職場で誰かが退職する際、寄せ書きや手紙、朝礼での挨拶などでメッセージを送る機会は少なくありません。転職や結婚、病気、定年など退職理由はさまざまですが、いずれの場合も「何を書けばいいのか」「どんな言葉を選べば失礼にならないのか」と悩む人は多いものです。
この記事では、退職者へメッセージを送る際に押さえておきたいポイントと、相手との関係性別・退職理由別の具体的な例文を紹介します。ビジネスマナーとしても重要な内容なので、寄せ書きや送別の手紙を書く前にぜひ参考にしてください。
退職者へのメッセージを送る時のポイント
退職する人へのメッセージは、「長い間お疲れ様でした」という労い(ねぎらい)の言葉と、「お世話になりました」「ありがとうございました」といった感謝の気持ちを込めることが基本です。そこに、これからの人生や新しい環境での活躍を願う言葉を添えると、より気持ちの伝わるメッセージになります。
メッセージを書く際には、次のようなポイントに注意しましょう。
寄せ書きの場合、なるべく内容が被らないようにする
寄せ書きで退職者にメッセージを渡す機会は多いですが、複数人が同じような文面になってしまうと、受け取った側も少し寂しく感じるものです。短いコメントであっても、感謝の気持ちと相手が喜ぶような一言を工夫して入れることが大切です。
印象に残っているエピソードや、思わず笑ってしまうような出来事があれば、それを一言添えるだけで印象的なメッセージになります。また、誰からのメッセージか分かるように署名を忘れないようにしましょう。「あの人からのメッセージがなかった」と思われてしまうのは避けたいところです。
殴り書きはせずに、丁寧な文字で書く
寄せ書きや手紙でメッセージを渡す場合は、できるだけ読みやすく丁寧な文字で書くことを心がけましょう。達筆であっても殴り書きでは読みにくく、気持ちが伝わりにくくなってしまいます。字が上手でなくても、丁寧に書けば思いはしっかり伝わります。
送る相手によって言葉や表現に気をつける
「ご苦労様でした」は一見自然な表現に思えますが、目上の人や上司に対して使うと失礼にあたります。目上の相手には「お疲れ様でした」を使うのが適切です。
また、退職理由によっては「頑張ってください」や「元気にお過ごしください」といった言葉が、相手の状況によっては失礼に受け取られることもあるため注意が必要です。
定年退職の方へのメッセージでは、「死」「病気」「老い」を連想させる言葉は避けるべき表現です。「曲がる」「折れる」「枯れる」「切れる」といった忌み言葉も使わないようにしましょう。
いずれの場合も、退職者へのメッセージではマイナスな表現は極力控えることが大切です。「退職されて残念です」「まだ辞めてほしくない」といった、相手の気持ちを重くさせる言葉は避けてください。
メッセージを渡すタイミングは?
退職者へのメッセージは、プレゼントに添えて渡すのが一般的です。タイミングとしては送別会の場がベストですが、その場でメッセージを読まれてから顔を合わせるのが気恥ずかしい場合は、手紙だけを退職日に渡す方法もあります。
送別会を実施しない場合や、送別会に参加できない場合は、退職日の1~2週間前の、業務が忙しくない時間帯を選んで渡すようにしましょう。
退職者へのメッセージの基本構成
退職者へのメッセージを書こうと思っても、何をどう書けばいいのか分からず手が止まってしまう人も多いのではないでしょうか。ここでは、メッセージ作成の基本となる構成を紹介します。文章のイメージが浮かばないときは、以下の流れを参考にしてみてください。
- ねぎらいの言葉
まずは「○○さん、5年間お世話になりました」「○○部長、長い間お疲れさまでした」など、これまでの働きをねぎらう言葉から始めるのが一般的です。 - 退職者とのエピソード
心に残っている退職者とのエピソードを簡潔にまとめます。ねぎらいの言葉は他の人と似たような表現になりやすいですが、エピソードを入れることでオリジナリティのある内容にできます。 - エピソードに対する感想・感謝
「○○さんと一緒にプロジェクトを完遂できて嬉しかったです」「悩んだときにかけていただいた○○部長の言葉が支えになりました」など、先に挙げたエピソードに対する感想や感謝を伝えます。 - 今後の健闘や幸せを祈るメッセージ
