「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」という一文を、ビジネスメールや案内状で目にしたことがある方は多いはずです。よく使われる表現である一方、「時下」の意味や正しい使い方を説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、「時下」の読み方や意味から、実際のビジネス文書での使い方、場面別の例文までをまとめて解説します。英語での言い換え方についても触れていますので、時下を使った時候の挨拶を一通り理解したい方はぜひ参考にしてください。
「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」の使い方
「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」は、日本のビジネス文書や公式な手紙で広く使われる挨拶の言葉です。相手への敬意を示す表現であり、上司やクライアントなど自分より立場が高い相手に向けた文書でよく用いられます。
頭に「拝啓」を付ける場合は、会社を代表して送る案内状などで「拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」というセットの形で使われることが多いです。カジュアルな挨拶とは使い分けが必要なので、以下の表で場面ごとの違いを確認しておきましょう。
| 表現 | 使う場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| 拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます | ビジネス文書、公式の手紙、格式のある場面 | 非常に丁寧で敬意を示す、正式な場合に使う表現 |
| お世話になっております/おつかれ様です/こんにちは | カジュアルなメールや日常のやり取り | 親しみやすく、インフォーマルな場面向けの挨拶 |
「拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」は、重要な取引先や上司に最高の敬意を示すための表現です。他の挨拶と比べて格式が高く、正式な文書に適しています。
時下の意味と使い方
「時下」は元々中国語から日本に入ってきた漢語のひとつです。現代の中国語でも読み方は異なりますが、同じ「時下」という言葉自体は使われています。日本語における意味と使い方は次の通りです。
時下の読み方、意味
じか
ただ今・現在・この頃
「時下」は主に書き言葉として、手紙やメールの挨拶文で用いられます。ビジネス文書における時候の挨拶として、定番の表現のひとつです。
「時下」という言葉を使ったときは、季語を使った時候の挨拶を省略できます。季節を問わず使える万能な表現だからこそ、時候の挨拶に悩む場面で重宝します。
「時下」は文書の冒頭で使う言葉なので、文章の中でも最初のほうに置くのが基本です。「敬具」「草々」のような結びの言葉と同じく2字からなる書き言葉ですが、役割は正反対です。「時下」を結びの言葉として使うことはできないので、この点は注意してください。
メール文の書き方のコツや例文については、以下の記事でも詳しく解説しています。自分の文章マナーに自信がない方は、時下の使い方と合わせて確認しておくと、状況に応じた適切なメールを書けるようになります。
- 上司へメールを送る際の重要ポイントと例文
- 上司、先輩、取引先との食事や飲み会でのお礼メールの書き方
- 営業メールとはなにか 送り方と 人に響くコツを解説
- 企業に対するメール返信について 返信がない場合の対処法など
- 企業に問い合わせメールをする際の方法について メール例文
- メールでの謝罪のし方 お詫びメールの例文
- 社内メールの送り方 謝罪や報告の例文
「時下ますますご清祥でございますが」の意味
この一文を分解して、それぞれの意味を確認してみましょう。
すべての季節に使える時候の挨拶です。手紙文で時候の挨拶を考える際、「今月は何月だから、季節の言葉は何を使おう」と悩むことは少なくありません。そうした場面で万能に使えるのが「時下」という言葉です。
「いっそう益々」と漢字で表記することもできます。増えるという意味の「増す」を重ねて「ますます」となり、いっそうという意味を表します。
相手が健康で幸せに過ごしていることを祝う意味です。似たような言葉に「ご清栄」「ご盛栄」「ご多祥」などがあります。
時下の類語 同義語 代わる言葉
「時下」には言い換えられる類語がいくつかありますが、文書での使い方には注意が必要です。
近頃・現在・今どき・今日・当座・この頃・昨今
目下(もっか)※ただし、文書において代用することはないので注意
「目下」は口語では時下と近い意味で使われますが、正式な文書の冒頭で時下の代わりに使うことは一般的ではありません。文書では「時下」をそのまま使うのが無難でしょう。
時下を使った例文
実際にどのような形で使われるのか、具体的な例文で確認していきます。宛先が法人か個人かによって、使う言葉が微妙に異なる点もポイントです。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
この表現は法人宛てに使われます。法人宛ての場合は「ご清祥」ではなく「ご清栄」を用いるのが基本です。商売繁盛を祝う意味合いで「ご盛栄」が使われることもあります。「ご清栄」は会社や組織の繁栄を祝うとき、「ご清祥」は個人の健康を祝うときに使うと覚えておくと、宛先を迷わずに済みます。
拝啓 時下ますますご清祥のことと存じます
こちらは個人宛てに使われる表現です。文末が「ございます」から「存じます」に変わっていますが、意味そのものは変わりません。相手が個人であることを踏まえ、「ご清祥」を使う点が先の例文との違いです。
拝啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
日頃より一方ならぬお引き立てに与り、心より御礼申し上げます。
意味はこれまでの例文とほぼ同じで、個人宛てに使う表現です。「ご健勝」は相手の健康を願う意味で使われます。似た言葉に「ご多幸」がありますが、こちらは相手の幸せを願う意味が込められている点が異なります。場面や相手との関係性に応じて、これらの言葉を使い分けるとよいでしょう。
「時下」の英語表現
「この頃」という意味を踏まえると、英語では次のように表せます。
・these days
・now
ただし、日本のビジネス文書で使われる「時下ますますご清栄でございますが」のような表現に対応する英語表現は存在しません。そのため、特別に直訳することはしないのが通例です。それでも英語で近い雰囲気を出したい場合には、「believe your prosperity」という表現を使うこともできます。prosperityは「繁栄」を意味する語です。
「時下」についてのまとめ
・手紙などの文頭で使われ、季語を入れた時候の挨拶を省略できる
・時下の英語表現としてnowやnowadaysなどが挙げられるが、「時下ますますご清栄のこと」を直接表す英語表現はない
さまざまな場面で使える「時下」は、時候の挨拶の代わりに使える言葉なので、拝啓の次の文として使うことができます。ビジネスシーンで用いられることが多い表現ですので、この機会に覚えておきましょう。
ビジネスシーンでの「拝啓」と「敬具」の使い方と例文
プライベートで個人的な手紙を書く場合、「時下」を使った表現は少し堅苦しく、冷たい印象を与えてしまうことがあります。親しい相手への手紙では、季語を取り入れた時候の挨拶を選ぶほうが自然でしょう。

