「令月」の意味とは|いつを指す?類語や使い方を解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

この記事では「令月」について解説しています。「令月」は万葉集に記載された古い言葉です。

「そんなの知らない」という方も多いかもしれません。

でも実は日本人の誰もが知っている、ある名称の語源として一時期脚光を浴びた言葉でもあります。

この記事では、最近忘れられつつある「令月」という言葉にあらためて着目。その美しい意味と由来をはじめ、使い方や類義語、英語表現などをくわしく解説していきます。

「令月」の読み方と意味


令月は「れいげつ」と読みます。意味は大きくわけてふたつあります。ひとつは「(暦の中で)特に運勢が良くおめでたい月」、「なにをするにも縁起が良い幸運な月」、「とても素晴らしい月」のこと。そしてもうひとつは「陰暦(旧暦)2月」の異名です。

いずれも「令月」の「月」が意味するのは「暦の月」のこと。「満月」や「月齢」のように天体の「月」をあらわす言葉ではありません。「令月」と聞いて「素晴らしいお月様」とまちがわないように注意しましょう。

「令月」は具体的にいつを指す?

「令月」は1年の中で特定の月をあらわす呼び名です。前述したふたつの意味のうち、「おめでたい月」をあらわす「令月」は陰陽道などの方術によって決定される最高に運勢が良い月のこと。それが何月になるかは地域や年によって変わります。

一方、陰暦2月をあらわす「令月」の場合、新暦では2月下旬から4月上旬ごろにかけての1ヶ月のこと。陰暦(太陰太陽暦)では月の日数が年によって変わるため、新暦(西暦)に当てはめると日付が毎年変わります。

ちなみに2021年の「陰暦2月」は3月13日から4月11日まで。2025年は2月28日から3月28日まで。このように旧暦の月は日付の変動が大きいのが特徴です。

陰暦2月をあらわす異名としては「如月(きさらぎ)」がよく知られています。「令月」はおもに和歌や俳諧、茶道など伝統的な日本文化において二十四節気の立春や初春をあらわす縁起の良い季語として浸透しています。

「令月」の由来

「令月」の「令」という漢字は、既存の漢字を合わせた会意文字のひとつ。上半分は「人」と「一」の組み合わせ。下半分の「卩」はひざまづく人をあらわす象形文字です。その組み合わせから神や君主の意向をうやうやしく聞くことをあらわします。

そこから「命じる」「いいつける」を意味する「令」という漢字が成立しました。ただし当初の「令」は上意下達的な「命令」の意味ではなく、「神のありがたい『お告げ』をたまわる」という縁起の良いニュアンスがありました。

また「万葉集」や「古事記」といった古典文学や和歌では、「令」という漢字が「美しい」「麗しい」「可愛い」「優れた」「華やかな」といった意味で用いられます。現在でも秀麗な子女を「令嬢」「令息」というのはその名残です。

「令」が「美しい」「麗しい」を意味する漢字となったのは、古代の大和言葉の「麗し(うるわし)」の同義語として浸透したためと考えられます。古代の日本人は外来語の漢字の意味を考えず、読みが同じ「麗」の略語として「令」を当てはめたのでしょう。

「令月」という言葉の語源については諸説あります。出典は万葉集の巻五「梅花歌三十二首并序」の「初春令月 気淑風和」という一節とされています。この「令月」と「風和」という言葉が、平成に続く元号に採用された「令和」の語源となりました。

新元号に「令和」が決定したとき「令月」にも注目が集まり、さまざまな議論を引き起こしました。出典についても万葉集以前に中国後漢の文人、張衡が書いた「帰田賦(きでんのふ)」に「仲春令月 時和気清」 という一節があることが判明しています。

そうなると「令月」の出典は万葉集より600年も古い「帰田賦」とすべきではないか、という異論もあります。しかしながら新元号「令和」の発表から少なからず月日を経過した現在、「令月」に関する議論はほとんど行われなくなりました。

「令月」の出典をインターネットで検索しても、ほとんどのサイトが万葉集の「初春令月 気淑風和」が由来と記載しています。正確を期すなら「令月」の原典として張衡の「帰田賦」を外すことはできません。

「令月」の使い方


前述のように「令月」の意味は「何をしてもうまくいくすばらしい月」「陰暦2月」のふたつがあります。したがって「令月」の使い方も「めでたい月」をあらわす用法と、如月の同義語としての用法があります。

「すばらしい月」という意味での「令月」の例文

今月は親戚縁者や友人知人の結婚式がひっきりなしでご祝儀の金策が頭痛の種だが、縁起が良いという意味ではまさに令月だ。

「陰暦2月」という意味での令月の例文

万葉集の時代の令月は梅の花が美しい時節だったそうですが、現代の西暦に当てはめると、令月はむしろ桜の季節といえます。

「令月」の類義語と例文


前述したように「令月」にはふたつの意味があります。まず「すばらしい月」という意味の類義語としては、漢字違いの「麗月(れいげつ)」「佳月」「嘉月」などをあげることができます。

「佳月」と「嘉月」の読みはいずれも「かげつ」。ともに陰暦3月の異称でもあります。「令月」との意味や用法の違いとしては、「佳月」と「嘉月」には「名月(満月)」の意味もあること。「令月」に天体の月をあらわす用法はありません。

一方、陰暦2月としての「令月」の類義語としては、前述した如月のほか「梅見月(うめみづき)」「建卯月(けんうづき)「仲春(ちゅうしゅん)」「初花月(はつはなつき)」「雪消月(ゆききえつき)」「小草生月(をぐさおひつき)」などがあります。

佳月と麗月を含む例文

もしも玲瓏たる佳月の欠けることなく、また雲に覆われることもなく毎夜美酒とともに丸一ヶ月のあいだ夜空に愛でることができるなら、それこそが麗月というものだろう。

「令月」の英語表現


「すばらしい月」という意味の「令月」を英語で表現する場合は、「auspicious month」「grand month」「great month」「lucky month」「month of good fortune」などのフレーズを使います。

「auspicious」は「前兆がよい」「さい先がよい」「めでたい」など運気の良さを意味する言葉です。「grand」は「雄大な」「豪奢な」「崇高な」などをあらわします。「great」は「大きい」「すごく」「名高い」などをします。

「lucky」は「運がよい」「幸運をもたらす」などの意味をあらわす言葉です。

次に陰暦2月を英語で表現する場合は「the second month of the lunar calendar」「February in the lunar calendar」というフレーズが良いでしょう。

「the second month of the lunar calendar」は「陰暦の2月」「February in the lunar calendar」は「陰暦でのFebruary (2月)」という意味をあらわします。

まとめ

  • 「令月」には「とても運勢が良い素晴らしい月」と「陰暦(旧暦)2月」のふたつの意味があります。
  • 「令月」の由来は万葉集とされていますが、古代中国の「帰田賦」にも記載があります。
  • 「令月」の類義語には「佳月」「嘉月」「梅見月」などがあります。
  • 「令月」の英語表現には「auspicious month」「February in the lunar calendar」などがあります。