論旨とは|読み方・意味・使い方、類語・対義語・英語表現と例文を解説

論旨

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今回は「論旨」という言葉の読み方、意味、使い方などついて解説します。

論旨は論文やプレゼンテーションなどで使われる言葉です。とても重要な役割を持っており、これを意識しているかいないかで、クオリティが異なってきます。

意味や使い方を学ぶことで、勉強や仕事に活かすことが可能です。

論旨の読み方と意味

「論旨」の読み方は「ろんし」で、その意味は「述べられている内容の主要な部分」です。つまり主張したいことを指します。「論」という漢字は「見解」「主張」などの意味を持っており、「旨」には「主な内容や意味」という意味があります。

特に論文やプレゼンテーションの作成などを行う上で、論旨を明快にしておくことは重要です。論旨を明確にすることで、作成の方向性が明確になり、作業がスムーズに行なえます。また、そうして作られた論文やプレゼンテーションは、理路整然としたものになり、読み手や聞き手に主張が伝わりやすくなるのです。

諭旨解雇は読み方が変わる

論旨と間違えやすい言葉に「諭旨(ゆし)」というものがあります。「諭旨解雇」という言葉が有名です。
論旨とは形が似ていますが、意味合いはまったく異なるので、注意が必要です。

諭旨とは「理由を言い聞かせる」という意味の熟語です。「諭」という漢字には「言い聞かせる」「はっきりとわかるように教える」という意味があり、「旨」という漢字はこの場合「理由」という意味を持っています。

諭旨解雇とは、「処分の理由を言い聞かせた上で解雇すること」という意味で、懲戒解雇に次ぐ2番目に重い処分です。犯罪や各種ハラスメントなどの懲戒解雇になるような不祥事を起こしたものの、会社側からの情状酌量により、やや処分内容が軽くなります。たとえば懲戒解雇の場合は退職金が支給されないのに対し、諭旨解雇ならば、減額はされるものの退職金をもらうことができます。

また、諭旨解雇に似た言葉に「諭旨退職」というものがあります。諭旨退職とは、本来は諭旨解雇にするところを、会社側が社員に退職を促し、社員が自らの意思で退職することです。諭旨退職を促す背景には、解雇通知手当などの諭旨解雇にかかる費用を抑える、または社員を解雇することによる会社のイメージダウンを避けるといった意図があることが多いです。

諭旨解雇、諭旨退職はいずれも法律では規定されていません。それゆえ、会社の就業規則に書かれた判断基準に則ることになり、似たようなケースでも会社によって対応が異なることが多いです。

論旨を使った言葉

論旨を使った言葉に、「論旨明快(ろんしめいかい)」という四字熟語があります。意味は「主張している内容が理路整然としていてわかりやすいこと」です。

論旨明快であれば、受け取り手が一度で内容を理解することができます。また、受け取り手がその議論に関する知識を十分に身に着けていなかったり、主張に対して懐疑的だったりする場合でも、正確に主張を伝えることができ、納得が得られる可能性も高まります。後から振り返ろうとする際にも、内容を想起しやすいというメリットもあります

論旨の例文

論旨という言葉が使われる場面として、たとえば論文を読んだりプレゼンテーションを聞いたりした際に、論旨が明確だったかどうかを評価するという状況が考えられます。とくに褒められる機会よりも改善を求められることのほうが多いです。

例文
  • 「この論文は、主張とはあまり関係のないことがらが散見されるので、論旨があまり伝わってこない」
  • 「先ほどのプレゼンテーションは、ところどころ飛躍しており、論旨明快とは言えない」

1つ目の例文では、主張とは関連の薄いことまで論文に盛り込んでしまったため、論旨がわかりにくくなっていると指摘されています。

内容を充実させようとするなどしてテーマに関係のありそうなことを盛り込んでしまうことは、大学生の論文やレポートなどでよくあることです。しかし、あまりにも何でも盛り込んでしまうと、結局何が言いたいのかが伝わりにくくなってしまいます。文量を増やす場合は、論旨に沿ったことがらを調べていくことを意識する必要があるのです。

