的を得る 言葉の意味・読み方・語源|的を射るの誤用・間違いではない?

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ここでは「的を得る」という言葉の意味や正しい使い方、類義語や英語での表現について解説します。

「的を得る」は、つい最近まで一部の国語辞典で「『的を射る』の誤用」と定義されていたこともあり、いまでも使うことに抵抗を感じる、という人も少なくありません。
実際のところはどうなのでしょうか。

この記事では、「的を得る」の語源や用法から、誤用かどうかの問題にいたるまで、くわしく学ぶことができます。
「的を得る」は「的を射る」の誤用だと思っている方は、ぜひこの記事をお読みになり、その先入観をくつがえす新常識に触れてみてください。

的を得るの読み方・意味・使い方

初めに、「的を得る」の読み方、意味、使い方の説明です。

的を得るの読み方

「的を得る」は「まとをえる」と読みます。

的を得るの意味

「的を得る」は「物事の本質や要点を的確にとらえている」「理にかなっている」という意味を表す言葉です。

「的を得る」の使い方

「的を得る」は、物事の本質や核心を鋭く突いた言動に賞賛の気持ちを込めて同意する場合に用いられます。
その例として、以下に二つの短文を掲載します。

アメリカと中国の貿易摩擦とその悪影響を、二年も前に予想していた彼の読みは的を得ていた。
「コンビニ大手の新しいスマホ決済システムは悪者に不正利用されそう」という彼女の懸念は的を得ていた。

的を得るの語源

「的を得る」の語源は、「物事の要点を正確につく」という意味の慣用句「正鵠を射る」にあると言われています。

「正鵠(せいこく)」は弓の的の中心にある黒い点のことですが、「正鵠」の「鵠(訓読みは「くぐい」)」という字は白鳥の古い呼称でもあります。
昔は弓を練習するときに、動物の皮に白鳥の絵を描いて的にしたと言われています。

そこから「正鵠」が「弓の的」の意味になり、やがて「物事の急所や要点、核心」を表す言葉になりました。
そうして「正鵠を射る」「正鵠を得る」という今も使われる慣用句の語源になったのです。

しかしながら、弓の的が現在のように紙に描いた同心円に代わってくると、「正鵠」は的の意味としては実情にそぐわない言葉になってしまいます。

そのため弓の標的のことは単に「的」と呼ばれるようになり、その結果、「正鵠を射る」「正鵠を得る」という慣用句もまた「的を射る」「的を得る」というように変化していったと考えられます。

「的を得る」は「的を射る」の誤用なのか

「的を得る」という表現は、少し前まで「的を射る」の誤用とする説が有力でした。

たとえば三省堂国語辞典はかつて「『的を得る』は『的を射る』の誤り」と断定し、ほかの国語辞典も後を追うように誤用と記載したため、「的を得るは誤用」という見解が広く流布されることになりました。

しかしながら「的を得る」という用法が、「正鵠を得る」という言葉の変化系だとしたら、「的を得る」は必ずしも「的を射る」の誤用とは言い切れなくなります。
そもそも「正鵠を得る」という言葉は「正鵠を射る」より早く、明治時代にはすでに使用されていたことがわかっています。

したがって「的を得る」と「的を射る」をそれぞれ「正鵠を得る」「正鵠を射る」の進化形と考えるなら、「的を得る」を「的を射る」の誤用と断定することは時系列的に矛盾が生じます。
また文法的にも「正鵠を得る」を正しい用法と認めるならば、「的を得る」を誤用と断定できる根拠はなくなります。

そのような理由から、現在では「的を得る」を正しい表現と認める意見が主流を占めるようになりました。

前述の三省堂国語辞典も「『的を得る』は誤用」という記載をすでに削除しており、編纂者も誤用説は間違いだったと認めています。
「的を得る」を誤用とする意見は今も一部にありますが、専門家の間では誤用説に否定的な意見が趨勢です。

的を得るのビジネス上での使い方

「的を得る」をビジネスで使う場合にまず気をつけたいのは、現在でも「的を得る」は「的を射る」の誤用という認識が根強く残っていることです。

言語学界では「的を得る」も「的を射る」も両方正しいとする見解が主流となっていますが、残念ながら過去に流布した誤用説を根絶するまでには至っていません。

一般のビジネスシーンにも「的を得る」を誤用とする説は今も根強く残存しており、そんな状況であえて論戦になるような言葉を積極的に使用するようなことは、なるべくなら避けたほうが無難でしょう。

それでも使いたい場合は「的を得る」ではなく、「的を射る」か「正鵠を得る」のように意味が同じで、もともと正解とされていた言葉に代えたほうがよいでしょう。

的を得るの類義語と例文

的を得るの類義語としては、「的を射る」のほかに「正鵠を得る」「核心をつく」などがあげられます。

的を射るの使い方と例文

「的を射る」は「的を得る」と意味も使い方も同じですので、そっくり置き換えることも可能です。

例文

「的を得る」は「的を射る」の誤用ではないという説は結局のところ、的を得ていた。

正鵠を得るの使い方と例文

「正鵠を得る」は「正鵠を射る」と意味も使い方も同じですので、こちらもそっくり置き換えることができます。

例文

部長が「夜の蝶」にもてるのは、部長に魅力があるからじゃなく、おだてに乗りやすいからだ、という女子社員一同の指摘は正鵠を得ている。

核心をつくの使い方と例文

「核心(かくしん)」とは「物事の中心となる重要な部位」という意味です。

例文

世の中は金がすべてだと信じているのは金のない人間だけだ、という指摘はまさに核心をついている。

的を得るの英語表現

「的を得る」の英語表現としては、「have a point」「get a point」「hit the nail on the head」などがあります。

「have a point」の意味と例文

「have a point」は「get a point」と同じく「良い点を突いている」という意味の言葉です。

「have a point」の例文

He is stubborn hardliner on the US-China trade negotiations, but maybe he has a point.
(彼は米中貿易交渉に関しては頑固な強硬派だが、おそらく彼の考えは的を得ている。)

「hit the nail on the head」の意味と例文

「hit the nail on the head」は「核心をつく」という意味の英語です。

金槌で釘を打つときは、頭を正確に狙わないと釘が曲がったり傾いたりして上手くいきません。
「hit the nail on the head」は、核心をつくことを、釘の頭を正確に打つことにたとえた表現になります。

「hit the nail on the head」の例文

When my computer didn’t start for a while, my boss took one look and said that it has a virus! He seemed like he has hit the nail on the head.
(私のコンピューターがなかなか始動しなかったとき、私の上司は一瞥しただけでウイルスに感染している、と言った。どうやら彼は核心をついていたようだった。)

まとめ

  • 「的を得る」は、「物事の本質を的確にとらえている」という意味の慣用句です。
  • 「的を得る」は最近まで「的を射る」の誤用とする説が有力でしたが、今では正しいとする意見が主流です。
  • 「的を得る」の類義語には、「的を射る」「正鵠を得る」「核心をつく」などがあります。
  • 「的を得る」の英語表現には、「have a point」「hit the nail on the head」などがあります。