ち遅れたり、いつもの癖で、自分や周りの弱点を喋ってしまったりするなど、かなり勝ちから遠ざかってしまうようなポカを何度も行ってしまうことにもなってきます。

また、非情には決してなりきれないので、勝ちを決定付けることも苦手です。

人を黙っていても集められるのがお人好しの人の美徳ですが、シビアなコンペなどの担当にはならない方が良いでしょうし、任命しない方が良いというのが正直なところです。

お人好しの人との付き合い方

お人好しと付き合う際には、常に相手との「距離感」を考えておくのがベターだと思われます。どんな付き合い方をしても真心を返してくれるのがお人好しの人の美点ですが、だからこそ、あまりに依存してしまうと相手の負担になってしまいますし、打ちのめされているところを見るようなことにもつながりかねません。また、押しの弱さを突かれて、いじめられているような姿を目の当たりにしてしまうようなリスクもあります。

もっとも、そういった部分に覚悟して付き合うのであれば、お人好しの人は、他のタイプではありえないような潜在能力や一生懸命さを見せて、あなたをサポートしてくれることにもなってきますし、周りの人との仲もつなげてくれるでしょう。

とは言え、損得勘定で付き合うかどうかを決めてしまうのでは、その本心が相手にも伝わってしまいかねないので、やはり、お人好しの人と本気で向き合うのなら、相手がしてくれているのと同じように、真心で付き合うと決めるのはベターだと思われます。相手を騙したり陥れたりしないからこそお人好しと言われているわけで、誠意をもって尽くせば最良の人間関係が築けるでしょう。