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ここでは「アジャスト」という言葉について解説いたします。
「アジャスト」は日常生活やビジネスの場で比較的よく使われる言葉です。しかしながら、他のカタカナ英語と同様に、「いつも使っているが正確な意味はよく知らない」という人が意外と多い言葉でもあります。
そこでここでは「アジャスト」の語源やさまざまなシーンでの使い方について、類義語や英語表現も含めて多角的に説明いたします。どうぞ最後までお読みください。
「アジャスト」の意味と使い方
「アジャスト」は「調整」や「調節」を意味する言葉です。また、意見が折り合わない二者の間を取り持つ「調停」の意味もあります。
厳密に言えば「アジャスト」の原語は動詞ですが、日本語では名詞や形容詞のように語尾に「~する」をつけ、「アジャストする」という言い回しで用いるのが一般的です。
「アジャスト」の語源
「アジャスト」の語源は英語の「adjust」という単語です。「adjust」の意味は日本で使われる「アジャスト」と基本的に同じで「調節」や「調整」がメインとなります。
また英語ではエアコンの温度やラジオのチューニングなども「adjust」と表現します。ほかにも「間違いを訂正する」「意見や要望の相違や対立を調整する」「解決する」「調停する」といった意味もあります。
ただし「調停」を意味する場合は「adjust」よりも「mediation」「arbitration」「conciliation」などの言葉を使うことが多く、たとえば離婚調停は「divorce mediation」といいます。
「アジャスト」の名詞形は「アジャストメント」
「アジャスト」の原語の「adjust」は動詞で、名詞は「adjustment」になります。
したがって日本語で「~する」をつけて動詞化する場合、厳密には「アジャストする」ではなく「アジャストメントする」が文法的に正しい用法になります。しかしながら「アジャストメントする」は言葉が長いせいか定着していません。
そのため日本では「アジャスト」も「アジャストメント」も品詞の区別なく用いられている、ということができます。
「アジャスト」のビジネス上での使い方
日本のビジネスシーンでも、「アジャスト」という言葉は広く浸透しています。
たとえば「クライアントとのプレゼンをアジャストする」というと、「プレゼンのためのスケジュール調整やミーティング場所の確保を行う」という意味になります。英語圏でも「adjust」はスケジュール調整の意味でも用いられます。
また、日本語で「取締役会の議題をアジャストする」というと、異なる意見を事前にすりあわせる「根回し」的な意味になりますが、英語でも同様の意味で「prior adjustment」という用法があります。
ビジネスシーンでは、ほかにも保険業界で「損害賠償を請求された場合に支払額を決める」ことを「アジャスト」といいます。そのため損害保険業界では、事故や災害による損害を査定して支払額を決定する職務を「アジャスター」と呼んでいます。
「アジャスト」は様々なシーンで使われる
スポーツにおける「アジャスト」
スポーツの世界でも、「アジャスト」はよく使われる言葉のひとつです。意味は「調整」「調節」という基本的な用法のほかに「戦術的に適応する」というニュアンスで使われるケースも多いことが、スポーツ的用法の特徴といえます。
たとえば野球の試合で、パワーのあるバッターが相手チームのピッチャーに苦手なカーブで追い込まれたとします。そのとき臨機応変にプレイスタイルを転換し、意表を突くバントヒットで相手を裏をかいたりすることを「アジャスト」するといいます。
またアメフトでは相手の動きに対応することを「アジャスト」といいます。さらに競艇では、旋回中やスタート時にスロットルレバーをゆるめてスピードを調整することを「アジャスト」といいます。
競輪でも自転車のブレーキワイヤーなどの調整を「アジャスト」または「アジャストメント」といい、調整用のボルトや工具を「アジャスター」と呼びます。
このようにスポーツ界では戦術や工具・器具・靴やユニフォームなどの調整や修正の意味で「アジャスト」という言葉が幅広く使われています。
整体・カイロプラクティックにおける「アジャスト」
カイロプラクティックは1895年にアメリカのダニエル・デビッド・パーマーが創始した健康療法です。そのため施術用語は英語が多く、脊椎や骨盤を矯正することを「アジャスト」または「アジャストメント」と呼びます。
近年では脊椎や骨盤以外にも関節や神経系の施術を「アジャスト」と呼ぶことが多く、とりわけカイロプラクティックの人気が高い日本では、「アジャスト」が整体の専門用語としても浸透しつつあります。
ヨガにおける「アジャスト」
ヨガでは生徒が正しいポーズをとれるように指導者が手助けして矯正することを「アジャスト」または「アジャストメント」といいます。単に生徒のポーズを直すのではなく、膝や手首などの関節に無理な力がかからないように修正し、けがを防ぐ目的もあります。
自動車における「アジャスト」
自動車では、調節可能な機能を「アジャスト機能」と呼びます。たとえばハンドルやシートの位置を調整する機能や、足回りの固さを変える機能などが対象です。また部品関係でもエンジン回転調整用の「アジャストスクリュー」などの名称があります。
「アジャスト」の類義語と例文
「アジャスト」と同じ意味の類義語としては、英語では「correct」「adapt」。日本語では 「修正」「調整」「調節」「摺り合わせ」などがあります。
「correct」は「正しい」という意味の言葉ですが、「計算や観測結果、計器などを修正する」という意味もあります。
「adapt」は 「適合させる」「順応する」などを意味する言葉です。日本では、異なるプラグ形状の機器を接続する「アダプター」という部品の語源としてもおなじみの言葉です。
「摺り合わせ」の例文
「アジャスト」の英語表現
前述のように「アジャスト」の原語は英語の動詞「adjust」または名詞の「adjustment」になります。したがって日本語の「アジャストする」に相当する言葉は動詞の「adjust」になります。
「adjust」の例文
もしもジーンズのウエストバンドがきつすぎるようでしたら、ご自分でフィット感を調整することも可能です。
上司としての君の指導方針は、研修生のレベルに合わせて修正する必要がある。
まとめ
・「アジャスト」は「調整」や「調節」を意味する言葉です。
・「アジャスト」の原語は英語の動詞「adjust」で、名詞は「adjustment」になります。
・日本語では「アジャスト」は「~する」をつけて動詞的な用法で使われます。