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この記事では罷免について、言葉の意味と使い方、英語での表記について解説いたします。
私たちが普段生活する上で、罷免はあまり関わる機会が多くない言葉かもしれません。しかし、政治ニュース等を読み解く上で知っているとより理解が深まります。
また似たような言葉に「免職」や「解任」、「更迭」や「弾劾」という単語もあります。これらとの違いやその使い分けを知っていると、記事やニュースの内容も頭に入りやすくなります。
この記事を読んで、より政治ニュース等への理解が深まれば幸いです。
罷免の読み方・意味・使い方
罷免は「ひめん」と読みます。「国務大臣等特別な任用の公務員の職を、強制的に免ずる(辞めさせる)」という意味があります。
国務大臣に対して使われる機会が多いですが、それ以外には裁判官や検察官に対しても使われます。なお内閣総理大臣は国務大臣を罷免することができ、その権限を「罷免権」といいます。
一般的に、会社の処罰で最も重いのは懲戒解雇とされています。懲戒解雇は会社員を強制的にクビにするわけですから、相応の理由があります。
罷免の場合は国務大臣等を強制的に辞めさせるということから、それがどれ程重大な行為か容易に想像できます。また、その背景には「辞めさせざるを得ない程の理由がある」ことを考えると、ニュースや記事の重さが伝わってきます。
なお罷免には「国務大臣たるに相応しくない行為があった」場合だけではなく、「閣議決定に反対する国務大臣を罷免することで閣内意思の一致を目指す」という場合もあります。
罷免の語源
「罷」は「網で獣を捕らえ、暴れるのをやめさせる」という意味があり、転じて「辞めさせる」という意味があります。
一方「免」は「子どもを生む」という意味から派生して、「しりぞける」「許す」といった意味があります。
つまり罷免は「しりぞけて辞めさせる」という意味になります。また公務員はそれぞれが属する組織の長から許可を得て仕事をしているので、「許されて仕事をするのを辞めさせる」と解釈しても良いでしょう。
罷免の例文
特定の公務員の身分を辞めさせるという権限の重さもありますが、そもそも罷免権を持っている人物やその対象が限定されている為、「罷免」という言葉はこの後にご紹介する類義語や対義語に比べて用途も限定的です。
罷免の類義語
罷免の類語として「免職」「解任」「更迭」「弾劾」といった言葉があります。これらの言葉はいずれも「人を辞めさせる」という意味があるので混同されやすい言葉ですが、使い分けのポイントは「何に重きを置いているか」です。
以下ではそれぞれの言葉の意味と、重点がどこにあるのかを中心に解説いたします。
罷免の類義語:免職
免職とは一般の公務員を辞めさせることです。罷免との違いは罷免は特定の公務員が対象なので、辞めさせる対象が異なるという点で罷免とは区別されています。ちなみに、一般的な会社員は免職ではなく「解雇」という言葉を使います。
「免職」・「解雇」は公務員や会社員という身分自体を辞めさせる、懲戒処分(不正・不当な行為に対して、戒めの制裁を加えること)のためどちらも重い処分といえるでしょう。
罷免の類義語:解任
解任は、文字通り「任されていた職務や任務を解く」という意味です。会社自体を辞めさせるわけではないので、解任はされたが会社には継続して籍を置くケースもあります。また任期満了に伴い役職から自動的に外れる場合もあります。
解任でのポイントとして「どんな理由であれ役職から外れること」に重きがおかれています。罷免は役職ではなく公務員という身分自体を辞めさせることなので、より重い処分であるということが分かります。
罷免の類義語:更迭
更迭(こうてつ)は「高い地位の役職を解き、代わりの人に当該役職を充てることを意味します。主に政府機関や政党の要職者に使われることが多いですが、大企業幹部やプロスポーツの監督等に対しても用いられることがあります。「代わりの有無」が罷免との大きな違いです。
また件数を比べると、罷免よりも更迭の方が圧倒的に多いです。なぜ更迭の数が多いかというと罷免権を行使せざるを得ないような人物を任命・登用した内閣総理大臣の責任を問われかねない為です。その為、罷免権を背景として自発的に辞任させた上での更迭のケースの方が必然的に多くなります。
罷免の類義語:弾劾
弾劾(だんがい)とは、地位がある人の不正を暴露し、責任を追求することです。弾劾は罷免する為の手続きをさしており、「辞めさせること」ではなく「高い地位の公職の罪を暴き、責任を追求すること」を重視しています。罷免は手続きではなく辞めさせることですから、この点が弾劾と異なるところです。
ちなみに弾劾裁判所とは、弾劾の訴追を受けた裁判官を辞めさせるかどうかを判断する常設の裁判所です。
なお一般の公務員が自ら辞めることは「辞職」や「辞任」と表現され、罷免や上記の類語とは区別されています。
罷免の対義語:任命
罷免の対義語は任命です。任命には「ある官職や役目に就くよう命じること」という意味があります。ある官職や役目とは国務大臣や会社の取締役等の重大な役職等をさしています。
任命する権限を有する人を任命権者といい、例えば天皇は内閣総理大臣や最高裁判所長官を任命対象者とする任命権者です。任命対象者の性質上、任命権者は天皇や内閣総理大臣、各省大臣や地方公共団体の長等、より重大な立場にあります。罷免権と同じく、任命権もそれだけの重さがある権利だということが伺えます。
罷免の類義語と対義語の例文
先述の類義語や対義語の例として、それぞれ以下のような使い方をします。
類義語:免職
類義語:解任
類義語:更迭
類義語:弾劾
対義語:任命
罷免の英語表現
罷免は英語で次のような表現をします。
(罷免)
(罷免する)
(権力の座を辞めさせること、罷免)
また、次のような使い方をします。
(私は彼女の罷免を要求する)
(彼は罷免された)
(彼女は彼の罷免を求めた)
まとめ この記事のおさらい
- 「罷免」とは、特定の公務員(国務大臣や裁判官、検察官)を強制的に辞めさせることを意味する
- 「免職」が一般の公務員を辞めさせるのに対して、「罷免」は特定の地位を持つ公務員を辞めさせることを指す
- 「解任」は役職を辞める、あるいは辞めさせることであり、「罷免」は役職に関わらず公務員という身分自体を辞めさせることを意味する
- 「更迭」は「辞めさせた後に代わりの人を充てる」のに対して、「罷免」は代わりの有無について特定していない
- 「弾劾」は「罷免する為の手続き」を指しており、「罷免」は「辞めさせること」に重点を置いている
特定の公務員を辞めさせることができるわけですから、とてつもなく重い権限だということが分かります。また、それだけの理由があるからこそ罷免に至っているわけです。
そのことを念頭に置きながらニュースを見聞きすると、より重大さが理解できると思います。