というとでの大きな取引を想像しがちですが、私たちは、実は小さな交渉をたくさん繰り返しながら過ごしています。

ビジネスシーンなら、取引先との価格交渉や納期の交渉はもちろんのこと、そのほかにも仕事を手伝ってほしい、残業を代わってほしい、など細かな交渉はいくつもあります。
プライベートでも、家事を分担したい、フリマの商品を値引きしてほしい、など、よくよく考えればあれもこれも交渉のひとつだということに気づくでしょう。

このように、交渉の場面は日常に多々あるにも関わらず、交渉は苦手という人が多いのも事実です。
この記事では、交渉上手になれるを分かりやすく解説しています。ぜひにしてみてください。

交渉術とは

起業家
交渉術とは、交渉を成功させるためのテクニックです。交渉は雑談とは違いますから、良い結果を出すためには押さえておきたいポイントや身につけておきたいテクニックがあります。

交渉時に大切な前準備


交渉を成功させるには、次のことを意識して前準備をしておきましょう。

相手の現状を把握する

交渉とは「あることを実現するために、当事者と話し合うこと」です。一方的に依頼をするのではなく相手との話し合いですから、相手の現状はしっかり理解しておかなければなりません。

例えば自社の商品を顧客に買ってもらうとしましょう。なんの下調べもせずに臨んだのでは良い結果になるとは思えません。
相手の会社の経営理念や経営状況、交渉相手となる人のポジションなど、当日までに情報収集をしておきましょう。

自分の現状を把握する

交渉においては、自分の現状を把握しておくことも必要です。
自分はどんな立場で何を目的に交渉するのか、これが自分の中で理解できてなければ、芯のないぼやっとした話し合いになってしまうでしょう。

この交渉での自分の役割はなんなのかをしっかり分かっておくことが大事です。とにかく一回利益を出すことなのか、今回の利益は少なくても次につながる取引にしたいのか、自分はどんな立場でどうしたいのかを整理しておくことで、交渉の方向性がはっきりします。

交渉内容がWin-Winになっているかを確認する

前述の通り、交渉とは相手と話し合うことです。交渉に勝った、負けた、と勝負のようにとらえる人も多いですが、一番ふさわしい結果は双方にメリットがある「Win-Win」です。
交渉を始める前に、自分が目標とするゴールは自分の主張を一方的に押し付けるものになっていないかを確認しましょう。

どこまで譲れるかの最低ラインを決めておく

交渉に臨む前に、どこまでは譲れるのかという最低ラインを自分の中で決めておくことも大事です。
交渉は、相手の最低ラインと自分の最低ラインの間で落としどころを見つけるのが基本です。最低ラインを決めておかなければ自信をもって話し合いをすることが難しくなりますし、Win-Winな結果を導くことも難しくなります。

だかといって、始めから相手に「最低ラインはここです」とはっきりいう必要はありません。話し合いの中で様子を伺いながらということになりますが、自分の中では事前にしっかりと決めておくことが大事なのです。

交渉時の3つの基本ポイント


ここまで、交渉の前準備についてお話してきましたが、実際の交渉の場ではどんなことに気をつけたら良いのでしょうか。

第一印象に気をつける

第一印象は「自分がどんな人間か」を相手に印象づける大変重要なものです。一度ついた第一印象はそうそう変わるものではありません。ですので、悪い印象がついてしまえば、その後の交渉にも影響してしまいます。

しかし逆に考えれば、第一印象で好感を持ってもらえば、その良い印象も変わらないということです。
不思議なもので、人は同じ情報でも誰に聞いたのかによって情報の信頼度が変わるものです。この人は信頼できそうだ、と相手に思ってもらうことが重要ですので、第一印象に気をつけて、ぜひその後につづく交渉を優位に進めたいところです。

身なりを整えておくことは第一印象を良くする基本ですが、相手の状況や交渉の内容によって服装や持ちものを変えることも必要でしょう。
大きな取引をするのにカジュアルすぎる服装では話し合いを軽んじているように思われますし、逆に建設現場などに赴くのに高級すぎるスーツや華美な装飾品は向きません。

身なりだけでなく、声のトーンや話し方にも気を配りたいところです。交渉の場には、落ち着いたトーンのゆとりを持った話し方が向いています。

徹底的に相手の立場で考える

何度もお話ししていますが、交渉は一方的に進めるものではなく、相手があって成り立つものです。慣れないうちは自分の話に精一杯になってしまいがちですが、常に相手の立場で考えることが成功の秘訣です。

自分ばかり話さずに相手が話し始めるのを待つ、そしてどんな気持ちからその答えが出てきたのか、言葉だけではなく表情や間合いからも気持ちを汲みとることが大切です。
それでこそWin-Winの結果を出すことができるといえるでしょう。

交渉をWin-Winに導くには、「アサーション」が役に立ちます。
アサーションとはアサーティブなコミュニケーションのことで「相手を尊重しながらも、率直に自分の意見を伝える」という手法です。どちらか一方が上に立つのではなく、対等に意見や要望を交わし合えます。

