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この記事では地鎮祭の流れや準備するもの、マナーについて解説いたします。
どういう流れでどの位の時間や費用がかかるのか等事前に知っておくことで、いざ行うとなった時にも備えておくことができます。
それでは、一つずつ内容を確認してみましょう。
地鎮祭とは
「地鎮祭」は「じちんさい」あるいは「とこしずめのまつり」と読みます。
「土木や建築等で工事を始める前に行う、その土地の守護神(鎮守神。「ちんじゅがみ」と読む)を祀り、土地を利用させてもらう許しを得ること」という意味です。
神様を祀って工事の無事を祈る儀式という考えが一般的で、「安全祈願祭」と呼ばれることがあります。
また「鎮地祭」や「土祭り」、「地祝い」や「地祭り」と言われることもあります。
家を建てる際等に神主さんや工務店、住宅会社にも立ち会ってもらい行われることから服装や挨拶といったマナーも非常に重要です。
地鎮祭の流れ・所要時間
まず地鎮祭の依頼を工務店や住宅会社に依頼します。先方も勝手を分かっているので、すぐに対応してくれる場合がほとんどです。
一点注意点として、地鎮祭は必ず着工前に行います。工事の納期にも影響するので、早めに依頼しましょう。
大体の準備は神主さんと工務店や住宅会社が行ってくれる為、「奉献酒」や「玉串料」以外は特に何も準備する必要はありません。
「奉献酒」は「ほうけんしゅ」と読み、「神様にお供えするお酒」を意味しています。
また「玉串」は「たまぐし」と読み、「神事において参拝者や神職が神前に捧げる紙垂や木綿をつけた榊の枝」のことです。
「玉串料」は神主さんへのお礼とされています。
ただし依頼する神社によっては他に必要なものがある場合があるので、その都度確認しましょう。
当日は時間ぎりぎりに到着すれば問題ないです。
あとは神主さんの挨拶や解説から始まり様々な儀を経ていきますが、基本的には神主さんが全て仕切ってくれるのでその指示に従います。
地域によっても異なりますが、儀式自体は30分程度で祭壇の撤収等も含めて1時間程度であることが多いです。
地鎮祭をやらない場合もある
地域や宗派、また家族の都合等で地鎮祭を行わないケースもあります。あるいは費用や納期の関係で見合わせるという場合も見受けられます。
地鎮祭を行うかどうかは基本的に建主の自由判断とされていますが、都市部ほど行わない傾向が強いです。
絶対に行わないといけないものではない、ということを頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。
地鎮祭を行う時に準備するもの
最近では神主さんが一通り用意してくれることも多いので、その場合は先述の「奉献酒」と「玉串料」を用意しておきます。
ただし、奉献酒も用意してもらえる場合もあります。
玉串料の相場は3万円から5万円程度が一般的だといわれています。
これも地域等によって異なる場合があるので、不安であれば工務店や住宅会社に確認しても良いでしょう。
玉串料は初穂料ともいわれ、のし袋にお金を入れて渡します。
なお地鎮祭において工事関係者へのお礼は不要です。
それ以外にも準備が必要だと指示があった場合はその通りに従えば問題ないです。
もし準備を求められるとすれば、以下のものが一般的とされています。
・お供え物(米、塩、山・海・野の幸、酒)
分量や種類について確認したい場合は、神主さんや工務店、住宅会社の方に相談しても良いでしょう。
・中央に設置する祭壇
祭壇を設置し、お供え物や榊等を配置します。
・榊
「さかき」と読みます。「神事や家庭の神棚に用いられる植物」のことです。
神社の垣根等に使われていることもあり、馴染みの深い植物の一つといえるかもしれません。
なお神棚に飾る時には榊立を用い、毎月1日と15日に交換するものとされています。
・人数分の盃
地鎮祭の後に直会で御神酒として振る舞われ、心霊の力を分けてもらい、ご加護を受けるものとされています。
「直会」は「なおらい」と読み、「細事が終わってから御神酒やお供え物をいただく宴会、あるいはそのお供え物」という意味です。
また「御神酒」の読み方は「おみき」で、「神前に捧げるお酒」という意味があります。
用意するものとしては以上です。
日程を決める
日程を決める際には、「六曜吉凶」に合わせて決められることが多いです。
「六曜吉凶」とは「暦注の一つで、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6種類による縁起」のことです。
地鎮祭は午前中に行われることが多いので、大安や先勝、友引等の吉日を選ぶのが良いとされています。
施主と工務店または住宅会社とで日程を相談しますが、神主さんとの段取りや具体的な日の決定については工務店や住宅会社に依頼するのが一般的です。
依頼先を決める
工務店や住宅会社が手配してくれる場合は問題ないですが、稀に施主が依頼先を決めることを求められることがあります。
その場合は建設地から最も近い神社に依頼することが多いです。
ただし地域や神社の性質等によって変わってくる為、よく確認した方が良いかもしれません。
参列者への連絡
日程が決まった後は、参列者に詳細を招待状や招待メールで案内します。
詳細の中身は日程や場所、式の流れや問合せ先が一般的です。
また招待状では出欠を記入する欄、招待メールでは出欠についてのお伺い文も併せて記入します。
参列者は施主、神主さん、工務店や住宅会社等の工事関係者です。