「新しい職場でのさらなるご活躍をお祈りしております」「お体には気をつけて頑張ってください」のように、今後の健闘や幸せを祈る言葉で締めくくります。
退職者へのメッセージ例文①【相手との関係性別】
退職者へのメッセージは、相手との関係性によって適切な言葉遣いや内容が変わります。ここでは、関係性別に例文を紹介します。
上司や先輩へのメッセージ例文
上司や先輩へのメッセージは、親しさの度合いによって多少表現が変わることはあっても、基本は敬語です。特に上下関係を重視するタイプの相手には、きちんとした言葉遣いを心がけましょう。
例文
・部長、長い間お疲れ様でした。部長には公私ともお世話になり心より感謝しております。新天地でのご活躍をお祈り申し上げます。
・課長には長い間お世話になりました。くれぐれもお身体を大切にしてください。たまには、お顔を見せてください。
・○○先輩、なにかとご指導いただきありがとうございました。先輩からいただいた貴重なアドバイスは、私の宝です。飲み会があれば、いつでも飛んでいきますので、ぜひ誘ってください。
同世代へのメッセージ例文
同僚や同期へのメッセージは、親しさによって表現の幅が広がります。関係が深い相手には、共有した思い出やエピソードを入れると気持ちがより伝わります。
例文
・○○さん、〇年間お疲れ様でした。私のミスで残業した時も○○さんは嫌な顔ひとつしないで付き合ってくれましたね。これからもそのステキな笑顔で頑張ってください。
・長い間お疲れ様でした。○○さんにはいつも元気をもらっていました。新しい会社でもそのチャレンジ精神で頑張ってください。
・○○、同期の君がいなくなるのは少し寂しいけど、慎重な君が選んだ道だから応援するよ。とにかく君といると楽しかった。ステキな時間をありがとう。
部下や後輩へのメッセージ例文
部下や後輩へメッセージを書く場合、敬語を使うとかえってよそよそしく感じられることがあるため、気さくな表現の方が気持ちが伝わりやすいでしょう。
また、部下や後輩が退職する際は、お世話になった上司や先輩に対して少なからず負い目を感じているものです。そうした気持ちを和らげるためにも、今後の活躍を応援する気持ちを込めることが大切です。
例文
・○○さん、〇年間お疲れ様でした。真面目に仕事に打ち込んでいる君なら、新しい会社でも大いに歓迎されるでしょう。さらなる飛躍を期待しています。
・○○君を初めて見た時は、こんなチャラい奴に仕事は務まらないと思ったけど、今や我が部のエースまでに成長したよね。そのバイタリティーで次の会社でも活躍してください。
・いつも明るい○○さん。あなたは我が部の太陽みたいな人でしたね。あなたが退職するのは残念ですが、その笑顔を忘れずに新天地でも頑張ってください。
取引先へのメッセージ例文
取引先の担当者が退職する場合のメッセージも、上司や先輩と同様に敬語が基本です。関係の深さによって内容は変わりますが、労いと感謝の気持ちを丁寧に伝えることを心がけましょう。
例文
・○○様が退職なされるとお聞きして正直驚いております。○○様にはなにかとお世話になりました。長い間お疲れ様でした。今後の活躍を心よりお祈り申し上げます。
退職者へのメッセージ例文②【退職理由別】
退職者へのメッセージは、退職理由によっても伝えるべき内容が変わります。ここでは、代表的な6つのケース別に例文を紹介します。
転職で退職する人へのメッセージ例文
転職による退職の場合は、これまでの働きへの感謝とともに、転職先での活躍を願う気持ちを込めましょう。
例文
・○○さん、転職おめでとうございます。真摯に仕事に向き合う○○さんの姿にはいつも感心させられます。新天地でのご活躍を心より期待しております。
・○○部長、長い間お疲れさまでした。初めて営業に同行し、仕事の進め方を示していただいたことが今でも印象に残っています。その経験が今でも私の礎になっており、とても感謝しています。またお会いできることを楽しみにしております。
結婚で退職する人へのメッセージ例文
