国民皆保険制度の日本では、職業や年齢に応じていずれかの保険に加入することになっています。医療保険の中でも、あまり聞いたことがないものに船員保険があります。

ここでは、船員保険とはなにか、船員健康管理センターなどについて解説します。船員を職業に選ぶ場合に、加入することになる保険をあらかじめ知っておく事が出来ます。

そもそも船員保険とはなにか?

船員保険とは名前の通り、船員を対象とした社会保険制度のことです。

船員については、船員法第1条に以下のように規定されています。

日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう。

引用:e-gov 電子政府の総合窓口 船員法

船員保険は、一般的な会社員が入る被用者保険とも呼ばれ、健康保険と似た保険です。船員又は、被扶養者の職務外の疾病や負傷、または死亡や出産に関して保険が給付されます。

労災といわれる労働者災害補償保険とともに、船員の職務上または通勤による疾病、負傷、障害あるいは死亡に関しても保険が給付されます。

2010年から、協会けんぽが運営の主体です。現代の船員保険の保険者は、協会けんぽとも呼ばれる全国健康保険協会です。

船員保険だけが別くくりになっているのは、歴史が関係しています。船員保険は大航海時代にイギリスが発祥で、保険には古い歴史があります。

船の出向費を投資家から募るのが目的で、船にのる船員の命にも保険がかけられたことから始まっています。

昔の船員は、定住しない事が一般的だったため、それぞれの国に税金を納めることもなく、保証が受けられなかったという背景もあります。

船員保険法とは船員の医療と給付を定めた法律

船員保険ができたのは、1939年の船員保険法の成立によります。船員保険法は、船員の医療と独自の給付を定めた法律です。

背景には第二次世界大戦の勃発があります。日本の徴兵で船員が減ったこともあり、海運力を確保するために法律が定められました。

船員保険法は、日本で最初の総合的社会保険立法といわれています。当初の船員保険法では、船員への手厚い保護のために船員保険が、年金、医療、労災、失業すべてを担っていました。

しかし、1970年代をピークに船員保険加入者が減少したため、1986年に年金は厚生年金へ、職務上の疾病、年金、失業については、それぞれ一般の労災保険と雇用保険に移行されています。

結果的に現代の船員保険には、医療保険と船員保険独自の給付の部分が残されてます。

船員保険独自の給付方法

船員保険は、基本的に会社員の健康保険と同じ内容です。しかし、船員の生活の安定と福祉の向上のため、ILO条約や船員法に基づく船員保険独自のものもあります。

療養の給付については、自宅以外の場所での療養に必要な宿泊および食事の支給も給付されます。自宅以外の場所は、協会が指定した施設から被保険者自身が選択することができます。

傷病手当金は、一般的な健康保険では連続で3日間の待機期間があるのに対し、船員は労務につけなくなった初日から給付される事が特徴です。

給付期間は健康保険の1年6か月の2倍、3年間の給付期間が設けられています。

出産手当金は、船員法第87条は妊娠中の女子の使用を禁じられていることもあり、妊娠が判明した初日から給付されるでしょう。

船員保険被保険者が、職務上で1か月以上行方不明になった場合には、行方不明手当金の支給があります。基本的には、本人の標準報酬日額相当を行方不明になった日の翌日から3ヶ月間支給されます。

下戦後の療養補償もあり、乗船中に発生した職務外の傷病については、下船日から3ヶ月の間は自己負担なしで療養を受けられる事も特徴です。

船員保険にはほかにも、休業手当金や障害年金・一時金・障害手当金・遺族年金・一時金などがあるでしょう。

船員健康管理センターは医療施設のこと

船員健康管理センターとは、一般財団法人船員保険会が運営する医療施設のことで、主に船員保険被保険者と扶養者などを対象にしています。

1941年に設立された船員保険会は、もともと厚生労働省の所管でした。

現在は、全国に5か所、北海道・東京・神奈川・大阪・福岡にセンターを構えています。5か所のセンターは独自のネットワークで結ばれおり、健康診断のデータを船員保険情報センターで一元管理しています。

健康診断予約や結果紹介はウェブ上で利用者が管理することも可能で、地元を離れることが多い船員でも便利に活用できるでしょう。

船員保険会の保養施設「センポスの宿」

船員保険会では、宿泊・保養施設などの運営も実施しています。

船員保険会が運営する宿泊施設は、センポスの宿とも呼ばれ、船員保険被保険者や扶養者だけでなく、一般の人でも利用が可能です。

サンポートみさき、箱根嶺南荘、やいずマリンパレス、鳴子やすらぎ荘などがあります。

船員保険についてのまとめ

  • 船員保険とは、船員を対象とした社会保険制度です。
  • 一般的な会社員が入る被用者保険とも呼ばれる健康保険と同じような保険ですが、労災とともに、船員の職務上または通勤による疾病、負傷、障害あるいは死亡に関しても独自で保険が給付されるでしょう。
  • 船員保険のもとになっている船員保険法とは、1939年に成立し、日本最初の総合的社会保険立法と言われています。
  • 船員保険独自の給付には、自宅以外での療養の給付、待機期間のない傷病手当金の給付、妊娠が判明した初日から給付される出産手当金、行方不明手当金の支給、下船後の療養補償、休業手当金や障害年金・一時金・障害手当金、遺族年金・一時金などがあるでしょう。
  • 船員健康管理センターとは、一般財団法人船員保険会が運営する医療施設のことで、主には船員保険被保険者とその扶養者などを対象にしています。現在は、全国に5か所あります。船員保険会の保養施設はセンポスの宿とも呼ばれ、全国で4か所あり一般の人でも利用可能です。