大学教授について解説|仕事は?なり方は?給料や退職金は?

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

この記事では、大学教授について解説します。

「教授には学生時代にお世話になったし憧れもするけれど、自分は大学教授になることはできるのだろうか…」「そもそも大学教授にはどうやったらなれるんだろうか…」と、改めて考えてみるとわからないことも多いでしょう。

この記事を通して、大学教授の仕事内容やなるまでのステップ、気になる給料や退職金などについて知ることができます。

大学教授とは


大学教授とは、大学の職位です。大学職員には、教授・准教授・講師・助教・助手の職位があって、一番職位が高いのが教授です。

学校教育法では、教授について次のように定義しています。

教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。

大学教授の仕事内容

大学教授の仕事は大きく研究と指導の2つに分かれます。

研究は教授の大きな仕事で、専門分野について日々研究し、その成果を学会や学術誌で発表します。

研究の内容を簡単に説明すると、文系は文献研究や社会調査研究が主になります。例えば文学の研究であれば、専門分野の作品や作家の古い文献を掘り起こすことによって、新たな解釈や発見を発表します。
理系の教授の研究は、実験が主になります。実験を繰り返した得た発見や発明を、研究成果として発表します。
自分の研究成果を発表するだけではなく、研究者を育成することも大事な仕事のひとつです。研究室に所属する大学院生に指導を行い、研究者として育てていきます。

教授の大きな仕事のひとつには学生の教育もあります。授業やゼミでの学生指導です。
授業は1コマ90分程度を平均して週5コマ程度受け持つのが一般的です。ゼミでは専門分野の研究について手ほどきしたり、論文の作成について指導を行います。

研究や授業のほかにも、教授会や各委員会の仕事など、学内行政といわれる大学の運営に関わる仕事もあります。

また、中には、専門分野を活かしてテレビなどのメディアでコメンテーターを務めたり、講演会を開いたり、専門書を出版するなどの活動をしている大学教授もいます。

大学教授は公務員?

国立大学の教授は公務員だと思っている方も多いと思いますが、実際はどうなのでしょうか。

私立大学は学校法人や企業が運営していますので、そちらの大学教授も、もちろん公務員ではありません。

大学教授になるには


大学教授は、たとえば「大学教授資格」の試験を受けて合格すればなれる、というようなものではありません。極端にいえば必須の資格や免許はありません。
とはいえ、教授への道のりはいくつかのパターンがあります。

一般的には博士号の取得が必要

大学教授になるのに必ず必要な資格や免許はありません。しかし、一般的には博士号を取得していることが求められると考えてよいでしょう。

「大学の教員組織に関する関係条文等」の大学設置基準の「教授の資格」には、次のように定義されています。

教授の資格
第十四条 教授となることのできる者は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者とする。

一 博士の学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有し、研究上の業績を有する者
二 研究上の業績が前号の者に準ずると認められる者
三 大学において教授、助教授又は専任の講師の経歴(外国におけるこれらに相当する教員としての経歴を含む。)のある者
四 芸術、体育等については、特殊な技能に秀でていると認められる者
五 専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有すると認められる者

博士の学位は絶対条件ではありませんが、教授の資格として筆頭にあげられる基準となっていることからみても、博士号を有しているのが基本といってよいでしょう。

助手や講師から時間をかけてステップアップしていく

教授になる道として最もスタンダードなのは、助手や助教、講師、准教授というように徐々にステップアップしていき、最終的に教授の職に就くというルートです。

教授になるまでの道のりを、いくつかのステップに分けてみていきましょう。

1.博士号を取得する
まずはじめのステップとしては、大学院の博士課程に進み、博士号を取得することです。
大学教員になるのに博士号が必ずしも必要なわけではありませんが、大学教授を目指すのであれば専門分野における高度な知識が必要です。ぜひ博士号を取得しておきたいところです。

2.大学職員として採用される
次は、大学職員になるための就職活動です。
大学教授を目指しているとはいっても、博士号を取得していきなり教授の職に就けることはまずありません。助手から始めてキャリアアップを目指すことになります。

国立大学職員の採用試験は一次試験→二次試験の流れで実施され、一次試験は毎年7月に実施される120分の筆記試験です。二次試験は面接が一般的で、国立大学法人等ごとに日程を組んで実施されます。

私立大学の職員採用は、一般企業と同じように大学のホームページや就職情報サイトなどに情報が掲載されます。書類選考、筆記試験、面接を経て採用決定となるのが一般的な流れです。
毎年一定数の採用をするというよりは、欠員が出たタイミングや科目が新設された場合などに募集をかける形なので、常にアンテナを張って情報収集に努めることが必要でしょう。

3.助手から教授を目指す
博士号を取得した人が大学職員として採用されるときには、やはりいきなり教授になれるわけではなく、基本的に助手・助教からのスタートとなります。

大学教員には職位があります。助手から教授まで「助手・助教→講師→准教授→教授」のステップをたどることになります。
何年たったら准教授や教授になれる、などという基準もなく、教授になるまでには多くの場合において相当な年数を要します。