2つ目の例文は、論理の展開に飛躍があることで論旨が伝わってこないという指摘です。作成者が「これは言わなくても伝わるだろう」などと思って内容を省略してしまうことで飛躍が発生し、論旨がぼやけてしまいます。自身の立てた筋道にしたがって、丁寧に主張を展開していくことが重要です。

論旨の類義語

次に、論旨の類義語を紹介します。類義語といっても、全く同じ意味もあれば、厳密には少し異なる意味を持つもの、あるいはもっと広範囲で使うことができるものがあります。そうした類義語同士の間にある違いを理解して使い分けることで、言葉の使い方が上達していくのです。

ここでは論旨の類義語について解説します。

主旨

「主旨(しゅし)」という言葉の意味は、「論旨」とほぼ同じく「その内容で最も伝えたいこと」となります。

例文
  • あなたが言われている内容の主旨をどうか伝えてください。
  • この論文の主旨は何ですか。
  • この事件展開の主旨となる要素はいったいどこにあるでしょうか。

このように、論述や意見、さらにできごとなどの展開における「重要な部分」を指す言葉として「主旨」が扱われます。

概要

「概要(がいよう)」という言葉の意味は「論旨」や「主旨」などとは少し違い、「その内容や論述の大雑把な内容」となります。特に「主張したい部分」だけを明記する場合が多いですが、必ずしも「相手にとって伝えなければならない重要部分」が含まれていなくてもかまいません。

概要
  • この作文の概要は以下のようになります。
  • この作品の内容を大まかに、概要として記してください。
  • 概要は概略と似ているため、概要だけをメインにしてもその主張の骨子は把握できません。

類義語の例文

骨子

「骨子(こっし)」という言葉は、「話や文章、ものごとの中心となることがら」という意味を持っており、論旨とほぼ同じです。したがって、先ほどの論旨の例文に当てはめて使うことが可能です。また、議論や文章以外にも使えるので、論旨よりも幅広く使えます。

例文
  • この論文は、主張とはあまり関係のないことがらが散見されるので、骨子が見えてこない」
  • 「このプロジェクトの骨子を説明できるように準備しておいてほしい」

主旨

「主旨(しゅし)」には「話や文章の中で最も伝えたいことがら」という意味があり、意味や使い方は論旨と同じです。

例文
  • 「このプレゼンテーションの主旨をお聞かせ願えますか?」

趣旨

主旨と同じ読み方の「趣旨(しゅし)」にも「話や文章で主に言おうとしていることがら」という意味があります。また、趣旨には「ものごとのねらいや理由」という意味もありますので、趣旨の代わりに論旨を使う際には注意が必要です。

例文
  • 「論文の趣旨を明確にしておけば、読み手はスムーズに理解できる」
  • 「練習の趣旨を理解して取り組む場合とそうでない場合では、練習の効果は大きく変わる」

要旨

「要旨(ようし)」は論文でよく使われる言葉で、論旨の類義語として紹介されることが多いです。しかし、厳密に言えば両者には違いがあります。

論旨は研究のテーマや論点という主要な部分を提起するもので、論文の執筆前に考えておくことです。一方、要旨は研究全体のまとめであり、研究方法や結果についても触れる必要があります。したがって、要旨は論文の執筆後に考えることです。

論旨の英語表現

論旨の英語表現としては、該当する単語や語句はたくさんありますが、最も使いやすいのは「the main point」という語句です。さほど難しい単語を使う必要がないので覚えやすいです。

例文
  • 「Please write the main point of your paper one sheet of manuscript paper.」
    (あなたの論文の論旨を原稿用紙1枚にまとめてください)

まとめ この記事のおさらい

  • 論旨とは、「述べられている主張や見解の主な部分」のこと
  • 論旨と諭旨は見た目が似ているだけで、意味は全く違う
  • 論旨を明確にすることで、論文の読み手やプレゼンテーションの聞き手に自分の主張を正確に伝えられる

以上のように、論旨は自分の考えを他人に伝える上で、重要な役割を果たしているといえます。いかに斬新なアイデアであっても、伝え方を誤れば理解を得られず、そこで実現への道は閉ざされてしまいます。

そうならないように、アイデアをまとめて発表する際は、どのように論旨をまとめるかというのを意識すると、他人からの理解を得やすくなることでしょう。類義語や英語表現も使いこなせるようにしておきましょう。