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フルタイムで働いているのにもかかわらず、満足な生活をするための収入を得ることができない人たちをさして「ワーキングプア」と呼んでいます。この記事では、ワーキングプアの定義や特徴、ワーキングプアの現状やワーキングプアから抜け出すための方法などを解説します。
ワーキングプアとは
ワーキングプアとは「働く貧困層」(working=働く・poor=貧困層)のことで、正社員と同じようにフルタイムで働いているにもかかわらず、貧困から抜け出せない人のことをさしています。
「ワーキングプア」はもともとアメリカで言われ始めた言葉で、日本では2006年以降にメディアで取り上げられるようになり、仕事がないための貧困ではなく働いているのに貧困という、新しい貧困層として注目されました。
ワーキングプアの定義
一般的にワーキングプアとされているのは、生活保護給付水準に満たない程度の収入で生活している人たちです。
年収にすると、おおよそ200万円以下とされています。
ワーキングプアが増加している理由
バブル崩壊後の長期不況に原因がある
ワーキングプアが注目され始めた背景には、バブル経済崩壊以降の長期にわたる不況の中で、企業が人件費を抑えるために、正社員の採用を控え、非正規社員と呼ばれる契約社員、派遣社員、アルバイトなどにシフトしていったことがあります。
景気回復後にシステムが変わらないことも原因
バブル経済崩壊後の長期不況をへて、日本経済は緩やかに回復してきましたが、ワーキングプアはなくなっていません。
これは、非正規社員の活用により人件費を抑えるという仕組みがうまく出来上がってしまっているため、やり方を変えるのがなかなか困難だということが原因の一つとして考えられます。
また、人件費を抑えることにより企業が利益を生み出すことが出来るようになったことから、景気が回復に向かったともいえます。
一度ワーキングプアになると抜け出すのが困難
一度ワーキングプアになってしまうと抜け出すのが困難だということも、ワーキングプアが増加している理由の一つです。
ワーキングプアの人は一つの仕事では収入が足りないため、仕事を掛け持ちでしている人も多くいます。そのため、転職のためのスキルを磨く時間をとりづらく、資格取得のための学校などに通うお金を工面するのも難しくなります。
正社員であれば仕事がそのままスキルアップや経験つながり、より条件のよい企業に転職することもできますが、非正規社員は働きながら学ぶ場もほとんどないため、条件のよい職場への転職がままなりません。
ワーキングプアが長くなればなるほど転職は難しくなっていき、抜け出すのが難しいのが現状といえます。
高学歴ワーキングプアも増えている
有名大学を卒業したにもかかわらず、思うような収入を得られない「高学歴ワーキングプア」も増えています。
大学院で博士号を所得した後、研究院として大学に何年か残った場合、新卒と呼ぶには年齢を重ねすぎていることになってしまいます。
また研究職の採用はさほど多いわけではなく、希望のポストに就くことはとても狭き門なのです。奨学金の返還に迫られ、しかたなくアルバイトをしながら希望の職を探しているうちに、さらに年を重ねて就職が難しくなってしまうケースも多くあります。
また、1999年の司法制度改革をきっかけに、弁護士の数が急増し供給過多になっている事象もあります。司法試験に合格し弁護士になれば高収入が得られる時代ではなくなり、年収200万円程度の弁護士も多く存在するようになってしまいました。
中高年ワーキングプアも増えている
40代、50代の中高年にもワーキングプアは増えています。中高年の人はいったん会社を辞めると再就職が難しくなります。
企業の都合でリストラされてしまった人のほか、病気などやむを得ない事情で仕事を辞めた人もいるでしょう。
中高年の人がいざ再就職をしようとした場合、特別な資格や技術を持っていない限り、就職できたとしても給料は前職よりぐっと下がってしまうのが一般的です。
また、両親の介護があり正社員で働くことが難しい人もいます。時間の自由がきくことを優先したために正社員で働けず、ワーキングプア状態になる人もいます。
さらに2000年初頭の就職氷河期に正社員につけなかった人たちが40歳を超える時期になっています。その人たちが正社員として就職する機会を逃したまま、中高年ワーキングプアとなっていることも中高年ワーキングプアが増えているの理由の一つです。
ワーキングプアの特徴
将来のビジョンがないからワーキングプアになる
高学歴ワーキングプアに多いのがこのタイプです。
博士号を取って専門の企業で研究職につくことを目標に今まで頑張ってきたために、目標としてきた職に就けなかったときにどうしていいかがわからなくなってしまうのです。
考え方が受動的で否定的
ワーキングプア人は、正社員になろうと思って希望が叶わなかった経験がある人がほとんどです。
そのときに「入りたい会社に採用してもらえなかった」「自分は努力したけどどうにもならなかった」というように、何かのせいにするところがあります。
両親が過保護
両親に甘やかされて育っている人もワーキングプアには多いです。
このタイプの人は、いつも親がフォローしてくれるために危機感が少なく、困ったときには助けてもらえばいいと無意識に考えている傾向があります。
頼れる人がいない
両親が過保護なのとは真逆ですが、ワーキングプアのほとんどは頼れる人がいない状況にある人が多くいます。
もし生活を立て直す間に頼れる人がいれば、ワーキングプアを抜け出すきっかけを掴みやすいですが、頼る人がいないためにワーキングプアを続けることになってしまうのです。
精神的に疲れてしまっている
働いても満足な収入を得られず、毎日お金のことを心配しているうちに、精神的に疲れてしまっている人も多くいます。
疲れてしまうと先のことを前向きに考えられなくなり、ワーキングプアから抜け出すこともなかなかできません。
ワーキングプアから抜け出すには
計画を立てることでワーキングプアを抜け出す
まずはいつまでに何をするのか計画を立てましょう。自分は何か月後に何をしていたいのか、必要なことは何かをきちんと整理してやることを決めます。
「お金がないから」と嘆いているだけではなにもできません。3か月だけバイトを掛け持ちしてお金を貯める、煙草とジュースをやめて半年で10万円貯める→そのお金で資格を取る→そのうえで転職活動をする、のように具体的に計画を立てましょう。
こだわりを捨てる
自分はこの仕事じゃないと働きたくない、土日休みじゃないと嫌だ、事務職以外はやりたくない、などとこだわっているとせっかくのチャンスも逃してしまいます。
新しい自分を見つけるつもりで、今まで考えなかった職種にも目を向けて転職を考えてみると、案外仕事が見つかるものです。
お金の使い方を見直す
すぐに収入を上げるのが難しければ、出ていくお金を減らすことも考えましょう。
スマホを格安SIMにしたり、電気やガスの契約を見直したりするのはもちろん、休日の昼間は図書館に行って光熱費を節約するとか、体力づくりを兼ねて電車やバスに乗らずに歩いてみるとか、楽しみながらできる節約を自分で考えてみると長続きします。
ワーキングプアについてのまとめ
- ワーキングプアとはフルタイムで働いているにもかかわらず、貧困から抜け出せない人のことをいいます。
- ワーキングプアはおおよそ年収200万以下をさします。
- ワーキングプアが増加しているのは、企業が非正規社員を使って人件費を抑えるやり方が定着してしまったことが一つの原因です。
- 有名大学や大学院を卒業しても収入の低い「高学歴ワーキングプア」や、40代、50代の「中高年のワーキングプア」も増えています。
- ワーキングプアの特徴として、将来のビジョンがない、考え方が受動的で否定的、両親が過保護。頼れる人がいない、精神的に疲れてしまっているなどがあります。
- ワーキングプアから抜け出すには、抜け出す計画を立てる、こだわりを捨てる、お金の使い方を見直すなどの行動をするとよいといえます。