ビジネスシーンでは、正式な書類に記入する際に「雇用主」「雇用者」「事業主」といった言葉の使い分けに迷うことはありませんか?似ているようで意味が異なるこれらの用語を正確に理解しておくことは、ビジネスパーソンとして非常に重要です。
この記事では、「雇用主」の定義から「雇用者」との違い、「事業主」との使い分け、さらに英語表現まで徹底解説します。書類作成や法律的な場面でも迷わず使いこなせるよう、わかりやすくまとめました。
「雇用主」と「雇用者」って、どう違うの?どちらが雇う側で、どちらが雇われる側なのかが混乱してしまいます。
とても混乱しやすい言葉ですね。「雇用主」は雇う側、「雇用者」は一般的に雇われる側を指しますが、文脈によって意味が変わることもあります。順を追って詳しく解説していきます。
「雇用主」とは?基本的な意味と定義
「雇用主」とは、労働契約において労務を提供する人と契約を結び、その労働に対して賃金を支払う者のことを指します。個人を指す場合もあれば、企業や団体を指す場合もあります。
労働基準法や最低賃金法、商法などの法律では、「雇用主」と同じ意味で「使用者」という言葉が用いられています。労働基準法第10条における「使用者」は、企業の社長・経営者・オーナーだけでなく、事実上の経営担当者であれば課長・係長などの役職者も含まれるとされています。
「使用者」と「雇用主」は、法律上かなり広い意味を持つ言葉です。経営者だけでなく、実質的に労働者を管理・指揮する立場にある人物であれば、役職に関わらず「使用者」に該当する場合があります。
労働契約書における雇用主の記載
労働契約書を交わす際、雇用主として記載されるのは一般的に会社名です。一部の企業では、会社名とともに部長・課長などの個人名が併記されることもあります。
個人名が併記されている場合は、その会社の社内規定などで労働契約の詳細が定められており、併記された役職者が被雇用者に対してすべての権限を持つ代表者となると考えられます。
こうした形式は特に、契約社員や短期就労者との労働契約において見られることが多いです。また、ESTAなどの出入国書類では英語から翻訳された「雇用主名」の記入欄があることがありますが、その場合は社長の個人名ではなく、法人名や個人事業名を記載するのが適切です。
派遣社員の場合、労働契約は派遣元と結んでいるため雇用主は派遣元です。実際に業務を行う派遣先企業は「労働提供先」であり、雇用主ではない点に注意が必要です。
雇用主の対義語・類語一覧
雇用主は企業や団体そのものを指すことも多いため、対義語がわかりにくいと感じる方もいるでしょう。以下に対義語と類語をまとめます。
| 種類 | 言葉の例 |
|---|---|
| 対義語 | 労働者・労務者・就業者・被雇用者・被用者 |
| 類語・言い換え | 使用者・雇い人・雇主・雇い主・抱え主・主人 |
| 「雇用」の対義語 | 解雇 |
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「雇用者」が持つ2つの意味と注意点
「雇用者」は一見シンプルな言葉ですが、実は2つの異なる意味で使われることがあります。文脈によって正反対の意味になることもあるため、注意が必要です。
- 意味①(一般的な使い方)
-
企業・団体・個人事業主などに雇われている人のこと。「被雇用者」または「被用者」と同義。国の労働統計では会社や団体の役員も雇用者に含まれるが、国勢調査など一般的な認識では役員は除かれることが多い。
- 意味②(一部の辞書・ビジネスシーン)
-
「雇用主」と同じ意味で使われる場合がある。労働者を雇っている個人や企業・組織のことを指す。
「雇用者」は文脈によって「雇われる側(被雇用者)」と「雇う側(雇用主)」という正反対の意味を持ちます。書類や会話の中で使用する際は、どちらの意味で使われているかを前後の文脈から慎重に判断するようにしましょう。
「雇用主」と「事業主」の違いを正しく理解する
「雇用主」と「事業主」はどちらも事業を経営する主体を指す言葉であり、意味としてはほぼ同義です。ただし、実際の使われ方には微妙な違いがあります。
