美人局(つつもたせ)とハニートラップの違い 意味と英語表現を解説

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この記事では「美人局」について解説します。

「美人局」の意味を正しく説明できる人は多くありません。

ここでは、「美人局」の読み方や正しい意味を解説し、使い方も例文を交えて解説します。似たような言葉である「ハニートラップ」との違いや、類語表現、英語ではどのように表現するのかなども解説します。

「美人局」の意味は女と男が脅迫すること

「美人局」は正しくは「つつもたせ」と読みます。「びじんきょく」と読み間違えらえる人も少なくないため注意しましょう。

「美人局」の意味は、夫としめし合わせた女が、他の男と男女の関わり合いを持ち、現場にあらわれた夫が男をおどし、金銭などを巻き上げることです。

「美人局」は女性が誘惑し、男が脅迫する場合に使われます。

「美人局」の語源は中国の犯罪

本来、漢語である「美人局」と、日本語の「つつもたせ」は別の意味を持っていました。

「美人局」は、中国の元の時代の文献などに見られる犯罪の名称で、公娼を妾(めかけ)と偽って少年などを騙す犯罪の名称でした。

一方で「つつもたせ」とは、本来、仕掛けが施してあるサイコロを使った「いかさま賭博」を意味する日本語でした。

しかし、「つつもたせ」は時代と共に二束三文の安物を高く売りつける行為をさすようになり、法外な料金で売春させることも意味するようになりました。

江戸時代以降は「つつもたせ」と「美人局」は同じ意味をもつ言葉として扱われるようになりました。

「美人局」の使い方

「美人局」は犯罪の種類をあらわす言葉です。

「美人局」と表現する場合は、共犯の男と通じている女が被害者に気のあるそぶりをみせ、引っかかった被害者から共犯の男が金銭を脅し取ることが条件です。

美人な女性が男をたぶらかし、いらなくなったら捨ててしまうという状況であっても、金銭を脅し取る事がなければ「美人局」とは表現しないため注意が必要です。

「美人局」と「ハニートラップ」の違い

「美人局」と「ハニートラップ」の違いは以下の通りです。

「ハニートラップ」は色仕掛けで異性を騙すことや、罠にはめることを意味するため、金銭を脅し取っていなくても、罠を仕掛ける側が男性であっても「ハニートラップ」とあらわすことができます。

「ハニートラップ」は本来、機密情報などを得る目的で、スパイが色仕掛けで対象を誘惑したり、弱みを握って脅迫したりする諜報活動のことで、女性の諜報員が男性に仕掛けるものという意味です。

しかし、現代ではスパイ活動に限らず「色仕掛けで異性を罠にかける」という意味で様々な場面に用いることができます。

「ハニートラップ」は犯罪ではなく、色仕掛けで異性を騙したり、罠にはめたりすること全般をあらわす言葉であるため、「美人局」よりは日常的に使うことができる言葉でもあります。

「ハニートラップ」の「ハニー」は「はちみつ」を意味し、「トラップ」は「罠」を意味する言葉です。後に説明しますが、英語でもそのまま「honey trap」と書きます。

「美人局」の類語

「美人局」とは「恐喝」や「ゆすり」と同じ類の犯罪を意味する言葉です。犯罪を行う武器として「女性の色気」が使われる場合に限り「美人局」と表現します。

他に類語には以下の言葉があげられるでしょう。

「美人局」の類語①:「甘い罠」

「甘い罠」は、魅力的なものを餌にされることで、分かっていながらも引っかからざるを得ない罠をさします。

「甘い罠」を使った例文
「彼女の甘い罠に嵌(はま)り、破滅していく。」

「美人局」の類語②:「誘惑」

「誘惑」は、相手の心を迷わせて、悪い方面の事に誘い込むことを意味する言葉です。

「誘惑」を使った例文
「彼を誘惑してお金をだまし取ろうと計画している。」

「美人局」の類語③:セクシャル・エントラップメント

セクシャル・エントラップメントは「性的な囮(おとり)」という意味の言葉です。

セクシャル・エントラップメントを使った例文
「ここは彼の注意を引くためにセクシャル・エントラップメントを仕掛けよう。」

「美人局」の英語表現

「美人局」は英語で「a badger game」と表現されます。

「badger」とは「アナグマ、アナグマの毛皮」を意味する言葉で、「身ぐるみをはがされる」という意味から「a badger game」という言葉が生まれたという説があります。

他にも「a kind of honey trap」といういい方もあり、「女性をお取りに使い金を脅し取る」ことを意味する英語表現です。

英語で「a badger game」は日常的に使わない専門的な用語であるため、「a kind of honey trap」という表現の方が一般的です。

美人局についてのまとめ

  • 「美人局」は正しくは「つつもたせ」と読み、「女と男が共謀して、まず女が被害者に色仕掛けで迫り、その後男の方が被害者に因縁をつけ金銭を脅し取る犯罪」を意味する言葉です。
  • もともと日本語の「つつもたせ」は博打のインチキを意味する言葉でしたが、中国から「美人局」という漢字が伝わり、現在の意味に変わっていきました。
  • 同じように「色仕掛けで罠にはめる」という意味の「ハニートラップ」という言葉は犯罪とまではいかない状況でも用いることができる言葉で、女性から男性だけではなく、男性が色仕掛けで女性を罠にはめることも「ハニートラップ」と表現できます。
  • 類語には「甘い罠」や「誘惑」という言葉があり、英語では「a badger game」という言葉が「美人局」を意味しますが、日常的には使わない専門用語なので、「a kind of honey trap」という表現方法も覚えておくとよいでしょう。