近年では任期を定めての大学教員の採用も多くみられ、任期内に実績を残さなければ再任されないこともあります。助手や助教から昇格できないまま、任期切れで大学を去らなくてはならないケースも少なくないといいます。

また、教授になるには論文等で実績をあげたうえで、教授会で承認されるなければなりません。実力がなければならないのは当然のことながら、周囲の人とコミュニケーションを図る力も必要かもしれません。

学歴や資格は必須要件ではない

前述の通り、大学教授になるのに特別な免許や資格があるわけではありません。理屈だけでいえば、誰でもなれる可能性があるということです。しかし、実際は博士号を持たない人が教授の職につくのは非常に稀です。

大学設置基準の「教授の資格」には、博士の学位を有することが先頭にあげられていますが、「芸術、体育等については、特殊な技能に秀でていると認められる者」「専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有すると認められる者」のような基準もうたわれています。
博士号を持たずとも、芸術やスポーツで目覚ましい活躍を遂げた人などが教授になるケースもなくはないですが、大半の教授は博士号を有しているというのが実情です。

大学教授の給料・年収

失業手当 計算
高収入のイメージが強い大学教授ですが、実際にはどれくらいの給料をもらっているのでしょうか。

「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、大学教授の平均月収は約670万円、年間賞与等は約2972千円、合わせると年収で約1,100万円でした。
このほか、メディアへの出演や講演会などを開いたり、書籍を出版したりすれば、その収入も得ることができます。

平均年齢は57.7歳で、教授になるまでにはかなりの年数を要することがここからも想像できます。大学教授までの道のりは決して平たんではありませんが、教授の職に就けば、高い年収が期待できるでしょう。

大学教授の退職金

大学教授の退職金は多くの職業と同じように、学内の退職金規定により、退職時の給料と勤続年数、退職理由によって決まるのが一般的です。
定年まで勤務した場合、多くの大学では3,000万円前後の退職金を手にすることができるようです。

退職金を考えるときに気になるのが、大学を移籍したらどうなるのかということでしょう。教授への道のりとして、上の職位にステップアップするために、ポストに空きのある他大学に移籍する人は少なくありません。

この場合の退職金は、国立大学と私立大学によって異なります。
基本的に国立大学からほかの国立大学へ移籍するケースでは、移籍の都度、退職金が発生するのではなく、勤務年数も通算されて、最終的に退職する際の退職金に反映されます。

国立大学から私立大学、もしくは私立大学間の移籍であれば、一般企業と同じように、移籍のタイミングでいったん退職扱いになり、退職金もその都度支払われることになります。

大学教授の勤務体系と休日

チルアウト
大学教授の仕事のうち、授業や会議は時間が決まっていますが、研究は時間が決められているわけではありません。授業は平日の週3日程度受け持つのが一般的なので、その日は大学に出勤して準備や講義を行います。

講義のない日にどうするかは教授次第ですが、研究室に毎日通う人もいれば、自宅などで論文を書いたり、調べものをする人もいます。
会社員のように何時に出勤で何時に退社という時間的な決まりではなく、研究や論文の進捗によってということになるでしょう。

大学教授の定年

大学教授の定年は、各大学の規定によって定められていて、多くの大学が65歳~70歳に定年を設けています。例として、東京大学は65歳が定年、早稲田大学は70歳が定年です。

定年退職後は、定年の長い大学に移ってさらに定年まで勤めるといった形をとる教授もいるようですし、在籍していた大学に非正規として再雇用されるケースもあるようです。また、大学の仕事からは離れて、セミナー講師などをしている人もいます。

大学教授の将来性

されています
少子化が加速し、大学の運営が厳しくなっているというニュースもたびたび耳にします。このことから考えると、将来的に教授の絶対数が増えることは考えにくいといえるのではないでしょうか。

近年は、博士課程を取得しても大学の正規のポストにつけない人が多発し、ポスドク問題といわれて各所で取り上げられてもいます。
博士号さえ取得すれば、助手から教授までの道が約束されているということにはならないのは心得ておいたほうがよいでしょう。

ただ、教授になるのは難しいとはいえ、教授の中にはメディアのコメンテーターを務めたり専門書を出版したりと、大学の仕事以外のビジネスを副業としている人もいます。
自分は将来どんな活躍をしたいのか、しっかり芯をもって自分の方向性を考えることが大事なのではないでしょうか。

まとめ この記事のおさらい

  • 大学教授の仕事には、専門分野の研究、研究者の育成、授業やゼミなどの学生指導、教授会や委員会などの学内行政があります。
  • 大学教授になるための免許や必須資格はありませんが、多くの人は博士号を取得しています。
  • 博士号取得後に助手として採用され、「助手・助教→講師→准教授→教授」のステップをたどるのが一般的な教授への道です。
  • 大学教授の年収は平均して1,100万円程度、退職金は3,000万円前後といわれます。
  • 大学教授の将来を考えると、少子化やポスドク問題など明るくない要因もありますが、自分はどんな活躍をしたいのかをしっかり考えてキャリアアップしていくことが大事なのではないでしょうか。