企業に就職して月々安定した給与をもらえるのは、嬉しいものです。しかし、「月給制だから1日ぐらい休んでも大丈夫」と気軽に考えていると手痛いしっぺ返しがあります。給与明細書に「欠勤控除」と記入され、休んだ1日の分の金額が差し引かれている場合があるのです。あまり耳にしない言葉ですが、給与所得者なら知っておいた方がよいでしょう。

この記事では「欠勤控除」について解説いたします。

欠勤控除とは

労働契約法で定める労働契約は、「労働者による労務の提供」と「使用者による賃金の支払」の双方による契約です。労働者が労務を提供しない場合は、使用者には支払い義務は原則ありません。これを、「ノーワーク・ノーペイの原則」と言います。

つまり、「働かなければ払わない」という当たり前の原則ですが、これは正社員として月給をもらっている場合も当てはまります。病気や体調不良でも働かなかった分は、「欠勤控除」として給与から差し引かれます。これは、遅刻も同じです。1時間ぐらい遅刻しても大丈夫だと考えるのは大きな間違いです。その分給与から差し引かれても文句は言えません。

欠勤控除の計算方法

欠勤控除は、毎月の固定給与をベースに計算します。例えば、月給20万円の場合で見てみましょう。

1日欠勤した場合

欠勤控除の金額は、固定月給÷所定労働日数で求めます。月給が20万円で所定の労働日数が20日なら1日の賃金は1万円で、欠勤控除は1万円となります。

1時間遅刻した場合

遅刻の場合は、固定金額÷所定労働日数÷1日の所定労働時間が、欠勤控除になります。
月給20万円で所定労働日数が20日、1日の所定労働時間が8時間なら、200,000÷20÷8=1,250となります。つまり、1,250円が月給から差し引かれます。

減給と欠勤控除との違い

「遅刻1回3千円」と罰金を科している会社もあります。1時間の遅刻だとすると、先ほどの月給20万円の人の場合で、1時間の遅刻の欠勤控除は1,250円ですから、厳密に言えば、減給になります。

減給に関しては、労働基準法第91条に「減給の制裁」という規定があります。この規定では、「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」となっています。つまり、月給の10%の減給は認められますが、それ以上の減給は違法になります。

遅刻1回3千円の罰金でも、合計で月2万円を超えることはできません。1回3千円は合法でも、月3万円は労働基準法違反となるのです。

有給休暇は欠勤控除になるのか

有給休暇を積極的に取ろうという動きが大きくなっています。1時間の遅刻が欠勤控除になるのなら、有給休暇も対象になるのではと心配になりますよね。

有給休暇は、労働基準法第39条に定められた規定で「入社後半年以上で、かつ全労働日の8割以上出勤している従業員に自動的に発生する権利」です。会社は該当する社員が有給休暇を申請した場合は、認めなければなりません。また、有給期間中の賃金は支払うことが義務付けられています。つまり、有給休暇は、欠勤控除の対象にはなりません。ただし、有給休暇のない社員が欠勤した場合は、欠勤控除が当てはめられます。

欠勤控除の注意点

遅刻が50分だった場合、四捨五入して1時間分を欠勤控除されたら「仕方ない」と思いますか?厳密には、これは減給になります。欠勤控除と減給は解釈が異なるので、就業規則を確認して下さい。

「1時間遅刻しても千円ぐらいならいいか」と安易に考えるのは良くありません。欠勤控除は、個人の勤務状況の証拠でもあります。欠勤控除が多いと個人の評価にも影響します。病気や身内の不幸以外は、遅刻も欠勤もオススメはできません。

欠勤控除のおさらい

欠勤控除は社会人として知っておきたい労働に関する基礎知識です。まずは、「ノーワーク・ノーペイの原則」を念頭に置いて、欠勤控除で差し引かれる場合があることを理解しておきましょう。欠勤控除は、固定月給÷所定労働日数、遅刻の場合は、固定金額÷所定労働日数÷1日の所定労働時間で計算され、月給から差し引かれます。また、減給とは扱いが異なりますので、その違いを理解しておきましょう。

有給休暇を取って休んだ場合は、欠勤控除の対象にはなりません。

欠勤控除などに関しては、会社の就業規定に記載されています。規定をきちんとチェックし、納得して働くことが大切です。