建築家になるには?|仕事内容や「建築士」との違い、年収などを解説

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この記事では建築家について解説いたします。

建築家という職業自体は見聞きしたことがあっても、実際にどのような仕事なのかについてはよく分からないという人もいるかもしれません。

そこで今回は建築家の仕事内容や「建築士」との違い、建築家のなり方や年収なども合わせてピックアップしました。

それでは一つずつ確認していきましょう。

建築家とは


「建築家」とは、建築における建物の設計や工事の監理などを職業とする専門家のことです。

「建築家」は後述する国家資格の有無に関わらず、自ら名乗ることができます。

日本建築家協会が「建築家」の要件を提示しておりますが、いずれにしても定義はあいまいです。

資格を取得していても実務に携わらない「建築家」もいれば、建築学の教授のような教育機関で勤務する「建築家」など、口実ともに建築家と言われる方も世の中にはたくさんいます。

また医師が外科や内科など科別にされているように、「建築家」も住宅設計が得意だったり、工場やマンション設計が得意だったりと、カテゴライズされている場合が多いです。

建築家の仕事内容

「建築家」の仕事は、建築物の設計および工事の監理を行うことです。

まず建物や建物の環境の計画を立てていきます。

目的は建物を環境に芸術的にも機能的にも適応させ、屋内で良いフロアプランを作成することです。

これを達成するために「建築家」は建物の構造などを理解し、人々がどのように建物の環境を利用するか、そしてそれらの関係はどのようなものかを調べなければなりません。

「建築家」が建物を作成するために使用するツールにはスケッチやモデル作成などがありますが、ほとんどの作業はパソコンで行われることが多いです。

「建築家」と「建築士」の違い

「建築家」と似た言葉として、「建築士」が挙げられます。

「建築士」は建物の設計や工事監理を行う職業のことで、「一級建築士」や「二級建築士」などの国家資格が必要です。

「建築士」の資格を取得するには大学等で建築について学んだ後、学歴に応じて実務経験を積むことで試験を受けられます。

「建築家」も建物の設計や工事監理をする職業ではありますが、一般的なニュアンスとして「建築士」よりも「建築家」の方が建物のデザインや芸術性に対するこだわりが強いです。

日本の有名な建築家

日本の有名な「建築家」としては「丹下健三」や「隈研吾」、「安藤忠雄」などが挙げられるでしょう。

丹下健三

「丹下建三」は1913年に大阪に生まれ、1938年に東京帝国大学工学部建築科を卒業しました。

「空間と象徴」という問題に取り組み、構造主義を発展させた作品を多く生み出していきます。

19641年の東京オリンピックで使用された国立代々木競技場を手掛けた際に重視したのは、選手と観客の一体感でした。

それを実現するのが「無柱空間」だと考えましたが、大きな空間の屋根を吊り上げるのは前代未聞であり、世界中に衝撃を与えたのです。

また1970年に大阪で開催された日本万国博覧会において「丹下健三」は京都大学教授の「西山夘三」とともに総合プロデューサーを務め、中心施設であった「お祭り広場」の設計も手がけました。

隈研吾

「隈研吾」は1954年に横浜に生まれ、1964年に東京オリンピック時に見た「丹下健三」の国立代々木競技場に衝撃を受けて「建築家」を志します。

2010年に建てられた「梼原 木橋ミュージアム」は梼原の森の中に溶け込むような、森のような建築をコンセプトに設計されました。

日本建築の軒を支える「斗栱(ときょう)」という伝統的な木材表現を採用し、刎木(はねぎ)を何本も重ねていく「やじろべえ型刎橋(はねばし)」は、世界でも類を見ない架構形式による唯一の建物です。

安藤忠雄

「安藤忠雄」は1941年に大阪市に生まれ、経済上の理由で大学に通えなかったので独学で建築を学び、1年で建築士試験に合格しました。

1969年に安藤忠雄建築研究所を大阪に設立、個人住宅を多く手がけていきます。

「安藤忠雄」が手掛けたベネッセアートサイト直島の中核施設として1992年に開館した「ベネッセハウスミュージアム」は、「自然・建築・アートの共生」をコンセプトとし、大きな開口部から島の自然を内部へと導き入れる構造が特徴的です。

