藍より青しとは|意味・語源・ビジネスにおける使い方・類語等を解説

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ここでは「藍より青し」という故事成語について解説いたします。

「藍より青し」は「青は藍より出でて藍より青し」ということわざの略語ですが、人気ラブコメ漫画の題名としても知られています。アニメファンにもおなじみの「藍より青し」という言葉には、いったいどんな意味があるのでしょうか。

本稿では「藍より青し」について、アニメの紹介とともに詳しく解説していきます。アニメファンも、そうでない方も、ぜひ最後までお読みください。

藍より青しの読み方・意味・使い方

「藍より青し」は「あいよりあおし」と読みます。由来は中国の古い故事成語の「青は藍より出でて藍より青し(あおはあいよりいでてあいよりあおし)」にあります。。

「青は藍より出でて藍より青し」の意味は、「布を染める青い染料は、藍という草から得られるが、その色は元の藍よりも青が濃くなる」ことをあらわしています。「藍より青し」はその現象にもとづく成語で、弟子の技量が師に勝ることを意味しています。

藍より青しの語源

「藍より青し」は、紀元前3世紀ごろの中国の思想家、荀子(じゅんし)の著作「勧学(かんがく)」に記載された「君子曰 学不可以已 青取之於藍 而青於藍」を語源とすることわざです。

現代語に訳すと「学問を中断してはならない。藍からとれる青は藍そのものよりも濃い」となります。

本来、「藍より青し」は「刻苦勉励すれば修養を積むことができる」という「継続は力なり」に近い意味の格言でしたが、人口に膾炙するうちに意味が徐々に変化して、現在のように「弟子や部下の力量が師を越えること」を意味する格言になりました。

文月晃の漫画作品「藍より青し」

「藍より青し」という格言は、福岡県出身の漫画家、文月晃(ふみづき こう)の漫画作品の題名としても知られています。この作品では「藍より青し」という表題の「藍」と「青」の文字が菱形の枠で囲んで強調されており、ファンの間では「藍青(あいあお)」の略称で親しまれています。

漫画「藍より青し」は白泉社の漫画雑誌「ヤングアニマル」に1998年から7年間連載されました。ハーレム系の微エロ漫画として人気を博し、2002年にはテレビアニメになり、ゲーム化や小説化もされた話題作です。

「藍より青し」のストーリーは、非嫡出子ながら花菱財閥の次期当主に指名された大学生の花菱薫と、親同士の取り決めで花菱家次期当主との結婚を運命づけられた桜庭葵が本物の愛をはぐくみ、すったもんだの末に結ばれるという、ちょっぴりエッチなラブコメディーです。

作品の題名「藍より青し」については、最終回でヒロイン桜庭葵のセリフとして「藍染めの着物は最初、色が濃い。でも着続けると時がたつにつれ色がなじみ、藍はより青く鮮やかになっていく。葵の愛も時間をかけて育てていきたい」というように説明されています。

この解釈は、「藍より青し」本来の「弟子が師を越えること」という意味とはちがいますが、前述のように「藍より青し」はもともと「刻苦勉励すれば修養を積むことができる」という意味でしたから、桜庭葵の説明はむしろ原典に近いと解釈することもできます。

藍より青しのビジネス上での使い方

前述したように「藍より青し」は部下の技能が上司を超えることを意味します。上司にとってはあまりうれしいことではないかもしれません。実際にビジネスの現場では「藍より青し」を、部下に追い抜かれた上司を揶揄する意味で使われることも少なくありません。

でも本来なら、上司には部下の自立と成長をうながす指導者としての役目もあるはずです。その意味では、部下の技量が上司の自分をしのぐほどに成長することは、むしろ指導者として最も喜ぶべきことではないでしょうか。

世間一般には、上司が部下に先を越されることを屈辱だとみなす風潮が色濃くあります。でも実際は、決してそうではありません。上司がすぐれた指導者でなければ、部下が上司を超えるほど成長することは不可能です。

ビジネスの場で「藍より青し」を使う場合、成長した部下だけでなく、部下を立派に育て上げた上司に対する賞賛の気持ちも忘れないでください。上司や師匠を誹謗したり揶揄したりするために「藍より青し」を使用するのは誤用と考えた方が良いでしょう。

藍より青しの類義語と例文

「藍より青し」と意味が近い類義語としては、「出藍の誉れ」「氷は水より出でて水よりも寒し」をあげることができます。この二語は「藍より青し」と同じ荀子の「勧学」を出典としています。

「出藍の誉れ(しゅつらんのほまれ)」は、「青は藍より出でて藍より青し」を押し縮めてできた言葉です。意味は、「藍より青し」と同じように「部下や息子、弟子などが上司や親、師匠よりも優秀なこと」をあらわします。

「氷は水より出でて水よりも寒し」もまた荀子の「勧学」を出典とすることわざです。「勧学」の原文では、「青取之於藍 而青於藍」のあとに「冰水爲之 而寒於水」という文言が、同じ意味のたとえとして切れ目なく続いています。

「氷水為之 而寒於水」は日本語では「氷は水より出でて水よりも寒し」と訳されます。意味は「氷は水からできるが水よりも冷たいこと」をあらわし、「藍より青し」と同じ意味の故事成語になります。ただし日本では「藍より青し」ほど知られていません。

ほかには「鳶が鷹を生む(とんびがたかをうむ)」も「藍より青し」の類義語にあげることができます。

鳶も鷹も同じ猛禽類に属する鳥で、姿形も似ていますが、鳶はのんびり空を舞うだけなのに鷹はすぐれた攻撃力を持つことから、「平凡な親から優秀な子供生まれること」を意味する成語になりました。

厳密にいえば「鳶が鷹を生む」は「凡人が天才を生む」という意味合いが強く、「凡人の親から生まれても教育や努力によって鷹に成長することもある」という意味はありません。むしろ「こんな凡庸な親が鷹が生むとは」とおどろきを示すニュアンスさえあります。

「藍より青し」は部下や弟子が努力や研鑽を積んで成長することをあらわします。用法によっては上司や師匠の指導の良さを賞賛する意味にもなります。その点が「鳶が鷹を生む」の意味との大きなちがいになります。

「出藍の誉れ」の例文

しがない私の音楽教室からショパンコンクールのファイナリストが誕生するなんて、まさに出藍の誉れです。

「氷は水より出でて水よりも寒し」の例文

「専務の親父ギャグの寒さといったら、社長のダジャレも超越するレベルです。まさに『氷は水より出でて水より寒し』ですよ」

藍より青しの英語表現

「藍より青し」を英語に直訳しても、ことわざとしての意味は伝わりません。英語では「生徒(弟子)の学力が師匠を超えた」という意味で「The student(pupil) has surpassed his(or her) teacher」とシンプルに訳すのが良いでしょう。

また「あの生徒はいつか先生になるだろう」の意味で「The pupil might will become the teacher one day.」と訳すこともできます。

まとめ

  • 「藍より青し」は「青は藍より出でて藍より青し」を原典とすることわざです。
  • 「藍より青し」には、部下の技能が上司を超えるという意味があります。
  • 「藍より青し」は人気アニメの題名としても知られています。
  • 「藍より青し」には同じ「観学」出典の「出藍の誉れ」や「氷は水より出でて水よりも寒し」などの類義語があります。
  • 「藍より青し」を英語で表現すると「The student(pupil) has surpassed his(or her) teacher」になります。