アサーションにはいくつか会話のコツがあり、覚えておくと交渉時に役立ちますので簡単に紹介しておきます。

・主語は「私」に
相手を主語にするのではなく自分を主語にします。

例えば家事の分担について話し合うとしましょう。
相手が主語:「(あなたは)家事を半分やるべきでしょ」
自分が主語:「(私は)あなたが半分やってくれると嬉しいわ」
相手を主語にするときつくなりがちですが、自分を主語に置くことで相手に不快感を与えにくくなります。

・気持ちを伝える
「〇〇してもらえたらありがたい」「〇〇に困っている」のように気持ちを積極的に伝えることで、どうしてそうしてほしいのかが相手に伝わりやすくなります。

・肯定的な言葉を使う
「〇〇したくない」ではなく「××したい」というように肯定的な表現を使います。
例えば価格交渉なら「値下げはできません」ではなく「今のお値段で買っていただけるとありがたい」というような表現にします。

シンプルに伝える

自分の提案や要望を伝えるときには、シンプルに伝えるほうが良いでしょう。交渉というと、相手に手の内を見せてはいけないと考えてしまいますが、アサーティブなコミュニケーションでは自分の考えを率直に伝えることも大事です。
まわりくどい言い方は良く思われないことも多いですから、シンプルに、素直に、伝えることを心がけましょう。

交渉術で使える的テクニック5選【ビジネスにも】

アセスメント
次に、交渉で使える心理学的なテクニック5つを紹介します。ビジネスの場でもプライベートでも活用できるものですので、ぜひ参考にしてみてください。

初頭効果と親近化効果

初頭効果とは、「初めに与えられた情報が記憶や印象に残りやすい」というものです。先ほど、ついてしまった第一印象はそうそう変わることがないとお話ししたのも、この効果によるものです。

親近化効果はその逆で、「最後に与えられた情報で印象が決められる」というものです。
この2つを交渉の場で意識して話すことで結果が変わってくることも考えられます。

例えば新しい家を探しているとしましょう。
「駅から近いですが家賃が高いです。」
と言った場合、初頭効果で考えるなら「駅から近い」というプラス面が印象に残ります。しかし親近化効果で考えると、「家賃が高い」というマイナス面が印象に残ります。

交渉の場では初頭効果と親近化効果、どちらが相応しいということは一概には言えません。話の流れや状況をみて、上手く利用したいところです。

初頭効果と親近化効果の両方を鑑みると、極端に言えば話の真ん中はさほど印象に残らないと考えることもできます。
「駅から近いですがその分家賃が高くなっています。しかし日当たりは最高です。」
このように、話し始めと最後にプラスの情報を持ってきて、真ん中にマイナス情報をはさむのもテニックのひとつです。

ダブルバインド

ダブルバインドは、日本語に訳すと「二重拘束」となります。二つの選択肢を提示して相手にどちらかを選んでもらうのですが、どちらを選ばれても自分の得になるような選択肢を出すという手法です。

「次のデートはディズニーと温泉どっちにする?」と言われれば、ディズニーか温泉どちらかを選ぶことになり、デートをしないという選択肢はなくなります。
このように、ダブルバインドを上手く利用することで、自分に有利な結果を導くことができるのです。

ドアインザフェイス

ドアインザフェイスは、初めに大きな要求を提示して、断られたら小さな要求を出すことにより、相手に要求を叶えてもらいやすくなるというテクニックです。

「夏休みはハワイに連れてって!」とお願いし、断られたら「じゃあ一泊で温泉旅行はどう?」ともちかける、というような具合です。
要求を小さくすることで、「断ったにも関わらず譲歩してくれている」「さっきは断って悪かったな」という心理が働き、承諾してくれやすくなるのです。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは「人は流行っているものや多くの人に指示されているものに弱い」という心理を利用したものです。

「9割のお客様がこちらを選んでいます」「昨年売上№1です」のようなワードが決め手になることもあります。

対象や期間の限定

「期間限定」という言葉につられて買い物したことはありませんか?
「あなただけ」「今だけ」のように、対象や期間を限定することで、購買意欲を促したり決定を迅速にしたりする効果があります。

あまりに大げさだとかえって逆効果ですが、迷っている人の動機づけには有効な場合もあります。

まとめ この記事のおさらい

  • ちょっとしたテクニックを身につけることで交渉をスムーズに進めることができるようになります。
  • 交渉は前準備が大切です。最低限、相手の現状、自分の現状を把握すること、目指すゴールをWin-Winに設定すること、最低ラインを決めておくことはしておきましょう。
  • 交渉時にも気を付けるポイントがあります。第一印象に気を配る、相手の立場で考える、伝え方はシンプルに、を心がけましょう。
  • 交渉には心理学的なテクニックを使うのも有効です。代表的なものに「初頭効果と親近化効果」「ダブルバインド」「ドアインザフェイス 」「バンドワゴン効果」「対象や期間の限定」などがあります。