この記事では、雇用形態のひとつであるパートについて、パートとアルバイトの違いやパートの有給休暇、社会保険などを解説します。

そもそもパートとはなにか?

パートとは、一般的に正社員に比べて労働時間が少ない働き方のことをさす言葉です。

パートタイム労働者は、全雇用者の約3割を占めています。

パートとアルバイトの違いは学生か主婦か

パートタイム労働法では「パート」も「アルバイト」も同じ「パートタイム労働者」というくくりに入れられています。

「パート」も「アルバイト」も、募集時や勤務先での呼び名として便宜的に使われているものと思ってよいでしょう。

「アルバイト」はドイツ語の「Arbeit」からきており、明治時代に学生の間で使われはじめたのが始まりです。

アルバイトという言葉が広く普及したのは、1980年代頃からファーストフードなどの求人で多く目にするようになったことがきっかけです。

「パート」は英語の「part time」(パートタイム)の略で、フルタイムに対する言葉として使われ始めました。

1955年ごろから百貨店が主婦を「短時間勤務」の販売員として相次いで採用したことがきっかけとなり、「パート」という呼びかたが定着していきました。

上記の経緯もあり、一般的には「アルバイト」といえば学生やフリーターのことを、「パート」といえば主婦層が短い時間働くことをさしています。

パートの有給休暇の日数と取得条件

パートタイムで働く人も、「6か月以上勤務」で「全労働日の8割以上出勤」をしていれば有給休暇取得の権利があります。パートの有給休暇は、労働日数や労働時間によって付与日数が決まります。

(1) 通常の労働者の付与日数

勤続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

(2) 週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数

週所定
労働日数
1年間の

所定労働日数※

勤続勤務年数
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数 4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

※週以外の期間によって労働日数が定められている場合

 

パートも条件によって社会保険の対象になる

パートタイムで働く人も、条件を満たせば社会保険(健康保険・厚生年金)の加入対象です。加入対象となる条件は所定労働時間が「週30時間以上」である方、または下記のすべてを満たしている方です。

① 所定労働時間が「20時間以上」
② 月額賃金8.8万円以上
③ 勤務期間1年以上見込み
④ 学生は除外
⑤ 従業員規模501人以上の企業

⑤については、従業員規模500人以下の企業で働く人についても、労使の合意がなされれば、社会保険に加入することができます。

社会保険は自分の意志で加入するか否かを決めるものではありません。加入対象となる条件を満たしていれば、加入しなくてはならないものであるため注意しましょう。

パートタイム労働法と平成27年の改正内容

「パートタイム労働法」はパートタイム労働者の「公正な待遇の実現」を目的として平成5年に制定されました。平成19年と平成27年に大きな改定が行われています。

パートタイム労働法の対象となるパートタイム労働者は、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者とされています。

「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、名称にかかわらず、上記に当てはまる労働者であれば、「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象です。

パートタイム労働法は、大きく以下の3点を目的としています。

パートタイム労働法の目的
(1)パートタイム労働者が、仕事の内容や責任の程度、人事異動の有無やその範囲に応じて公正な待遇を確保されること。
(2)パートタイム労働者が自らの待遇についてより納得性を高められること。
(3)パートタイム労働者から正社員に転換できる環境づくりを推進することです。

しかし、「パートタイム労働法」は平成27年の改定で、大きく以下の点が変わりました。

パートタイム労働者の公正な待遇の確保

正社員との差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲が拡大されました。

〈改正前〉
(1)職務の内容が正社員と同一
(2)人材活用の仕組みが正社員と同一
(3)「無期」労働契約を締結している
〈改正後〉
「有期」労働契約のパートタイム労働者でも上記の(1)(2)に当てはまれば、労働時間以外のすべての待遇において、正社員との差別的取扱いが禁止されました。

「短時間労働者の待遇の原則」の新設

広くすべてのパートタイム労働者を対象にした「短時間労働者の待遇の原則」も新たに設けられました。

パートタイム労働者と正社員との待遇を違うものにする場合は、仕事の内容や人材活用の仕組み、そのほかの事情を考慮して、不合理であってはならないというものです。

事業主によるパートへの説明義務の新設

改正パートタイム労働法では、パートタイム労働者を新たに雇った場合や契約更新をした場合、賃金制度や福利厚生、正社員転換制度などについて、事業主はパートタイム労働者に分かりやすく説明しなければならないこととなりました。

事業主は「相談窓口」を設け、「パートタイム労働者」にそのことを知らせなければなりません。事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するための体制を整備しなければなりません。

相談窓口となる担当者を決めて対応させたり、事業主自身が相談担当者となって対応したりすることをさします。

パートタイム労働法の実効性を高めるための規定の新設

上記のほか、パートタイム労働法にはパートタイム労働者に関する雇用管理を改善する規定が示されており、違反したままにしている事業主に対しては、厚生労働大臣による改善勧告が行われます。

引用:政府広報オンライン 改正パートタイム労働法が施行

パートについてのまとめ

  • パートとは、一般的に正社員に比べて労働時間が少ない働き方のことをさします。
  • パートとアルバイトに法的な定義はありませんが、一般的には「アルバイト」は学生やフリーターを、「パート」は主婦層をさしています。
  • パートも条件を満たせば有給休暇の取得や社会保険に加入ができます。
  • 「パートタイム労働法」はパートタイム労働者の「公正な待遇の実現」を目的とした法律です。