建築家になるには


この項目では、「建築家」になるにはどのようなことが必要なのかをご紹介します。

以下に3つの項目に分けてピックアップしました。

建築士試験に合格し、国家資格を取得する

まずは建築士試験に合格し、国家資格を取得します。

建築士資格は難易度が高い順に「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」です。

上記三資格に共通していることとしては最初に学科試験が実施され、建築計画・建築法規・建築構造・建築施工についての知識を問われます。

学科試験に合格できた人のみが第二段階である設計製図の試験を受けることができ、設計製図の試験を突破すれば個々の建築士資格を取得できるのです。

「二級建築士」と「木造建築士」の受験資格は同じで、大卒や短大卒などの学歴などがあれば実務経験が不要、それらの学歴がなくても実務経験を積めば受験ができます。

「一級建築士」は学歴があっても実務経験が必要でしたが、法律改正により令和2年より実務経験不要で受験が可能になりました。

ただし「一級建築士」はかなり難易度が高いので、相応の勉強時間を費やすことが必要です。

建設会社やハウスメーカーなどで実務経験を積む

建築士資格の有無を問わず、建設会社やハウスメーカーなどで実務経験を積むという道もあります。

採用に際しては建築士資格の有無が影響することがあるかもしれませんが、資格を問わず採用してくれるケースも少なくありません。

まずは建設会社やハウスメーカーなどで実務経験を重ね、先述の建築士資格を取るという過程を経る人もいます。

建築士試験の難易度はどれくらいか

「一級建築士」の合格率は令和元年で学科:22.8%、製図:36.6%、総合格率:12.0%で、かなり難易度が高い資格だといえます。

特にまずは学科をクリアすることのハードルが高いことが特徴です。

何年もチャレンジを続け、ようやく合格するという人も多数いるとされています。

「二級建築士」や「木造建築士」は「一級建築士」ほど難易度が高くはありませんが、それでも一定の勉強時間は必要です。

「二級建築士」試験は、建築の専門学校などでしっかりと勉強してきた人でも苦しみます。

一回の受験で合格できる人は少数派ですし、設計製図試験は5時間休憩なしの過酷な試験なので、体力や集中力も必要です。

建築家の年収

失業手当 計算
「建築家」の年収は勤め先の規模や個人の能力などによってかなり幅がありますが、概ね平均的サラリーマンを超える恵まれた給与水準となっています。

独立開業して成功すれば年収1000万円を稼ぎだすことも不可能ではありません。

ただしそれらはあくまで「一級建築士」の話であり、「二級建築士」や「木造建築士」の給料はそれほどではないです。

なお厚生労働省の令和元年度賃金構造基本統計調査によると、「建築家」のデータは以下の通りです。

・平均年齢:48.6歳
・勤続年数:13.4年
・労働時間:165時間/月
・超過労働:17時間/月
・月額給与:461,800円
・年間賞与:1,487,200円
・平均年収:7,028,800円

建築家の勤務体系と休日

有給消化
「建築家」の勤務時間は勤務先によって多少の差があるものの、9:00~18:00頃となっているところが一般的です。

ただし勤務先や担当する建物の種類によっては、お客さまの都合を優先して働かなければなりません。

例えばコンサートホールや公園など、公共施設を手掛ける場合は行政担当者との打ち合わせがメインですし、オフィスビルの場合は民間企業が多く、住宅の場合は一般家庭がお客さまです。

休日についても勤務時間と同様、基本的に土日が休日に定められているケースが多いですが、勤め先や案件によって異なります。

ハウスメーカーに勤める場合など家庭向けの戸建住宅をおもに担当している「建築家」は、どうしても土日や祝日に打ち合わせが入りやすいので平日が休みになるでしょう。

建築家の将来性


中長期的にみれば人口の減少が進み、住宅全体の需要が徐々に減少していくことは確実です。

また近年は非正規雇用が増えていることもあって、経済的に住宅を購入することが困難で生涯借家で過ごすことを選ぶ人も増加傾向にあります。

こうした時代背景を受けて、建築士が手掛ける設計案件は今後減少していくかもしれません。

しかし建築物は人々の生活に必要不可欠なものであり、また新築案件だけでなくリフォームや建て替え案件なども必ず発生します。

また「一級建築士」の約6割が50代を超えており、建築士業界は世代交代の時期を迎えているので、若手の「建築家」が活躍できるチャンスが増えてくる可能性もあるかもしれません。

建築家がおもに勤める場所

社会保険
「建築家」がおもに勤める場所は、建設会社やハウスメーカーなどが挙げられるでしょう。

また公務員として地方自治体で住民サービスに貢献する、デザインなどの独自性を高める、といった選択肢もあります。

自分がどんな仕事をしたいのか、あるいはどのように働きたいのかを踏まえた上で考えると良いかもしれません。

まとめ この記事のおさらい

・「建築家」とは建築における建物の設計や工事の監理などを職業とする専門家のこと

・「建築家」の仕事は、建築物の設計および工事の監理を行うこと

・資格がなくても「建築家」を名乗ることはできるが、「建築士」は「一級建築士」や「二級建築士」などの国家資格が必要

・日本の有名な建築家としては、「隈研吾」や「安藤忠雄」などが考えられる

・建築家になるには建築士試験に合格し国家資格を取得する、建設会社やハウスメーカーなどで実務経験を積むといった方法が挙げられる