「予定調和」とは?意味や使い方、類語などを例文と共に解説

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物事が予想通りに進んだときに、予定調和という表現を使うことがありますが、言葉の正しい意味を知らない人も少なくありません。

この記事では、予定調和の意味や使い方、例文、英語表記も解説します。

予定調和は日常会話の中で頻繁に耳にする言葉ではありませんが、覚えておくと会話や文章の中に予定調和が出てきたときの理解が深まるうえ、自身の語彙も豊富になります。

そもそも予定調和とはなにか?


予定調和とは、舞台や映画、政治など社会で起こる物事が予想する流れに沿って動き、結果まで予想通りであることをあらわす言葉です。

イレギュラーな存在が現れようとも最後には全体として調和のとれた状態や、ありふれた状態になることが予想できてしまうような展開をあらわします。

「予定」は行事・行動などについて前もって決めることをあらわし、「調和」は矛盾や衝突などがなく、まとまっていることを意味しています。

上記の二つを合わせて、前もって決めたことに矛盾なくまとまることを「予定調和」といいます。

分かりやすい例としては、時代劇の『水戸黄門』で、悪人に悪さをされて困っている町人が、立場を伏せた黄門様御一行と出会い、最後は悪人が紋所を見せられてひれ伏し、めでたしめでたしの結末を迎えることが予定調和です。

他の例では、物まね番組で後ろからご本人が登場し、物まね芸人は一旦驚くも、そのまま本人と一緒に熱唱、などという、誰もが始めから展開を予想できる展開も予定調和です。

哲学用語としての予定調和の意味


予定調和は、ドイツの哲学者ゴットフリート・ライプニッツが唱えた学説が元の言葉です。

ライプニッツは「世界の秩序は、あらかじめ神が定めた結果だ」とする形而上学を提唱しました。

例として、Aが語った言葉をBが理解するのはA,B,2つのモナドのそれぞれの内的変化が、あらかじめ神によってしかるべく定められているからである。という説です。

ライプニッツは「モナドは相互に影響し合うことはなく,因果関係は見かけにすぎない。」ともいいました。

「モナド」は聞きなれない言葉ですが、ライプニッツが提唱した空間を説明するための概念です。

ギリシア語の「μονάς monas モナス(個、単一)」「μόνος monos モノス(単一の)」に由来し、単子と翻訳される場合もあります。

上記のライプニッツの予定調和から転じて、決まった結末が定められ、事態がその結末へ向けて収束することを予定調和と呼ぶようになりました。

予定調和の使い方と例文


予定調和は、予想していた通りの展開や、結末に出くわしたときに使います。

以下では会話や文章内でどのように使うのかを例文で解説します。「~予定調和である」と肯定的に使うことも「~予定調和ではない」と否定的に使うこともできます。

この映画は予定調和な結末だった。
人生はすべてが予定調和では進まないものだ
予定調和な会議ほど退屈なものはない。
サスペンスドラマは予定調和とわかっていながらも、毎回ハラハラしながら観てしまう。
時間をかけて議論しているが、結局は予定調和に法案が成立するであろう。
昨日観た映画はあまりにも予定調和的な展開でつまらなかった。

予定調和の使い方の注意点

予定調和とは前述の通り、「前もって決めたことに矛盾なくまとまること」を意味します。一見ポジティブな印象を受ける言葉ですが、伝え方や受け取る人によっては皮肉のように聞こえる場合もあるので注意が必要です。

相手を褒めたいときに使う場合は、どちらとも取れる微妙な伝え方は控えるようにしましょう。

予定調和の類語と対義語

予定調和の類語と例文

予定調和の類語は、物事が予想通りに進むことを意味する言葉です。予定調和の類語と例文を以下で解説します。

示し合わせ(意味:前もって相談しておくことや、合図をして知らせあうこと。)
「昨日の会議は示し合わせていたかのような展開だった。」
「あの二人と一緒の席になるなんて、あらかじめ示し合わせていたに違いない。」
予想通り(意味:思っていた内容が事実と同じさま。)
「この小説は予想通りの結末だった。」
「幼馴染だった二人は周囲の予想通り結婚した。」
お約束(意味:多くの人が心待ちにしている内容、定番ネタ、お決まりの展開のこと。)
「人気コンビのお約束ネタが大ウケした。」
「朝礼で課長が説教をするのはお約束だ。」
お決まり(意味:いつも同じでありきたりであるさま。)
「同期の飲み会はいつも、居酒屋に始まりカラオケで終わるというお決まりのコースだ。」
「お決まりの人生を歩んでいたとしたら到底できないであろう貴重な経験をした。」

予定調和の対義語と例文

予定調和の対義語は、物事が予想しない方向に進むことを意味する言葉です。予定調和の対義語を、例文とともに解説します。

予想外(意味:予想とは違った成り行きになること。)
「今回の衆院選は予想外の展開だった。」
想定外(意味:前もって予想した範囲を超えていること。)
「今回の旅行では、想定外の出来事にあって動揺した。」
期待はずれ(意味:心待ちにしていた結果にならないこと。)
「この小説は期待外れの結末だった。」
拍子抜け(意味:手ごたえや反応、やりがいが予想よりないこと。)
「難問と聞いていた試験問題が、意外にもあっさり解けて拍子抜けした。」
型破り(意味:常識を超えたやり方・考え方をするさま。)
「取引先の会社の社長が型破りな人で、度々驚かされている。」
殊の外(読み:ことのほか 意味:予想とかなり違っているさま。)
「今日は暖かいと思って半袖で出掛けたが、夜になったら殊の外寒くなってきた。」

予定調和の英語表現


ライプニッツの学説である予定調和を英語で表現すると「pre-established harmony」ですが、日常で使うことはほとんどないでしょう。

予想通りという意味での予定調和は、英語では以下のように表現するとよいでしょう。

Things happen as expected.
予想通りに物事が起こる。
Things take place as if it were predetermined.
あらかじめ決められているかのように物事が起こる。

予定調和についてのまとめ

  • 予定調和とは、物事が予想する流れに沿って動き、結果まで予想通りであることをいいます。
  • 予定調和は、ライプニッツが提唱した「世界の秩序は、あらかじめ神が定めた結果だ」という形而上学が基になっています。
  • 予定調和の類語には「示し合わせ」「予想通り」「お約束」「お決まり」などがあります。
  • 予定調和の対義語には「予想外」「想定外」「期待外れ」「拍子抜け」「型破り」「殊の外」などがあります。
  • ライプニッツの学説ある予定調和は、英語では「pre-established harmony」とあらわします。
  • 予想通り展開という意味での予定調和の英語表現は、「Things happen as expected.(予想通りに物事が起こる)」「Things take place as if it were predetermined.(あらかじめ決められているかのように物事が起こる)」を使うとよいでしょう。