オフショアの意味とは|オフショア開発などの関連用語も解説

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この記事では「オフショア」について解説しています。オフショアは外資系企業や金融・商社など国際的なビジネスシーンでよく使われる言葉です。サーフィン用語では岸から沖に向かって吹く風のこと。ビジネス用語の「オフショア」も同じ言葉が語源です。

ITの普及によってビジネスが国際化する中で「オフショア」は国内のドメスティック企業にも広く浸透しています。そこでこの記事では「オフショア」について多角的に解説するとともに「オンショア」「ニアショア」などの関連用語も合わせて説明いたします。

「オフショア」の意味と使い方


「オフショア」は英語で「外洋」「海外」「岸から離れて沖合に向かうこと」。ビジネス用語では「事業や生産施設を海外に移転すること」「コールセンターやバックオフィスなどの業務を海外にアウトソース(委託・移転)すること」といった意味で用いられます。

ビジネスの国際化が進む現代では、業務の海外委託=オフショア化が増加しています。オフショア先の「海外」は「インド」「タイ」「中国」「フィリピン」「ベトナム」など人件費の安い新興国や途上国の場合がほとんどです。

そのためビジネス用語の「オフショア」も新興国や途上国を指す場合が多く、先進国の意味では基本的に使われません

一方、金融界における「オフショア」は、外国人に対する租税環境が優遇される「タックスへイブン」のこと。具体的には香港、シンガポール、ケイマン諸島な法人税や所得税などが無いに等しい国や地域のことで、この場合には先進国か途上国かは問いません。

「オフショア」の語源

「オフショア」は英語の「offshore」が語源です。「offshore」の「off」は「離れて」「外れて」という意味の単語です。それに「湖や川の岸」や「海岸」を意味する「shore」を合わせる形で「offshore」という言葉が成立しました。

ちなみに「offshore」は「off」と「shore」の間にスペースをはさみません。「offshore」と1語で表記してください

「オフショア」「オンショア」「ニアショア」の違い


オフショアの類義語や対義語にあたるビジネス用語として「オンショア」と「ニアショア」もよく使われます。この3語は姉妹語として合わせて覚えておきましょう。

まず「オンショア(onshore)」は「オフショア」の対義語で「沿岸」のこと。一般のビジネスカテゴリーでは、アウトソース先の企業を自国内とするか、あるいは自社内のみで業務を完結することを意味します

日本では「オンショア」はアウトソース先が国内の近隣の都市や地域にあることを意味します

一方、金融取引における「オンショア」とは、取引の当事者が居住する国の金融市場のこと。当事者の一方が海外投資家の場合も「オンショア」に含まれますが、取引に関する規制や税制は原則として当事者が居住する「オンショア」のルールが適用されます。

次に「ニアショア(nearshore)」は業務のアウトソース先を近隣の国や地域に求めること。欧米では時差が少ない近隣国をいいます。近隣国は距離が近いため輸送コストが低く、時差にとらわれず業務やコミュニケーションができるメリットがあります。

日本では「ニアショア」は近隣国ではなく同じ日本国内の地方都市を意味するのが基本です。その意味では「オンショア」に近いカテゴライズですが、日本における「ニアショア」は人件費が安い地方都市の意味になります。

日本型の「ニアショア」は海外ではないのでオフショアほど人件費削減は期待できません。その代わり言語や法律、社会慣習や通貨が共通でカントリーリスクがないといった利点があります。

「オフショア」のビジネス上での使い方


すでに述べたように「オフショア」は英語で「岸から離れて沖合に向かうこと」「外洋」などを意味する言葉です。またヨットやサーフィンなどマリンスポーツの世界では、「陸から沖に向かって吹く風(陸風)」という意味で使われます。

一方、ビジネス上では「自社の業務を委託する人件費の安い新興国」の意味で「単純な作業領域をオフショア化する」という表現でよく用いられる言葉です。また「海外への業務委託」を「オフショアリング」と言うこともあります。

先の例文に当てはめれば「単純な作業領域をオフショアリングする」となります。

「オフショア」のさまざまな使い方


「オフショア」は一般的なビジネス領域にとどまらず、金融業界やIT業界にも広く浸透しています。そこでこの項ではおもに金融業界で使われる「オフショア投資」とIT業界で使われる「オフショア開発」について解説します。

金融業界における「オフショア投資」

「オフショア投資」とは、香港やケイマン諸島など「海外の租税回避地(タックスヘイブン)」で投資信託などに投資すること。「タックスヘイブン」だから利益を得ても税金はかからないと誤解する人もいますが、日本にいる限り自国への納税は必須です。

IT業界における「オフショア開発」

IT業界における「オフショア」もまた、コスト削減のために業務を新興国に移管したり委託したりすることをいいます。特にシステム開発を海外にアウトソーシングする「オフショア開発」はコスト削減だけでなく国内の人材不足を補う目的もあって導入が進んでいます

「オフショア」の類義語と例文


「オフショア」は業界によって意味が変わるため、類義語も大きくふたつに別れます。まず「沖合」の意味では「海上」。また「陸から沖に吹く風」の意味では、「離岸風」「親の風」「出し風」などがあります。これらは船出やサーフィンに良い風といわれています。

一方、ビジネス用語としての「オフショア」では、「海外」「国外」「他国」「租税回避地」「タックスヘイブン」などを類義語に上げることができます。

「タックスヘイブン」の例文

「タックスヘイブン( tax haven)」の「haven」を「heaven」と間違えて「税金天国」だと誤解する者もいるが、「haven」は「天国」ではなく「避難」や「回避」を意味する言葉だ。

「オフショア」の対義語と例文


「オフショア」と反対の意味を持つ対義語は前述した「オンショア」です。こちらも意味は大きく2つに分かれます。まず原語本来の意味では「陸地」「沿岸」「海風」など。ビジネス用語では「自国」「国内」などの意味があります。

「オンショア」の例文

先進国と途上国の賃金格差が縮小したことで、企業のアウトソース先もオフショアからオンショアへと引き戻される動きが出ています。

「オフショア」の英語表現


「オフショア」の語源は英語ですので、英語表現はそのまま「offshore」となります。
「オフショア投資」は「offshore investment」。「オフショア開発」は「offshore development」と表現します。

まとめ

  • 「オフショア」は英語で「外洋」「海外」「岸から離れて沖合に向かうこと」を意味します。
  • ビジネス用語としての「オフショア」はアウトソーシング先の新興国や発展途上国のことを指します。
  • 「オフショア」の対義語の「オンショア」は国際的なビジネス用語では「自国内」という意味になります。
  • 日本のビジネス界では「オンショア」はアウトソース先が国内の近隣の都市や地域にあることを意味します。
  • 「ニアショア」は「近海」の意味ですが、国際的なビジネス用語では近隣国へ業務委託する意味になります。
  • 日本では「ニアショア」は近隣国ではなく、同じ日本国内の地方都市を意味するのが基本です。
  • 「オフショア」の類義語は「離岸風」「他国」「租税回避地」などがあります。