結婚は人生の新しい門出です。これまでの感謝を伝えるとともに、新生活へのお祝いの気持ちをしっかりと届けましょう。
例文
・ご結婚おめでとうございます。○○さんにはいろいろサポートしていただき感謝の気持ちでいっぱいです。これからはステキな旦那さんをサポートしてください。
・○○さん、ご結婚おめでとうございます。いつも笑顔で周囲への気配りを欠かさない○○さんなら、きっと素敵なご家庭を築かれることと思います。しばらくはお忙しくされることでしょうが、落ち着かれたらいつでも顔を出してください。社員一同いつでもお待ちしております。
妊娠や出産で退職する人へのメッセージ例文
妊娠や出産は体への負担も大きいため、健康を気遣う言葉を添えるのがおすすめです。
例文
・○○さん、ご懐妊おめでとうございます。困ったときにいつもサポートしていただいたからこそ、これまで仕事を続けることができました。本当に感謝しています。可愛い赤ちゃんの誕生を、私も心からお祈りしております。
・○○さん、5年間お疲れさまでした。新人研修の頃からずっと一緒だった○○さんがいなくなるのは少し寂しいですが、今度は素敵な赤ちゃんと一緒に会えるのを楽しみにしています。お体には気をつけて、無事のご出産をお祈りしております。
病気や怪我で退職する人へのメッセージ例文
病気や怪我による退職の場合は、相手の気持ちに寄り添い、マイナスな表現は避けることが大切です。明るい未来を感じさせる言葉を選びましょう。
例文
・○○さん、長い間お疲れ様でした。今は、ゆっくり静養してください。また、元気な姿でお会いできる日をお待ちしています。
・○○さん、これまで本当にありがとうございました。まずはご快復に向けてゆっくりと休養され、今までのように元気な○○さんに戻られることを願っております。元気になられたら、またお会いできることを心から楽しみにしています。
定年退職する人へのメッセージ例文
定年退職する方へは、長年勤めてきたことへの敬意と、これまでお世話になったことに対する感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。
例文
・○○さん、ご定年おめでとうございます。長年にわたり温かくご指導いただきありがとうございました。基礎の大切さを教えていただいたことが私の宝物です。またいつでも職場に顔を見せにいらしてください。
・○○部長、長きにわたるお勤め、お疲れさまでした。私が今の立場で仕事ができているのは、○○部長のご指導のおかげです。本当にありがとうございました。いつまでもお元気でお過ごしになることを、心からお祈りしております。
退職時のお礼メッセージ例文【退職者側】
これから退職を控えている場合は、これまでお世話になったことへのお礼メッセージを伝えるのがマナーです。
長々としたメッセージにする必要はありませんが、印象が良くなるよう言葉選びには気を配りたいところです。朝礼などで挨拶をする場合は、業務に影響が出ないよう手短にまとめ、会社や社員に対するネガティブな内容は避けるといった配慮も必要です。
メッセージの例文としては、以下のようなものが考えられます。
・私事ではありますが、本日をもって退職することになりました。これまでご指導いただいた皆様には心から感謝しています。この経験を活かし、これからも頑張っていきたいと思っています。最後になりますが、皆様の更なるご活躍を祈念しています。本当にありがとうございました。
まとめ この記事のおさらい
- 退職する人へのメッセージは、労い(ねぎらい)と感謝の気持ちを込めることが大切。
- 寄せ書きの場合は、なるべく内容が被らないようにする。
- 殴り書きはせず丁寧な文字で書き、送る相手によって言葉や表現に気をつける。
- 上司や先輩には敬語が基本、同期や同僚にはエピソードも加えるとより気持ちが伝わる。
- メッセージは、ねぎらいの言葉・退職者とのエピソード・それに対する感想や感謝・今後の健闘や幸せを祈る言葉を基本構成にする。
- 転職や結婚などでの退職にはお祝いの言葉を、病気や怪我で退職する人へは明るい未来を感じさせる表現を選ぶ。
- 自分が退職する時のお礼メッセージは、ネガティブな内容を避けるなどの配慮を忘れない。

