年休とはなにか 年休取得のきまりと年休中の給料についての解説

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就職や転職の際には、雇用条件をしっかりと確認することが大切です。説明の中で「年休」という、あまり使わない言葉が出てくることがあります。ここでは、「年休」とは何か、意外と知られていない発生条件や日本における消化率などをまとめます。

知っていれば、雇用条件のいい会社を探せるように、また効率よく年次有給を消化できるようになります。

年休とはそもそも何か

「年休」とは、正式には「年次有給休暇」といいます。
「有給」で休むことができる休暇で、取得しても給料が減らない休暇という意味です。年度ごとに一定の休暇が、会社から保証されます。

有休との違い

似たような言葉で「有休」や「有給」があります。これらは「年休」同じです。
「年休(年次有給休暇)」は、法律用語なので、総務課や人事課などでは「年休」という言葉の方が使われていることが多いでしょう。

年休は法律で定められている

「年休」は、労働基準法で定められた労働者の権利のひとつになります。
雇用形態が一定の基準を満たす時には、会社は年次有給休暇を与えなければいけないことになっています。

年休が発生する条件

年次有給休暇が発生する条件も、法律で規定されています。2つの条件があります

1. 働き始めた日から6か月経過していること
2. その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

 

最初の年次有給休暇は10日間発生するので、働き始めて半年後に10日間の年次有給休暇がもらえることになります。
この最初の年次有給休暇付与日から1年を経過した日に、それまでの1年のうち8割以上出勤していれば、11日間の年次有給休暇が与えられます。
このように、勤続年数の増加と比例して、年次有給休暇の付与日数は増えていきます。

また、週に30時間未満、かつ週に4日以下、または1年に48日~216日働いているパートタイム労働者などでも、年次有給休暇をもらうことができます。ただし、その際の付与日数は社員とは異なります。

年休がないと法律違反になる

年休の付与は、労働基準法で定められています。
ですから、年休がないと法律に違反していることになり、違反の場合には「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金の罰則」(労働基準法第119条より)があります。

年休を付与しなかっただけでなく、下記のような事例も違反行為とみなされます。
・有給休暇を取った日の分の賃金を払わなかった
・正当な理由なく会社が時季変更権を使い、有給取得日を変更させた
・有給休暇日に出勤させた

年休の給料計算方法

年休中の給料の計算には3つの方法があり、会社がその中から選んで就業規則などで取り決めます。

1. 通常勤務と同じの給料を支払う
有給休暇取得日も「出勤した」として、給料計算をする方法です。
2. 労働基準法で定める平均賃金を支払う
有給休暇取得日の直前の締め日から直近3ヶ月の給料総額を、暦の総日数で割って計算する方法です。
3. 健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う
「標準報酬月額」から日割計算して、その金額を支払う方法です。「標準報酬月額」は、健康保険料を払う際の算出基準になる給料の金額のことを指しています。

年休をとる時の理由

意外と知られていませんが、労働者が年休を取得したい理由を会社に伝えるのは、「任意」の行為なのです。
これは、労働者が持つ「時季指定権」という権利です。本来は、理由に関係なく、好きな時期に年休を取得できることになっています。

しかし、一般的には会社に取得理由を伝えます。それは、会社が「時季変更権」を持っているからです。
「時季変更権」とは、その人が休むことで正常な営業や運営ができないと判断される場合に限って、会社側が年休取得日を他の日に変更できる権利です。

日本の有休消化率とは

オンライントラベル総合サイトのエクスペディアの「有給休暇国際比較調査2016」によると、日本の有休消化率が世界で最下位になりました。

日本の有休消化率は50%、アメリカが80%、そしてブラジル、フランス、スペイン、オーストリア、香港は消化率100%を達成しています。
(出典元:Expedia 有給休暇国際比較調査2016)

改善案のひとつ、年休の計画的付与

有給休暇取得率の改善のため、有給休暇を取りやすくする「計画的付与」という制度を導入する会社が増えています。
「計画的付与」とは、あらかじめ会社が年休の日を指定する制度です。

ただし、労働者に不利にならないよう、「すべての有給休暇日数のうち、「5日を超える部分」のみ計画的付与が可能」などの条件が決められています。

例として15日間有給があった場合、事業所側が10日間休みを指定でき、5日間が労働者が自由に設定できるということになります。

 

年休(年次有給休暇)まとめ

年休とは、「年次有給休暇」を指す法律用語で、「有休」や「有給」と同じ意味です。

年休の付与は、法律で定められた労働者の権利のひとつです。働き出して半年、8割以上出勤していれば、10日間の付与があり、その後は勤続年数に比例して、日数が増えていきます。一定基準を満たせば、パートタイマーでも年休が付与されることもあります。

年休の付与は法律で定められているので、ない場合や違反があった時には罰則があります。また、年休の給与計算には3つの方法があり、会社が一つを選んで就業規則などで規定します。

本来、労働者には時季指定権があるので、理由に関係なく年休を取得できます。しかし、会社は、正当な理由があれば駆使できる時季変更権があり、取得日を変更させることもできます。

2016年には日本の有休消化率は、世界最下位でした。その改善のため、年休の計画的付与を導入する会社もあります。