単位取得退学とはなにか 単位取得退学の仕組みと最終学歴を解説

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大学教授やビジネス本の著者などの経歴を見ていると、博士課程単位取得退学と書かれていることがよくあります。単位を取得したのに退学ってどういうこと?と疑問に持つ人も多いのではないでしょうか。

単なる中退とは違うことはなんとなくわかるにしても、なぜそのようなものが存在しているのか、修了とはどのような違いがあるのかわかりにくいと思います。

ここでは単位取得退学とは何か?メリットやデメリットはあるのか?という単位取得退学について解説していきます。

単位取得退学とは何か

単位取得退学とは、大学院の博士課程で必要な単位を取得したものの、博士号を得る条件を満たさずにそのまま退学することをさします。普通の中退と違い、必要な単位を取得した上での退学ということがポイントとなります。

単位取得退学が起きる原因を知る前に、博士号の仕組みを理解する必要があります。

博士号には課程博士と論文博士があります。課程博士とは大学院博士課程のカリキュラムを修了することで得られる博士号です。論文博士は、課程の在籍を問わず、論文によって得られる博士号です。

理系が早い時期から課程博士号を与えていたのに対し、文系は論文博士で博士号を与えるという習慣が長く続いていました。つまり、課程を修了しても博士号をもらえないということが起こるわけです。

そのような人は、論文審査以外は課程博士号の人と経歴は大差ないですよね。よって、論文審査以外の単位を取得し、課程博士号に準じた学歴を有することを表すために、単位取得退学という表現をするようになったというわけです。

単位取得退学となるためには、大学院修士課程を修了して博士課程に進学し、博士課程で必要な単位を取得して博士号を取ることなく退学すればいいということになります。

単位取得退学のメリットは実質博士過程を終えたと見なされる点

単位取得退学のメリットとしては、実質博士課程を終えたものとして見なされることが多いという点です。

単位取得退学をする人は、博士課程のカリキュラムを終えている分、修士までの人に比べて専門知識を身につけているという特徴があります。

アカデミックな世界や大学院に詳しい人がいる職場などでは単位取得退学がどのようなものか理解されているため、修士号を取得しただけの人と区別してもらえるんですね。

就職などの理由で論文が認められるのを待っている余裕がないという人にとってはありがたい慣習であるといえます。

単位取得退学のデメリットは海外では博士号を取得したとは見られない点

デメリットとしては、海外では結局博士号を取得しなかった人として見なされるということです。

単位取得退学が当たり前に認められているのは日本独自といってよいため、単位取得退学の人が海外で研究者として活躍したい場合は苦労が多くなると考えられます。

また、退学という文字にネガティブなイメージを抱く人もいるため、単位取得退学を知らない人にとっては、中途半端な人に見られてしまう恐れがあります。

単位取得退学の場合の最終学歴は修士卒になる

単位取得退学の場合、学歴は修士卒扱いになります。博士号と近い扱いをされることが多いとはいえ、博士号を取得したわけではないので学歴は修士卒です。

ただし、経歴に単位取得退学と書くのは問題なく、大学院の教員など、単位取得退学の場合はそれを明記するように求めている職もあります。

理屈として、最終学歴は修士卒なものの、慣習として博士課程単位取得退学という学歴があるものと見なしていると考えて問題ないでしょう。

単位取得退学と満期退学の違い

単位取得退学と似たような言葉に、満期退学という言葉があります。この2つにはどういう違いがあるのか解説していきます。

満期退学とは、修業年限以上在籍したうえで退学をすることをさします。修業年限未満で退学する場合は、中途退学、つまり中退といいます。

単位取得退学と満期退学は、ほとんど同じような使い方で使われます。単位取得満期退学という言い方をするくらいです。博士課程で必要な単位を取得している学生は、修業年限も満たしていることが多いため、あまり区別することがありません。

周りで博士課程単位取得退学だとか満期退学だとか言っている人がいたら、同じような意味だと思っていただいて構いません。

ただし、仮に修業年限以内で博士課程で必要な単位を取得し退学した場合は満期退学の条件に当てはまらないため、単位取得退学と言った方がよいでしょう。

単位取得退学と満期退学はほぼ同じ意味で用いられるものの、満期退学そのものの意味は、修業年限以上在籍して退学することをさすということを覚えておけばよいでしょう。

単位取得退学に関するおさらい

単位取得退学に関するおさらいは以下の通りとなります。

  • 博士課程で必要な単位を取得しているものの、論文審査を終えずに退学することを単位取得退学という
  • 単位取得退学は博士課程修了に近い扱いをされることが多い
  • 単位取得退学は日本独自の習慣であり、海外では博士号を取得していない人として見なされる
  • 単位取得退学の最終学歴は修士卒ですが、履歴書には単位取得退学と書いて構わない
  • 単位取得退学と満期退学は同じような意味で用いられることが多い、満期退学は修業年限以上在籍して退学することをさす