「色即是空」の意味・読み方・使い方|英語表現・例文についても解説

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この記事では「色即是空」の読み方や意味について解説いたします。

「色即是空」は仏教のとても大切な教えを表した言葉ですが、その文字だけでは意味を連想するのは難しいところがあるかもしれません。

そこで今回は言葉の由来や使い方、類義語や英語表現についても取り上げました。

この中で一つでも参考になるような内容があれば幸いです。

色即是空の読み方と意味

「色即是空」は「しきそくぜくう」と読み、「この世の万物は形を持つがその形は仮のもので、本質は空(くう)であり不変のものではない」という意味があります。

これだけでは少し分かりにくいので、もう少し細かい意味を確認していきましょう。

まず「色」は「この世の様々な物や事象」のことで、「空」は「実体がないこと」や「唯一不変の存在はこの世にはない」といった意味です。

またこの考え方を説明する為に、お釈迦様は琵琶を例えに用いることによって説明しました。

琵琶という楽器はこの世に存在する物なので「色」ですが、お釈迦様はこの琵琶が実体がない「空」だというのです。

琵琶は弦や木等様々な構成要素が組み合わさってできていますが、これを分解すると「琵琶」という唯一無二の存在(実体)はそれぞれの部品にはありません。

琵琶は分解するとそれぞれの構成要素にはなりますが、「琵琶」という実体ではなくなるのでやはり「空」だということです。

お釈迦様は琵琶で説明していますが、これは琵琶に限らずこの世のありとあらゆるものに当てはめることができます。

なおこの考え方は現代の素粒子物理学でも正しいとされており、決して空想の話ではありません。

この世のあらゆるものは原子で構成されているとされていますが、その原子もわずか17個の更に小さな素粒子という粒でできているといわれています。

その為この世のあらゆるものは唯一無二の存在ではなく、素粒子を組み合わせたものだというわけです。

仏教の「般若心経」に出てくる言葉

「色即是空」は仏教の「般若心経」(はんにゃしんぎょう)に出てくる言葉で、これはほとんどの宗派で読まれている最も一般的なお経の大切な一節です。

もう少し詳しくいうと「色即是空 空即是色(くうそくぜしき)」と書かれているのですが、「色即是空」と「空即是色」は別のことを表現したものではありません。

この2つの言葉はこの世の本当の姿である「空」が、様々な存在を成り立たせているということを2つの側面から説明しているのです。

なお「般若心経」は300字にも満たない非常に短い経典で、数万字にも及ぶものがある中ではかなり短い部類に属するといえるでしょう。

色即是空の使い方の例文

「色即是空」の使い方の例文としては、次のようなものが挙げられます。

・色即是空という言葉が表すようにこの世の万物は空虚なものなので、物欲に振り回されるのはとても愚かなことだ。

あらゆるものは本質的に実態がない空虚なものなので、物を手に入れたり所有したりすることに執着するのは良くないということを表現しています。

・この世はあらゆるものが色即是空だということを考えるようになってから、何かに心を奪われることがなくすっきりするようになった。

様々なものに固執するのはその物事自体に価値があると感じているからかもしれません。

しかし「色即是空」の考え方を知ってからはその本質が「空」であると考えるようになり、それ以来何かに振り回されるようなことがなくなったということが読み取れます。

色即是空の類義語と例文

「色即是空」の類義語としては、以下のようなものが挙げられます。

・泡沫(うたかた)

・有為転変(ういてんぺん)

・泡沫夢幻(ほうまつむげん)

その他には「生生流転」(せいせいるてん)といったものも類義語だといえ流でしょう。

また上記の類義語を使うと、次のような例文を作ることができます。

・この世のあらゆるものは泡沫のようなものなので、あまり深く考えても仕方ないと思うようになった。

「泡沫」は「水面に浮かぶ泡」のことで、転じて「はかなくて消えやすいもの」という意味でも使われています。

 

この例では万物ははかなくていずれは消えていくものなので、くよくよと考えていても仕方がないというように思うようになったことが読み取れるでしょう。

なお「泡沫」は鴨長明が著した「方丈記」の冒頭で、以下のように表現されています。

「よどみに浮ぶ泡沫は、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。」
((河の流れの)よどみに浮かんでいる水の泡は、一方では形が消えてなくなり一方では形ができたりして、長い間そのままの状態でとどまっている例はない。)
・どんなにお金持ちになったとしても、有為転変の世の中では安定した生活を続けられるかどうかは分からない。

「有為転変」は「この世のものは常に変化していくはかないものであること」という意味です。

例えどれだけ大金を持っていたとしても、突如訪れる大災害や経済の悪化等によっていきなり貧しい境遇に陥ってしまうかもしれません。

お金の多さが安定を担保してくれるわけではないので、その状態がずっと続くわけではないということを頭の片隅に置いておいた方が良いでしょう。

・楽しい時間は泡沫夢幻なのだと、最近になって強く実感するようになった。

「泡沫夢幻」は「水にできる泡」と「夢と幻」という字の通り消えやすくてはかないことを意味しており、特に「人生がはかないこと」を表す時に使う言葉です。

この例では楽しい時間というのははかなくて消えやすいものだということに、つい最近感じるようになったことを伝えています。

その背景には、その時一緒に時間を過ごした仲間や環境と遠く離れてしまった等ということが影響しているのかもしれません。

なお「泡沫」を「泡末」と書くのは誤りなので注意が必要です。

色即是空の英語表現

「色即是空」を英語で表現すると、次のようなものが挙げられます。

・all is vanity(色即是空)

・matter is void(色即是空)

その他では「all visible things are vain」といった表現が考えらえるでしょう。

また上記の表現を用いると、以下のような例文を作ることができます。

・My favorite words are ‘All is vanity’.
(私の好きな言葉は「色即是空」です。)

自分の考え方の礎になっていたり、何か辛いことがあった時に支えになってくれるような言葉というのは誰しも一つはあるものです。

この例では、「色即是空」の考え方がその人を支えてくれているのかもしれません。

・Matter is void.So I have no greed.
(この世の物質は空虚なものなので、私には物欲がない。)

「matter」は「物質」、「void」は「虚ろ」や「空虚」といった意味があります。

自分に物欲がないのは、世の中のあらゆる物質が空虚なものだと思っているからだということを伝えたい時に使う表現です。

まとめ この記事のおさらい

  • 「色即是空」は「しきそくぜくう」と読み、「この世の万物は形を持つがその形は仮のもので、本質は空(くう)であり不変のものではない」という意味がある。
  • 「色即是空」は仏教の「般若心経」の中で、「色即是空 空即是色」という表現として使われている。
  • 「色即是空」の類義語としては「泡沫」や「有為転変」、「泡沫夢幻」といったものが挙げられる。