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この記事では、「脚光」の意味や由来、「脚光を集める」との違いなどについて考察します。
「今、彼女は脚光を浴びているね」など、「脚光を浴びる」という表現はよく耳にします。でも、そもそも「脚光」とは何でしょう?「脚光を集める」との意味の違いはどこにあるのでしょうか?
「脚光を浴びる」は、誤解されやすい慣用句のひとつです。この記事を通して、「脚光を浴びる」の意味や正しい使い方を理解し、ビジネスパーソンの知識のひとつとしてお役立てください。
脚光を浴びるとは?基本的な意味と語源
「脚光を浴びる」は、多くの人々に注目されるようなときに使われる表現ですが、基本的な意味や語源はどのようなものでしょうか?
「脚光を浴びる」の意味
「脚光を浴びる」とは、「舞台に立つ」の意味で、そこから転じて「世間から注目される」の意味でも使われるようになりました。ではどうして「舞台に立つ」のが、「脚光を浴びる」という意味になったのでしょうか?
「脚光を浴びる」の由来とは
「脚光を浴びる」の脚光は、英語の「footlights(フットライト)」から由来しています。客席側から舞台を照らし、役者の表情や演技をよく見せるためには欠かせない照明です。特に歌舞伎や日本舞踊では、衣装をきれいに見せる明かりとしても重要になっています。
また、歌舞伎では役者が花道を通るときにスポットライトが点灯します。より主役を目立たせる演出においてもスポットライトは使われるので、「世間から注目される」という意味に発展したと考えられます。
「脚光を浴びる」の使い方|日常会話からビジネスまで
「脚光を浴びる」の当初の意味は、「舞台に立つ」ですが、この意味で使われている文章はあまり見かけません。例えば、1969年に出版された福永武彦氏の著書「忘却の河」には、「娘が脚光を浴びるというその日まで」という一文があります。
これは、公演で初めて自分の娘が舞台に立ったときのことを語っている文章で、「脚光を浴びる=舞台に立つ」の意味になっています。しかし、この意味で使っているケースはごく稀で、「世間から注目される」の意味が大勢を占めています。
現在「脚光を浴びる」という慣用句は、さまざまなシーンで使われていますが、ここでは、日常会話とビジネの2つシーンでの例を紹介します。
日常会話での使用例
日常生活の会話の中でも「脚光を浴びる」はときどき耳にする表現です。
- 天才子役として躍脚光を浴びていたのに、彼女、最近は全然見ないよね。
- いくら脚光を浴びたいからって、あそこまでやることないのに。
- 私がモデルとして脚光を浴びる日は近いかもね。
- 今脚光を浴びているあの芸人は、僕の同級生さ。
- 将来はJリーガーと脚光を浴びていた彼が、こんな事故に巻き込まれるなんて。
ビジネスでの使用例
ビジネスにおいても世間から注目されることは重要な課題で、「脚光を浴びる」という表現はしばしば使われます。
- このサービスは、新しいビジネスモデルとして脚光を浴びるでしょう。
- 開業するなら和食が脚光を浴びている今がチャンスです。
- 新しいコマーシャルには、脚光を浴びているタレントを起用すべきです。
- 商品寿命が短くなっている現在、脚光を浴びているからと言って油断はできません。
- 社内で脚光を浴びても、世間で通用するとは限りませんよ。
悪い意味でも使う?
「脚光を浴びる」と聞いて、有頂天になって勘違いしている人物をイメージする人もいるかもしれません。このような場合、脚光を浴びる人=嫌なヤツという悪い意味で使うこともあるでしょう。
- 幼児虐待で脚光を浴びた容疑者の裁判は今も継続中です。
意味としては通用しそうな文章ですが、このような「脚光を浴びる」の使い方は誤りです。語源でも説明したように、「脚光を浴びる」は舞台のフットライトを浴びることで、華々しい場所で注目される意味です。
犯罪や悪いうわさなどで注目されるのは、「脚光を浴びる」のとは異なります。このような悪い背景で使うときは、「注目を浴びる」や「耳目を集める」などが正しい表現です。「脚光を浴びる」は、悪い意味では使いません。
「一躍脚光を浴びる」とは
「脚光を浴びる」の表現の頭に「一躍」をつけて、「一躍脚光を浴びる」という言い回しをよく耳にします。この「一躍脚光を浴びる」は、「脚光を浴びる」とは、どう違うのでしょうか?
「一躍」とは、「ひと足で飛び上がること」「急に段階が進むこと」の意味です。つまり、急に人気が出たり評価が高まったりするのが、「一躍脚光を浴びる」です。「脚光を浴びる」とではスピード感が異なります。
例えば、下積みの歌手がじわじわと人気が出て「脚光を浴びる」のではなく、路上ライブで歌っていた若者が、あっという間にメジャーデビューして「脚光を浴びる」のが、「一躍脚光を浴びる」です。
特に期間的な決まりはありませんが、「脚光を浴びる」をより強調する表現として使われることが多いようです。
「脚光を集める」とどう違う?
以下の例文のように「脚光を浴びる」ではなく、「脚光を集める」という表現を見ることがあるかもしれません。
2世タレントの彼は、小さなころから脚光を集めていました。
この文章からは、小さなころから周りに注目されていた存在だということはわかります。しかし、「脚光を集める」という慣用句はありません。「脚光」は舞台のスポットライトですから「浴びる」もので、「集める」では不自然な意味になってしまいます。
「脚光を集める」は、「注目を集める」や「関心を集める」などと混同して誤用されたものです。令和3年の文化庁の「国語に関する世論調査」において、「脚光を浴びる」を選んだ人が83.4%、「脚光を集める」が7.8%の結果になっています。
また両方の意味で使う人が、6.7%いました。つまり、両方のみで使う人を含めると、約15%の人が「脚光を集める」を正しい表現だと思っています。では、「脚光を浴びる」を言い換えるとしたなら、どのような表現があるでしょうか?
「脚光を浴びる」の言い換え表現
「脚光を浴びる」の言い換え表現には、「注目を浴びる」「耳目を集める」「スポットライトを浴びる」「日の目を見る」「人気になる」「ブームになる」などがあります。
- 意味
世間の人々から意識を向けられること。 - 例文
SNSの投稿がきっかけで、彼は一躍世間の注目を浴びるようになりました。
- 意味
大勢の人に関心を持たれていること。 - 例文
耳目をあつめるためには、大袈裟に思えるぐらいの演出も必要です。
- 意味
世間の人から注目される。 - 例文
一度スポットライトを浴びる生活をしたら、普通の生活に戻るのは難しいですよ。
- 意味
急に熱狂的な対象になること。 - 例文
近い将来、このキャラクターがブームになることは間違いありません。
まとめ この記事のおさらい
- 「脚光を浴びる」とは「舞台に立つ」の意味、転じて「世間から注目される」の意味でも使われるように。
- 「脚光を浴びる」は、英語の「footlights(フットライト)」から由来。
- 「脚光を浴びる」は、悪い意味では使いません。
- 「脚光を集める」は、慣用句としては正しくありません。
- 文化庁の「国語に関する世論調査」では、両方のみで使う人を含めると、約15%の人が「脚光を集める」を正しい表現だと思っています、
- 「脚光を浴びる」の言い換え表現には、「注目を浴びる」「耳目を集める」「スポットライトを浴びる」「日の目を見る」「人気になる」「ブームになる」などがあります。