借用書の書き方や借用書の基本事項と印紙の有無などについて解説

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民事トラブルの中でも多いのが金銭に関わる問題です。お金の貸し借りにおいて、「貸した」「貸していない」、「返した」「返していない」といったやりとりが続き、最終的には法廷で決着をつける場合があります。

法廷での証拠品として「借用書」があげられます。口約束でお金を貸し借りすると証拠となるものがないため、法廷でも真実を見極めるのは難しいでしょう。

この記事では、借用書について以下の点について解説します。

この記事の内容
・借用書とは
・借用書の基本事項
・印紙の有無 など

金銭の貸し借りには借用書が必要

金銭トラブルを防ぐにはまず、お金の貸し借りをするときに借用書を交わすことが重要です。

親しい間柄であればあるほど、信頼があるから大丈夫と思って口約束でお金を貸してしまうことがあります。しかし、相手はお金を返したくても返せない状況かもしれません。

上記の場合いくら待ってもお金が帰ってこないため、催促すると金銭トラブルに発展してしまったというケースがあります。

どんなに親しい間柄であったとしても、親しい間柄であるからこそ、借用書を交わして後々トラブルにならないように金銭の貸し借りをしましょう。

借用書の基本項目

借用書の基本事項は以下の通りです。

・借用書であるとわかる表題
取引金額
・利息の取り決め、利率
契約日
返済期日
・返済方法
・金銭を受領したという事実の明記
・金銭を受領した日付
借主の住所氏名(署名)と押印
貸主の氏名

借用書の中でも特に、取引金額、借主の署名と住所、押印、貸主の氏名、契約日、返済期日が必須事項です。

さらに、公正証書を作成しておくと法律上で強い効力を持ち、裁判なしでも差し押さえが行えるようになります。少しでも不安を感じたら上記のような書類を交わすようにしましょう。

利息の取り決めについては無利息である場合はその旨を、利息の約束があればその利息を明記します。利息をつける約束をした場合、利率を決めておくことも重要です。

貸し借りをした金額が10万円以下の場合、利率の条件は年20%、10万円〜100万円の場合は年18%、100万円以上なら年15%までで設定できます。もし、利率を決めていなかった場合は、5%の利息とみなされます。(民法第404条)

返済期日は西暦、月、日を細かく指定して、明記しておく方がよいでしょう。明記されていなかった場合や取り決めが行われていなかった場合は、返済請求の時期は貸主の自由となります。

また、返済方法については必ず明記しなければならないものではありませんが、事前に決めておいた方がよいでしょう。貸主の住所に現金を持参するのか、振り込みを行うのかなどです。

借用書の数字は大字を使う

数字にはいろいろな種類があります。1、2、3といったものをアラビア数字、一、二、三を漢数字と呼び、借用書等の正式な書類では大字(だいじ)を使います。これは、壱、弐、参というあらわし方です。

アラビア数字や漢数字の場合、1本線を足すと別の数字になってしまうため、誰でも改ざんできてしまいます。

漢数字の「一」に縦棒を書き足された場合、「十」になってしまうでしょう。アラビア数字の場合は、「0」を書き加えるだけで位が大きく変わってしまいます。

改ざんを防ぐため、大字を用います。大字は複雑であるため、なかなか改ざんはできません。また、書類作成日や住所などは、アラビア数字や漢数字を用います。

また、数字の前に「金」、後ろには「円」とつけることで、簡単に桁を書き換えることができないようにしましょう。

50,000円以上の借用書には収入印紙が必要

正式な書類の場合、収入印紙を必要とします。

借用書の場合も50,000円以上の場合は、印紙税法により記載金額に応じた収入印紙を貼り決心をすることが義務付けられています。

収入印紙を用意するのは貸主と借主とどちらでも構いません。しかし金額を折半し、きちんと借用書に貼る必要があります。

借用書に捨印は必要ない

契約書に捨印を押すことがしばしばありますが、借用書に関しては捨印は必要ありません。あくまで個人間の借用書に限りますが不要です。

捨印は、契約書に記載されている内容の訂正を行う際の訂正印の代わりに書類の欄外におしている印のことです。

捨印を押しているということは、借用書の訂正を認めているという証になります。個人間の借用書に捨印が必要になるほどの訂正事項は存在しないでしょう。

万が一借用書を書き間違えた場合には作り直した方が無難です。その都度、二重線と訂正印を押して修正しても問題はありません。

むやみに捨印を押さない方が、後々トラブルになりにくいため注意しておきましょう。

借用書の例文

平成●●年△月×日(書類作成日)
○○様(貸主)借用証書/借用書(タイトルに借用書であることを明記する)私は貴殿より、下記の通り金銭を借用しました。記借用金額   金○◯萬円 也
借用日    平成●●年△月×日
返済期日   平成●●年×月○日
利息     年2%
返済方法   銀行振込(振込手数料は借主負担とする)
借主住所   東京都渋谷区●○
氏名     ○○ ×××  印
以上

※収入印紙は借用書の中のどこかに貼り、割印を押す。

借用書の書き方についてのまとめ

  • 金銭トラブルを防ぐためにも、源泉の貸し借りをする際には借用書を作成することです。
  • 借用書の基本事項はいくつかあり、その項目を押さえていないと借用書として効果を発生しません。
  • 借用書に記載する必須の事項は、取引金額、借主署名と住所、押印、貸主の氏名、契約日、返済期日などです。
  • 借用書の数字は、壱、弐、参などの大字(おおじ)を使い、金額の前には「金」、後ろには「円」を加えることで改ざんを防ぐ効果があります。
  • 住所や書類作成日などはアラビア数字や漢数字を使用してよいでしょう。
  • 貸し借りの金額が50,000円以上の場合、必要に応じた収入印紙を用意しましょう。
  • 個人間の金銭借用書には捨印不要です。