有給消化は義務!企業には罰則も|退職・転職時の有給消化の注意点も解説

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この記事では有給消化のルールやポイントについて解説いたします。

2019年4月から有給取得の義務化がスタートしましたが、未だに取得したことがなかったり消化の仕方が分からないといった人もいるかもしれません。

そこで今回は有給取得の実情や取得を拒否された場合の対処法も含めて取り上げています。

せっかくの権利を存分に使えるようになる為にも、一つずつ確認していきましょう。

退職時の有休消化は問題ないのか?

転職や家庭の事情等で退職するとなった場合、有給休暇を取得できる日数がまだ残っているといったことは十分考えられます。

しかし「もう退職する身なのに、有給を全部消化して辞めるのは気を遣ってしまう」等の理由で未消化のまま退職するという人がいるかもしれません。

そういった懸念を払拭する為にも、以下の事実は知っておいた方が良いでしょう。

退職時に残っている有給休暇を全て消化するのは普通のこと

そもそも退職時に残っている有給休暇を全て消化するのは普通のことで、そのことに対し何ら後ろめたさや申し訳なさを感じる必要はありません。

有給休暇は一定期間労働に従事した人に付与される権利であり、退職を予定している人もその権利を行使することができます。

ただし業務の都合でどうしても特定の時季に有給取得させるのが難しい場合、会社は他の時期に取得させる権利(「時季変更権」といいます)を行使することができるのです。

退職する時に有給消化する上では、このことも頭に入れておいた方が良いかもしれません。

ただし、日本の有給休暇取得率は世界最下位

実は日本の有給休暇取得率は3年連続で世界最下位だという調査結果があります。

その調査では、取得率2位であるオーストラリアの70%に大きく離された50%、取得日数だと世界最少の10日間というのが日本の結果です。

また日本人は「罪悪感」や「上司の無理解」等の理由で「休み不足を感じていない」という現状を同調査は指摘しています。

フランスのように有給取得率100%の国もある等、世界でも多くの国が70%以上であることを考えると日本は世界一有給取得しにくい国だといえるかもしれません。

年間を通して一日も有給を取得できなかったという人が15%程度存在するといわれており、そうした背景もあって周りも有給取得がしにくいという「空気」もあるのでしょう。

2019年4月から有休取得の義務化がスタート

そうした現状を打破するべく、日本では2019年4月から有給取得の義務化がスタートしました。

誤解している人もいるかもしれませんが、この義務は労働者ではなく雇い主である企業側に対してのものです。

個人に対してでなく企業に義務を課すことにより取得を促すことが今回の義務化のポイントだといわれています。

企業は最低5日以上取得させなければ労働基準法違反により30万円以下の罰金を課せられる可能性があり、それを避ける為にも企業は有給取得させるというわけです。

この制度の対象は年10日以上の有給を付与されている人で、役職や雇用形態等は問いません。

また有給を付与した日を起算日とする為、会社は個人ごとに管理することが必要になってきます。
その為会社は各自に任せっぱなしにするわけにもいかず、積極的に取得を促していかなければなりません。

退職時、円満に有休消化するためのポイント

退職時に円満に有給消化するには、次のようなポイントを押さえておくと良いかもしれません。

・退職の意思を早めに伝える
あまり間際に伝えると、引き継ぎの関係や繁忙期による人手不足等の事情で有給消化ができない場合があります。

新たな人員の補充や業務の円滑な引き継ぎを行えるように配慮した方が円満に有給消化することができるでしょう。

・取得できる日数を事前に確認しておく
例えば土日休みの完全週休2日制の職場では、土日は有給取得できる日ではなく通常の休日です。
もし土日のことを計算に入れずに有給消化日を数えていると、土日の分は消化しきれなくなってしまいます。

そのようなことがないよう、自分があと何日有給を取得できるのかを事前に確認しておいた方が良いでしょう。

・引き継ぎに必要な日数を考慮しておく
これまで自分が担当していた業務を後任者に引き継ぎをするには、ある程度の時間を確保しておくことが必要です。

余裕を持って退職の意思を告げておくことによって引き継ぎもスムーズになり、有給取得もしやすくなることでしょう。

有給日数を正しく把握する

有給日数を正しく把握することは、先述の円満な有給消化を実現する上で非常に重要です。

では有給日数を何で確認したら良いかというと、労働基準法第39条が挙げられます。
なぜなら上記では継続勤務日数が半年で10日、1年半で11日、2年半で12日、3年半で14日、4年半で16日、5年半で18日、6年半で20日以上付与することを定めているからです。

ただし会社によっては独自の規定で上記よりも日数が多かったり、付与されるのが早かったりということもあるので会社にも確認した方が良いかもしれません。

退職日や有休消化について、会社と早めに相談する

また退職日や有給消化については、自分で段取りを組むよりもまずは会社と早めに相談する方が良いでしょう。

新たな人員補充のペースや引き継ぎの段取り等は会社が考える内容であり、余裕を持って相談した方が会社にとっても望ましいといえます。

退職時の有給消化を拒否されたときの対処法

もしかすると、退職時の有給消化を拒否されるといったことがあるかもしれません。

そういった場合の対処法として、以下の2つのケース別で確認しておきましょう。

ケース①:「有給消化はできない」と言われたとき

もし「会社の慣習で、退職者は有給消化できない」や「これまで退職する際に有給消化した人はいなかった」等と言われた場合、上司ではなく人事部に相談するという対処法が挙げられます。

人事部は前述の労働基準法第39条の内容も把握しているはずですし、当事者とは離れた立場で対応してくれることが期待できるからです。

それでも事態が好転しない場合は労働基準監督署に相談する、あるいは「労働基準監督署に相談します」と上司や人事部に伝えることにより話が前に進むかもしれません。

ケース②:有給買取の代わりに、退職日まで出勤を命じられたとき

有給を買い取ることで代わりに出勤させることは、原則的に労働基準法で禁止されています。

ただしいくつか例外はあり、退職日までに有給消化が完了できない場合が最たる例です。
とはいえ「いくらで買い取るか」等といった判断は会社によって異なりますし、消化しきれるのに出勤を命じられるということがあるかもしれません。

後々の問題にならない為にも、上記のような命令があった時点でまずは人事部に相談した方が良いでしょう。

まとめ この記事のおさらい

  • 退職時に残っている有給休暇を全て消化するのは普通のことで、後ろめたさや申し訳なさを感じる必要はない。
  • 日本は世界的に見ても有給取得率が低く、それは「罪悪感」や「上司の無理解」といった理由が考えられる。
  • 2019年4月から有休取得の義務化がスタートし、会社は5日以上の有給を取得させなければならなくなった。
  • 退職時に円満に有休消化するためのポイントとして、有給日数を正しく把握することや早めに相談すること等が考えられる。
  • 退職時の有給消化を拒否されたときの対処法として、人事部や労働基準監督署に相談したりすることが挙げられる。