親戚等を呼ぶ場合もありますしそれ以外の方に声をかけたい場合もあるかもしれません。
その時にもまずは工務店や住宅会社に相談して良いでしょうk。
地鎮祭にかかる費用や祝儀
まず地鎮祭にかかる費用や祝儀には大まかに5種類あります。
神主さんへの祝儀、神主さんへのお車代、祭壇等の準備費用、施工業者への祝儀、そしてお供え物の費用です。
祭壇等の準備は施工業者に一任している為、施工業者に支払います。
相場は大体1万円から5万円程度で、テント等の設営も依頼した場合はもう少し高くなります。
施工業者への祝儀は棟梁、職人、大工、現場監督、作業員等に対して渡すものです。
工事の規模や予算に応じて用意するものですが、必須ではないとされています。
お供え物については全て合わせて2万円から3万円程度が相場だとされています。
神主さんへの祝儀
玉串料として3万円から5万円程度が相場といわれています。
ただし地域等によって2万円から3万円程度というケースもあるので、事前に工務店や住宅会社の方に相談すると良いかもしれません。
神主さんへのお車代
神主さんが自分の車や原動機付き自転車等で来られる場合、白封筒に「お車代」と書き5千円から1万円程度を包んで渡します。
地方では車や原動機付き自転車等が生活の足になっていることも多い為、お車代として別途用意する必要があります。
神主さんへ渡す「のし袋」のマナー
神主さんへ渡す祝儀は、「のし袋」に入れるのがマナーです。
「のし袋」とは「結婚式等のお祝い事や葬儀等で金銭を贈る際に金銭を入れる為の袋」のことです。
ただ入れれば良いというわけではなく、名前等の書き方や水引きの結び方等、色々と留意しなければならないことがあります。
なお「水引き」とは「祝儀や不祝儀の際に用いられる飾りで、贈答品の包み紙などにかける紅白や黒白などの帯紐」のことです。
用途によって形や色等を使い分けています。
渡す時に失礼がないよう、一つずつ確認してみましょう。
表書き・名前の書き方
のし袋の表面は水引きによって上段と下段とに分けられます。
上段には「御初穂料」と書くのが最も一般的とされています。
その他には「玉串料」や「御幣帛料」、「御神饌料」や「御礼」等でも問題ないです。
なお「幣帛」は「へいはく」と読み、「神道において神前に捧げるもの」という意味があります。
また「神饌」の読み方は「しんせん」で、「神社や神棚に供える供物」を意味しています。
下段には施主が個人の場合、施主の名字を書きます。
もちろんフルネームでも問題ないですし、同じ名字が多い地域ではむしろフルネームの方が良いかもしれません。
施主が会社の場合は、会社名を書きます。
会社名と並べて社長の名前を書いても構いませんが、その際は社長の名前が真ん中になるようにしましょう。
連名で贈る時
夫婦や親子名義で建物を建てる等の場合は、連名でフルネームを左右に並べてそれぞれ書きます。
真ん中を中心にして、左右に偏りがないように注意が必要です。
中袋の書き方
のし袋には「中袋」がついている場合があります。
中袋に直接お金を入れ、さらにのし袋で包みます。
これは地鎮祭に限らず、のし袋を使う時には全般的にそうすると覚えてもらって差し支えありません。
中袋は筆で書くのが正式とされていますが、筆ペンやペンで代用しても良いでしょう。
例えば3万円を包んだ場合、表面には「金参萬円也」等と書きます。
「也」はつけても省いてもどちらでも構いませんが、数字は「壱」や「弐」のように旧字体で書くことが多いです。
入れる金額に決まりはありませんが、4万円と9万円は縁起が悪い為NGとされています。
なお初穂料の金額が指定されることがある為、結婚式ではNGとされる2万円も地鎮祭では問題ないです。
裏面には特に何も書かなくて良いですが、住所や氏名を書いても構いません。
また中袋があってもなくても、のし袋の裏面には何も書かないのが一般的です。
水引きの結び方
地鎮祭での水引きは「あわび結び」か「蝶結び」をすることが多いです。
「あわび結び」は解くことが困難で、また上に引くと更に固く結ばれる為「繰り返さない」や「末永く一緒にいられる」といった意味があります。
「蝶結び」は何度も結び直すことができることから「何度あっても嬉しいこと」という意味で使われます。
地鎮祭を行う際のマナー
地鎮祭を行う際のマナーとして、他にも押さえておきたい点があります。
ここでは服装と挨拶回りをそれぞれ確認しておきましょう。
服装
個人で行うのであれば特に決まりはありません。
ただし神主さんが正式な服装なので、清潔感やある程度のフォーマルさだけは心がけておきましょう。
また会社等で行う場合はスーツが基本です。
男性ならグレーやネイビー等のダークスーツにシンプルなネクタイが一般的とされています。
また女性のスーツは下がスカートでもパンツでも構いませんが、ジャケットも着用します。
地鎮祭後の近所への挨拶回り
地鎮祭後は近所への挨拶回りをします。
最近は挨拶をしないというケースも見受けられますが、後の印象や工事での迷惑等を考えるとした方が無難だといえます。
その際は1000円から3000円程度の菓子折りやタオル等の粗品を持って行くのが一般的です。
まとめ この記事のおさらい
・地鎮祭は「じちんさい」と読み、「土木建築工事等の前にその土地の守護神を祀り、土地を利用させてもらう許しを得ること」という意味がある。
・地鎮祭は工務店や住宅会社が神主さんとの日程調整や準備等の諸々の手配をしてくれることが多い。
・神主さんへの祝儀やお車代はのし袋に包み、必要に応じて中袋を利用する。
・地鎮祭は清潔感のある服装あるいはスーツで出席し、終わった後は挨拶回りをする。