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定年後の第二の人生や、脱サラをしてなにか事業を始めようかと考えたときに、飲食店の経営を候補に入れる人は少なくないでしょう。
この記事では、飲食店経営の実態について、難しい部分に焦点をあてて解説します。
飲食店経営は難しい
飲食業は開廃業率が最も高い
飲食店経営は数ある業種のなかでも難しいとされてます。
厚生労働省の「雇用保険事業年報」で発表された「業種別開廃業の分布状況」では、2015年度の開業率、廃業率ともに、宿泊業、外食サービス業が最も高いと記されています。
飲食店は開店から2年以内に約半数が閉店している
飲食店は、開業から1年未満で約35%が閉店し、1~2年以内には約15%が閉店しているというデータがあります。
上記の事から飲食店は開業から2年以内に約半数の店が閉店していることをあらわしています。
飲食店の基本的な利益構造
飲食店の利益は売上の5~10%程度です。
どの業種でも共通していえることですが、売上がそのまま儲け(利益)になるわけではありません。飲食店の利益は売上のおおよそ5~10%程度が一般的です。
利益は売上から経費を引いたものですが、飲食店の経費には以下のようなものがあります。
人件費・・スタッフの給料
消耗品・・割り箸、コースター、紙ナプキン、トイレットペーパーなど
雑費・・おしぼりやテーブルクロスのクリーニング代など
家賃・・店舗の家賃
水道光熱費・・水道、電気、ガス代
借入返済金・・借り入れがある場合の返済
減価償却費・・厨房機器や内装設備などの減価償却費
借り入れがない場合やスタッフを雇っていない場合は利益率が上がりますが、それにしても材料費や家賃以外にも多くの経費がかかることに注意しなくてはなりません。
飲食店経営が難しい一般的な理由
飲食店は飽和状態にある
飲食店全体の数は減少傾向にあり、日本の飲食店は飽和状態にあると考えられます。それでも新規開店が相次ぐということは、その分だけ別の店が閉店することになります。
さらに、特別に難しい資格や準備もなく気軽に始められることから開業数も多く、競争が激しい業種です。
飲食店経営には初期投資が1000万円程度かかる
規模によって差がありますが、飲食店を開業するには初期投資として1000万円程度はかかることが考えられます。
冷蔵庫、コンロ、シンクなどの厨房設備一式、内装、食器、物件の保証料などのほか、スタッフを募集するための費用やホームページ制作費用、チラシなどの販促物の費用もかかるでしょう。
初期投資でかかった費用は売上から回収していかなくてはなりません。
借り入れをした場合には返済期限もあり、利息も付加されます。初期投資費用を回収しながら利益を上げていくことは、飲食店経営の難しいことのひとつです。
飲食店経営は在庫管理が難しくロスが出やすい
飲食店は食材を扱うため、在庫管理が難しくロスが出やすく、ロスが出れば利益にひびき経営が苦しくなります。
起業をする際、初期投資が少なく在庫管理が難しくない業種はリスクが少なくてすみますが、飲食店は初期投資もかかるうえに在庫管理が難しく、ハイリスクの業種です。
飲食店経営はスタッフの確保が難しい
近年、外食産業はアルバイトの確保が難しく、慢性的に人手不足といわれています。
スタッフが集まらなければ店が成り立たないため、求人サイトに広告を出すなど募集にも経費がかかることになり、経営を圧迫してしまいます。
飲食店は体力勝負で保証がない
飲食店は思ったより長時間労働です。店を開けている時間以外にも、買い出しや仕込みに時間をとられるでしょう。ランチも夜も営業するとなると、早朝から深夜まで働くことになります。
特に自分ひとりや少人数で営業している店舗の場合、体調を崩しても代わりがいません。
突然店を休むことになった場合、せっかく来てくれたお客様をがっかりさせ機会損失となってしまいます。
飲食店は売上が安定しない
飲食店の売上はさまざまな要素に左右されます。週末は忙しい、給料前は暇、など予測ができるものはまだよいですが、ちょっとした気温の変化や天候、世間の流行などによって客足が全く違ってきます。
客数が少なければ売上が上がらないのはもちろんですが、仕入れていた食材が無駄になったり、スタッフに無駄に給料を支払うことにもなったりしてしまいます。
飲食店は売上に限界がある
飲食店は、席数、営業時間、営業日数などの大枠のところが決まっているため、どれだけうまく経営できたとしても売上には限界があります。
例えばスマホのアプリを開発している仕事の場合、アプリを多くの人が使ってくれれば売り上げが増えることになり、数か月で売り上げが何倍にもなる可能性もあります。
しかし、飲食業は一定の金額以上を売り上げることが難しく、飛躍的に売り上げを伸ばすことは難しいでしょう。
客数が少なければ売上が上がりませんが、多くのお客様が来店してくれてもキャパを超えて迎えることはできず、売上が少ない日の分を取り返すのが難しい事が飲食店の辛い部分です。
食生活が多様化しているため飲食業界は緩やかに衰退している
現代では、コンビニなどで買ったものを家で食べる中食(ちゅうしょく)や、食べ物やお酒を持ち寄って誰かの家で飲み会をする宅飲みが文化として定着しました。
現代では若年層のお酒を飲む機会が減っています。
日本の人口全体も減少傾向にあるため、飲食業界は緩やかに衰退していくことが考えられ、飲食店の経営は今よりももっと難しいものとなることが予想できます。
飲食店経営に必要な資格
飲食店経営には食品衛生責任者が必要
飲食店を営業する場合には、必ず各施設に1人、食品衛生責任者を置かなくてはなりません。資格がなければ、保健所から営業許可を受けることができません。
食品衛生責任者の資格は、各都道府県で実施している講習会を受講することで取得できます。
講習会は通常1日で、調理師、栄養士などの免許を持っている方は講習を受けなくても自動的に取得することができます。
30人以上収容できる飲食店経営には防火責任者が必要
収容人員が30人以上の店舗の場合は防火管理者を選任する必要があります。
延床面積が300平米以上の場合は「甲種防火管理者」、300平米未満の場合は「乙種防火管理者」の選任が必要です。
防火管理者になるためには、各地の消防署などが実施している講習会を受講する必要があります。講習期間は通常甲種は2日、乙種は1日です。
飲食店経営に調理師免許は必要ない
飲食店の開業に調理師免許が必要だと思っている人も少なくありませんが、調理師免許は必要ありません。
飲食店の開業は「食品衛生責任者」と「防火管理者(収容人数30人以上の場合)」があれば可能です。
飲食店経営についてのまとめ
- 飲食店は開廃業率が最も高く、経営が難しい業種といえるでしょう。
- 一般的に飲食店の利益は売上の5~10%程度です。主な経費は、材料費、家賃、水道光熱費、人件費、借入返済金などです。
- 飲食店経営が難しい理由としては、飲食店が飽和状態にあること、初期投資がかかること、在庫管理が難しいこと、体力勝負で保証がないこと、売上が安定しないことなどが考えられます。
- 飲食店の開業には「食品衛生責任者」と「防火管理者(収容人数30人以上の場合」が必要です。調理師免許は必要ありません。