| 用語 | 主な意味・使われ方 | 対象 |
|---|---|---|
| 雇用主 | 労働契約において賃金を支払う側 | 個人・法人どちらにも使用 |
| 事業主 | 事業の経営主体(事業者・業者とも呼ばれる) | 主に個人事業主に対して使用する傾向がある |
個人企業の場合は企業主個人を、法人企業の場合は法人そのものを指すことが一般的ですが、法人に対して「事業主」という言葉はあまり使われない傾向があります。これは、個人事業主特有の勘定科目として「事業主貸」「事業主借」が存在するためです。
なお、個人事業主であっても従業員を雇用することは可能です。その場合は企業や団体と同様に「雇用主」として扱われます。
「雇用主」の英語表現:employer・employeeの使い分け
英語での表現もビジネスシーンでは欠かせない知識です。正式書類や海外手続きに備えて確認しておきましょう。
| 日本語 | 英語表現 | 補足 |
|---|---|---|
| 雇用主(雇う側) | an employer | 最も一般的な表現 |
| 雇用者・被雇用者(雇われる側) | an employee | 一般的な表現 |
| 雇用主(正式書類) | a business operator | 公式文書等で使用されることがある |
「employer(雇用主)」と「employee(被雇用者)」は語尾で区別できます。「-er」は「する人(雇う人)」、「-ee」は「される人(雇われる人)」と覚えると混同を防げます。
雇用主・雇用者・事業主の違い:まとめ
ここまでの内容を整理します。それぞれの言葉の意味と使い分けを正確に把握しておきましょう。
- 「雇用主」は労働契約において賃金を支払う側。法律上は「使用者」と同義で使われることがある
- 「雇用者」は一般的に「被雇用者(雇われる側)」を指すが、文脈によって「雇用主」と同じ意味になることもある
- 「事業主」はほぼ「雇用主」と同義だが、個人事業に対して使われることが多く、法人にはあまり用いられない
- 派遣社員の雇用主は派遣元であり、派遣先企業は雇用主ではない
- 英語では雇用主を「an employer」、被雇用者を「an employee」と表現する
- ESTAなど出入国書類の「雇用主名」欄には、個人名ではなく法人名・個人事業名を記載する
「雇用主」「雇用者」「事業主」はいずれもビジネスや法律の場面で頻繁に登場する言葉です。特に「雇用者」は文脈によって意味が逆転することがあるため、使う場面や書類の内容をよく確認した上で適切に使い分けることが大切です。
よくある質問(FAQ)
- 「雇用主」と「雇用者」はどちらが雇う側ですか?
-
「雇用主」が雇う側(賃金を支払う側)です。「雇用者」は一般的に雇われる側(被雇用者)を指しますが、一部の辞書やビジネスシーンでは「雇用主」と同じ意味で使われることもあるため、文脈に応じて判断する必要があります。
- 「雇用主」と「事業主」の違いは何ですか?
-
両者はほぼ同義ですが、「事業主」は主に個人事業主に対して使われる傾向があります。「雇用主貸」「雇用主借」のような個人事業主特有の勘定科目が存在するため、法人に対しては「事業主」という表現はあまり使われません。
- 派遣社員の雇用主はどこになりますか?
-
派遣社員の雇用主は派遣元(派遣会社)です。実際に業務を行う派遣先企業は「労働提供先」であり、労働契約の当事者ではないため雇用主にはなりません。
- ESTAなどの書類で「雇用主名」を記入する際は何を書けばいいですか?
-
社長や担当者などの個人名ではなく、勤務先の法人名(会社名)または個人事業名を記入してください。英語表記が求められる場合は、登記上の英語社名を記載するのが一般的です。
- 「雇用主」を英語で何と言いますか?
-
一般的には「an employer」と表現します。正式な書類では「a business operator」が使われることもあります。一方、雇われる側(被雇用者)は「an employee」です。「employer(雇う人)」と「employee(雇われる人)」を語尾の違いで区別して覚えましょう。

